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【インタビュー】映画『モンスターハンター』ミラ・ジョヴォヴィッチが双剣を使った理由とは ─ 使いたかった武器は操虫棍、砂漠地帯で目が真赤に

モンスターハンター
(c) Constantin Film Verleih GmbH

想像を絶する世界に一狩り行こうぜ!実写映画版『モンスターハンター』が、2021年3月26日(金)に待望の日本公開を迎えた。

本作では、突如発生した超巨大な砂嵐に遭遇してしまい、謎の世界に飛ばされた特殊部隊を率いる隊員アルテミス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)が、ミステリアスなハンター(トニー・ジャー)と手を組み、モンスターと決死の戦いに挑む姿が描かれる。メガホンを取ったのは、ミラ・ジョヴォヴィッチの夫であり、映画監督のポール・W・S・アンダーソンだ。

この度、THE RIVERは、ディアブロスやリオレウスといった凶暴かつ巨大な敵を前にしながらも、勇敢に立ち向かったアルテミスふんするミラ・ジョヴォヴィッチにインタビュー。貴重な機会の中で、『モンスターハンター』シリーズとの出会いや、モンスターやキャラクター、武器、そしてポール・W・S・アンダーソン監督についてなどについて訪ねてみた。

モンスターハンター
©Constantin Film Verleih GmbH

『モンスターハンター』との出会い

モンスターハンター
©CONSTANTIN FILM Produktion Services GmbH

──まずは、ゲーム『モンスターハンター』シリーズについて教えてください。映画化の前から存在は知っていましたか?

私の夫(ポール・W・S・アンダーソン)は、10年前からこの作品の映画化に取り組んでいたので、ゲームについては知っていましたよ。ただ私は母親なので、ゲームに時間を費やすことがなかなか難しかったので、そのときはあまりプレイすることができませんでした。

本格的に映画に関わるようになってからはたくさんプレイしましたよ。自分がどれぐらいの実力なのかを確かめるため、ほかのプレイヤーの動きもみました。とにかく楽しくて、何時間も何週間もプレイしましたね。ただ、ディアブロスには何回も殺されてしまいましたけど(笑)。

それから撮影が始まって、ゲームをプレイし続けることが困難になってしまいました。とにかく素晴らしいゲームです。子供がいなかったら、もっとたくさんの時間を費やしていたでしょうね。

アルテミスのキャラクター

──アルテミスというキャラクターについて、詳しく教えて下さい。

アルテミスは国連合同軍事演習のリーダーで、特殊部隊のひとりです。この部隊は軍隊の中で最も入隊するのが困難とも言われているところです。それは性別を抜きにして。ただ、女性にとっては男性よりもさらに大変なので、それだけでも彼女がいかに強くて、素晴らしい能力の持ち主であるかがわかりますよね。

──実在する部隊とのことですが、実際に参考にした特定の人などはいましたか?

映画の役作りのため、陸軍に所属している女性で、レンジャーの方と実際に会いました。彼女みたいな、リアルなスーパーヒーローと出会えたことは本当に色々な意味で刺激になりましたね。

レンジャーになるために彼女が実際に経験したことは並外れたものです。48時間ものあいだ氷点下の中で起きていたり、何日も行進し続けたりなど。この部隊では真の兵隊となるため、あらゆる身体的訓練を強いられます。そこで挫けてしまうような人は必要としていません。どんな困難な状況でも対処できるような、強い精神と意思を持った人を求めています。ですから、レンジャーの勲章を取得した方々は、本当に誰よりも強いという証なんです。

彼らには本当に尊敬しかありません。そんなレンジャー役を演じる機会をいただけたことも光栄でした。そこで私自身、少しでも彼女たちのように近づくため、毎日1時間のトレーニングにはげみました。トレーニングは撮影後もしばらくは続けていたのですが、妊娠をきっかけにやめざるを得なくなってしまいましたね。

ディアブロスとの死闘

『モンスターハンター』
(c) Constantin Film Verleih GmbH

──アルテミスは特殊部隊に務めているだけのことはあって、モンスターと戦っている時でも実に勇敢でした。ただ、それでもディアブロスを目の前にしたら普通はもっと怖気づきそうですが。

実際の私だったら、絶対に殺されてしまいますね。実際に『モンスターハンター:ワールド』をプレイしていて、「大蟻塚の荒地」のところにたどり着いた時、ディアブロス亜種に何回も殺されましたから。だから、ディアブロスと戦うのが私本人だったら最悪の結果になっていたでしょうね(笑)。

──そんなディアブロスやリオレウスといったモンスターと戦っている時はどんな気分でしたか?

SFやアクション映画をやるときはいつも興奮しています。実生活の中では絶対に経験できないようなことを味わうことができるのでとても刺激にもなりますし、こういう映画に参加している時は色々な意味でも若さを感じることができて。モンスターとさまざまなシチュエーションで自分自身が戦っていることを想像しなければならなかったりするので、本当に楽しくて仕方ありません。

またディアブロスから砂漠で逃げ回る場面の時、ものすごい量の砂に体が覆われるということがあって、撮影は本当に大変だったのですが、それでも自然の中で撮影できたことは本当に良かったと思っています。そのキャラクターであることを常に実感し続けられたり、リアリティが増したりもできるので。

華麗な双剣さばき

『モンスターハンター』
(c) Constantin Film Verleih GmbH

──そんなモンスターと戦っている時の双剣さばきが、まさしく「グッジョブ!」でした。ゲームのような動きを再現するのは大変だったのではないですか?

実のところ私が双剣を使っているのは、ゲームをプレイしている時に使っていた武器と同じだからなんです。見た目も格好良くて、大剣は私には絶対に無理だと確信していましたから。もちろん映画用に少しは軽く作られていましたけど、それでも大剣は私の身長と同じぐらいの高さがあるので、現実的ではありませんでした。

双剣は気に入ってはいたのですが、それを持ったままいろいろな動きをしたらすぐに腕が疲れ果ててしまうんです。サイズは大剣よりも小さいのですが、それでもかなり大きくて。鬼人化の演出のため、ガスのようなものまで中に入っていたので、余計に重たかったですね。だから慣れるまでには時間とかなりの努力が伴われました。

──大剣といえば、トニー・ジャーが日常で愛用しているかのように華麗に使って見せていましたね。

トニー・ジャーに関しては素晴らしかったと言わざるを得ません。大剣を持ったまま回転するなど、人間離れしたことをしていましたからね。彼は強すぎます。彼と同じぐらいの身長の大剣を熟練者のように使っていました。そんなことをできる彼には尊敬しかありませんでしたよ。

──大剣や双剣以外に、何か使ってみたかった武器はありますか?

もちろんありましたよ。私は操虫棍(そうちゅうこん)の大ファンなので、是非とも使ってみたかったのですが、アメリカの兵士という設定だったので、残念ながら使う機会は与えられませんでした。それでポールは、トニーに使わせることにしたのですが、それはそれで少し落ち込みましたよ。続編が作られることがあれば、トニーに使い方を伝授してもらわなければ(笑)。

極限の砂漠地帯

モンスターハンター
©Constantin Film Verleih GmbH

──剣を使いこなすのも大変だったと思いますが、それ以外に撮影現場で苦労したことはありますか?

私を含めて全員にとって最も大変だったのは、ロケーションだったと思います。昼間は極度に暑かったり、夜は極度に寒かったり、虫も大量にいたりで。それに加えて、私たち俳優陣は鎧を着て、巨大な武器を持ちながら、日中の砂漠を疾走しなければならなかったので、本当に苦労が絶えなかったです。

映画の撮影が終わる頃には、眼球そのものが日焼けしてました。白目は真赤で、目を開くのもままならなかったです。それで面白かったのは、そんな私たちを見た編集担当の方から電話で、“全員の見た目が酷い。よくもここまで疲れているように見せましたね。特殊メイクとか、デジタル加工とか、目に何か入れたりしたんですか?”と聞かれたそうで、それに対して夫は、“いいえ、地獄に送り込んだだけ”と答えたみたいですよ(笑)。

ポール・W・S・アンダーソンとの仕事

モンスターハンター
©Constantin Film Verleih GmbH

──ポール・W・S・アンダーソンの映画監督としての魅力を教えてください。

ポールとは20年近く一緒に仕事をしてきました。彼に驚かされたこととして最も記憶に刻まれているのは、彼の準備力ですね。それと彼は本来であればもっと資金を必要とするような内容でも、あたかも資金が揃っていたかのように上手く見せる方法を知っているんです。それは、彼が映画に対する愛情や情熱にあふれているからこそでしょうね。

──『バイオハザード』シリーズの製作現場を通して、ポール・W・S・アンダーソンの変化は何か感じましたか?

変化したことといえば、映画をより素晴らしくするために雇う人たちをしっかりと選んでいるということですかね。『バイオハザード』の1作目の時、最初のカットをみて、「ポール、こんなゾンビではダメ。とても酷く見える」と正直に感想を伝えたことがありました。本当に酷く映っていて、すぐにでもカットする必要があるみたいな。

修正するのは大変だったと思いますが、私が伝えたことを彼自身も正しいと感じていたので、ゾンビではなく人間たちに焦点を当てるよう上手く軌道修正していました。ゾンビは最終的に多くは登場しませんが、役者たちへの工夫も相まって、とてつもない恐怖を感じる作品になりました。

それから彼はテクノロジーやメイクアップアーティストなど、最先端の若い人たちを雇うようにもなりました。『バイオハザードIII』(2007)を作っていた頃になると、ゾンビのメイクをしていたメイクアップアーティストたちがとにかく凄かったです。ゾンビのクオリティが格段に上がり、信じられないほどにまで恐ろしくなりました。

──たしかにシリーズを重ねるごとに、ゾンビのクオリティが圧倒的な進化を遂げていましたね。

彼はまさしく、モダンゾンビを作り上げたと言えるでしょう。もちろん、さまざまなドラマや映画を通して、ゾンビというジャンル自体も進化しています。ただ『バイオハザードIII』の時は、ゾンビのモデルを作ったのはまさしく彼だったと言えると思います。自身が思い描く最高の映画を作るため、素晴らしい製作陣を集めたゆえの結果でしょうね。それと彼はとにかく映画作りを楽しんでいて、それが作品にも投影されていると思います。

モンスターハンター
©Constantin Film Verleih GmbH

──ありがとうございました!

このたびのオンラインインタビューでは、ミラ・ジョヴォヴィッチが取材中に子供から声をかけられたり、父親から電話が掛かってきたりと、2度に渡り一時中断することになってしまった。もちろん、そんな姿を見られたのは貴重な体験だったのだが、インタビューを終えると彼女はそのことについて丁寧に謝罪。気さくで、笑顔が素敵な方だった。

映画『モンスターハンター』は、2021年3月26日(金)公開。

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。