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『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』作曲家が重いプレッシャー明かす ― 師匠ハンス・ジマーのアドバイスは「楽しめ」

ミッション:インポッシブル/フォールアウト
© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

トム・クルーズ主演『ミッション:インポッシブル』シリーズでは、ラロ・シフリンによるおなじみのテーマ曲を軸に、これまでさまざまな作曲家が音楽を手がけてきた。ダニー・エルフマン、ハンス・ジマー、マイケル・ジアッキーノ、ジョー・クレイマー……。
最新作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』に起用されたのは、『レゴ(R)バットマン ザ・ムービー』(2017)や『パシフィック・リム:アップライジング』(2018)、そのほかテレビドラマやビデオゲームなどでもキャリアを重ねてきたローン・バルフェだった。

ローンの作曲人生における“師匠”は、ハリウッドになくてはならない映画音楽家であり、シリーズ第2作『M:I:2』(2000)の作曲を務めたハンス・ジマーである。現在でも共作が多い二人は、最近も2018 FIFAワールドカップ ロシア大会にてテーマ曲を制作。ローンは米Colliderのインタビューにて、『ミッション:インポッシブル』就任にあたってハンスから受けたアドバイスを明らかにしていた。

https://www.youtube.com/watch?v=HrGSGi6C-vs

「大切なのは楽しむこと」

ハンス・ジマーが音楽を手がけた作品にローンが初めて携わったのは『バットマン ビギンズ』(2005)。約10年間にわたって、ローンはハンスのアシスタントを務めていたという。しかし『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』が決まった際、彼は師匠にアドバイスを積極的には求めなかったそうだ。

「アドバイスは一度も求めませんでした。“あなたの時(『M:I-2』)はどんな感じだったんですか?”と尋ねただけです。すると彼は“一番大切なのは楽しむことだ”と言ってくれました。それは大きなカギだったと思いますね。だって僕たちはファミリーに招かれたわけですから。『ミッション:インポッシブル』というファミリーに、トム(・クルーズ)というイーサン・ハントに。」

第1作『ミッション:インポッシブル』(1996)を学生時代に観て以来シリーズのファンだったというローンは、最新作の音楽を手がけることについて「夢が叶った」と語る。しかし、当然ながらそれゆえの緊張感もあったようで……。

「作曲していると、ファンのみなさんが映画を観ることを意識せずにはいられません。(シリーズの)音楽的なDNAに忠実であること、それらを恐れすぎないことに注意しました。それから、みなさんが楽しんでくださるだろうということも。だから大切なのは、楽しむことだったんですよ。彼(ハンス)は正しかった。最高の経験だったし、クリストファー・マッカリー(監督)やトム・クルーズからは多くを学びましたよ。」

 ミッション:インポッシブル/フォールアウト
クリストファー・マッカリー監督 © 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

ローンはクリストファー監督と、物語やテーマ、作品のアプローチについて話し合いを重ねて作曲にあたったという。監督が今回の音楽に求めていたのは「今までとは異なるトーン」。ローンの仕事部屋は編集室の隣に用意され、作曲の作業はクリストファー監督や編集のエディ・ハミルトンとの実験を重ねながら進められていったという。

ところで『ミッション:インポッシブル』シリーズといえば、あまりにも有名なテーマ曲をいかに扱うかが作曲家の大きな課題となる。ローンはその舞台裏について、自身の印象をこのように明かしていた。

「こういう作業を始めると、ほとんどの時間を呆然として過ごすことになります。玄関のカギを渡されて、いよいよ(楽曲に)触れることを許される。そのあと、恐怖心から距離を置かなきゃいけないんですよ。このテーマ曲について重要だったのは、過去を恐れないということでした。いろんなバージョンが作られていますから。リンプ・ビズキット(『M:I-2』)があれば、あらゆる解釈がなされてきている。なので、それらすべてと決別しなきゃいけなかったんです。」

過去の楽曲や解釈をうまく切り離しつつ、『ミッション:インポッシブル』シリーズのDNAを抽出して、あくまで本作のテーマやストーリーにふさわしい音楽を作る。これこそローンが『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』の作曲に取り入れたアプローチだったのだ。もちろんこうしたアプローチには、師匠のハンスによる“教え”がきちんと活きているようである。

「自分たちの曲にプレッシャーを感じずにいる、ということに彼からは多くを学びました。映画が第一にあるので、もし曲がうまくいかなかったら、その曲とはそこでさよならなんだと。僕たちは音楽の話ではなく、映画づくりの話をしています。彼はフィルムメーカーであることが一番で、作曲家であることは二番目。物語を語ることとは何かを理解しているんですよ。彼は素晴らしい指導者だったし、それは今でも変わりませんね。」

映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は2018年8月3日(金)より全国の映画館にて公開中

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』公式サイト:http://missionimpossible.jp/

 

Source: Collider

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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