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【インタビュー】『モダンライフ・イズ・ラビッシュ ~ロンドンの泣き虫ギタリスト~』ジョシュ・ホワイトハウスと音楽談義

『モダンライフ・イズ・ラビッシュ~ロンドンの泣き虫ギタリスト~』ジョシュ・ホワイトハウス
©THE RIVER

あの頃聴いていた音楽を聴き返して、あの頃の思いが克明に蘇る。まるで、この曲に記憶や感情が真空パックされていたみたいに。

映画『モダンライフ・イズ・ラビッシュ~ロンドンの泣き虫ギタリスト~』は、恋の終わりを迎えてしまった若い男女が、かつてお互いが愛した音楽を通じて出会いから別れまでを振り返っていくという、エモの極みのような作品だ。

主人公リアムは、音楽シーンへのこだわりが強いひねくれたバンドマン。ご立派な理想ばかりが先走るが、現実ではいわゆる「フリーターバンドマン」状態だ。リアムは、今の音楽シーンはくだらないと嘲笑し、劇中で登場したばかりのiPodやmp3ダウンロードも「こういうものが音楽シーンをブチ壊すんだ」と否定する。(ブラーの同名アルバムから授かった本作タイトル『モダンライフ・イズ・ラビッシュ』とは、「現在の生活はゴミだ」という意味である。)『ラ・ラ・ランド』(2016)で、ジャズの伝統に固執したセブを更にこじらせたような青年である。

モダンライフ・イズ・ラビッシュ~ロンドンの泣き虫ギタリスト~
©Modern Life Pictures Limited 2016

ガールフレンドのナタリーは、初めこそクールなリアムに惚れ、大好きな音楽への情熱を分かち合っていたものの、うだつの上がらないバンドマン生活が10年も続けば想いも冷めていく。ついに別れることになり、同棲を解消しようとする2人に待っていたのは、一緒に愛した大量のレコード・コレクションを整理するという虚しい作業だった。このアルバムはどっちが買ったやつだっけ…?作業を進める中、2人が初めて出会ったレコード店での思い出がフラッシュバックする。2人の間にいつも流れていた音楽の歴史を辿っていくと、かつては燃えていた愛の日々がするすると思い出されていく──。

『モダンライフ・イズ・ラビッシュ~ロンドンの泣き虫ギタリスト~』ジョシュ・ホワイトハウス
©THE RIVER

THE RIVERでは、主人公リアムを演じたジョシュ・ホワイトハウスにインタビューを行った。1990年イングランド生まれのジョシュは、自身もインディーズバンド『MORE LIKE TREES』でヴォーカルを務めるなど、ミュージシャンとしての顔も持つ。この日も自前のアコースティック・ギターを日本に持ち込み、撮影では巧みに演奏しながら爽やかに答えてくれた。『ゲーム・オブ・スローンズ』前日譚ドラマの主役の1人にも抜擢されるなど、今後の大ブレイクも期待される俳優だ。

ポップ・ミュージックが嫌いだった

──今日はありがとうございます。日本は初めてですか?

はい!昨日着いたばかりで、昨日はクタクタでした。まだ外出できていないので、これから見て回るのが楽しみです。

──『モダンライフ・イズ・ラビッシュ 〜』とっても良かったです。僕も元バンドマンなので、リアムの言動に共感できる部分が多くありました。この映画は、バンドマンの「あるある」が詰まっていると思います。アマチュアのバンドマンって、ステージ上ではカッコいいけれど、実生活では現実が見えていない時があるというか。ジョシュさんもリアムに共感することがありましたか?

ありますよ。そもそも音楽を始めた頃、僕はポップ・ミュージックが苦手だったんです。いつもラジオから聴こえてくる音楽にイラついてましたね。ハウス・ミュージックとか、(低音で)ブゥーン、ブゥーン、ブゥーンみたいな音楽。なんでみんなこんな音楽が好きなんだろうなぁって(笑)。どうしてこんなに売れているのか、不思議でした。

僕の両親はよく家でレナード・コーエンやトム・ウェイツ、ボブ・ディランにビートルズ、ジェームズ・テイラーみたいな良い音楽を流してましたね。もう過去の産物という感じで、どうしてこういう音楽が流行らなくなったのか、本物の音楽とは、いつから変わってしまったのかと。今の世の中に溢れている大量の音楽って、1人のプロデューサーが作っていて、なんかマシーンみたい。もちろん異議はあると思うけど、あくまで僕はそう思うんですね。だから好きになれない。僕はそういう音楽とは違ったことをやりたかった。売れようが売れまいが、人に愛される音楽です。そんなことを考えながら大人になったので、リアムの気持ちもよく分かるんです。彼はもうちょっと過激で、あからさまに態度に出すタイプだけど、でも分かってしまうんですよね。

『モダンライフ・イズ・ラビッシュ~ロンドンの泣き虫ギタリスト~』ジョシュ・ホワイトハウス
©THE RIVER

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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