マッツ・ミケルセン、キロスぬい握インタビュー ─ 『ライオン・キング:ムファサ』で「機会があれば今後も歌に挑戦したい」

──今作は『ライオン・キング』の前日譚ということで、あなたがこれまでに演じたキャラクターの前日譚について考えてみたいと思います。今回はディズニー作品ですので、『ドクター・ストレンジ』のカエシリウスか『ローグ・ワン』のゲイレン・アーソを再び演じるとしたら?
うーん、私が面白いと思うのは……、ハンニバル・レクターですね。子ども時代のハンニバルが見られたら絶対面白いと思う(笑)。一方で、見たくないかもしれない。見ない方がいいかもしれない。彼が彼であることに、言い訳も理由もいらないのです。彼は彼、それでいい。
今作では、スカーの物語がいいですね。彼がなぜスカーになったかは、語られるべきだったと思います。でも、そういうことをしない方がいい映画もある。
──以前、『モンスターズ・インク』(2001)のデンマーク語吹替でも声優を務めていらっしゃいましたね(※ランドール・ボッグス役)。声優業の楽しいところはなんですか?
『モンスターズ・インク』の時は、できるだけオリジナル版をコピーしようとしました。オリジナル版はスティーヴ・ブシェミでしたね。なので我々はできるだけコピーをして、そこから自分らしさを出しました。
でも『ライオン・キング:ムファサ』は全く別でした。元となるものがないわけです。1枚のスケッチがあるだけで、それでシーンをやる。それから少しだけアニメーションが上がってきて、また収録していく。ゼロからの仕事になりました。どんな感じになるのかを想像しながらの仕事なので、元の素材が全てあるものとは真逆でした。
ディズニー映画でそんなことをやらせてもらえるなんて、すごく光栄でした。私が生まれるよりずっと前からあるものですから。伝説のクラシック映画がたくさんあるディズニーからオリジナルキャラを演じてくれと依頼されるなんて、素晴らしいことです。

──今作では、人間のキャラクターとは違った喋り方を心がけましたか?
はい。全てが現実より少し誇張されている感じはありました。もしもカメラに顔を撮られていたら、大袈裟な演じ方はしなかったと思います。でも今回はカメラに写っておらず、アニメで描かれているので、全てを隠すことができる。もしも収録風景をカメラに収めていたら、全ての俳優たちはアニメーション的な調子で、身体を使ったり、叫んだりしていたと思います。これはカメラの前では絶対にやらないような演じ方です。でも、アニメーションの世界観なら少し大袈裟にできるので、そういう演じ方ができるわけです。
──Instagramで拝見する限り、あなたは犬を飼っていらっしゃる?
はい。
──じゃあ、どちらかというと犬派でしょうか?
動物はなんでも好きです。犬だけでなく、猫を飼ったこともありますよ。虎が飼えるなら飼いたいくらいです。飼っている犬の名前はメッシ。サッカー選手です。女の子なんですけどね。
──僕はアニメーション版『ライオン・キング』を観て育ったので、今作では全ての起こりが見られて興奮しました。あなたはアニメーション版にどのような思い入れがありますか?
私は小さい頃に観たわけではないですが、子どもたちは観て育っていますね。特に娘は小さい頃に観ていて、それから息子も。だから私も、DVDやBlu-rayで何百回も観ました。素晴らしい映画ですよね。いつ観ても色褪せない、クラシック作品です。
どの世代にもクラシックがありますよね。『アナと雪の女王』を観て育ったという世代もいるだろうし、私の場合は『ジャングル・ブック』でした。そういうわけで、『ライオン・キング』は大好きです。
──本作のテーマについて教えていただけますか?
テーマはたくさんあります。私にとってこの映画の中核は、タカとムファサの兄弟関係と、タカがスカーになるという流れ。シェイクスピア的な魅力があります。近しい間柄同士では、何か細かい亀裂が走ると、一方の性格が内側から蝕まれてしまう。嫉妬心が憎しみへと変わっていくのです。とてもシェイクスピア的で、見ていて辛い。それが私にとっての主題です。ムファサは、王座につきたい者などいないと考えていましたが、そこに選ばれるライオンもいる。そういう物語です。
映画『ライオン・キング:ムファサ』は2024年12月20日、公開。
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