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『ボヘミアン・ラプソディ』に続け?マイケル・ジャクソンやマドンナなど、今後のミュージシャン伝記作注目12本

ボヘミアン・ラプソディ
© 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation, Regency Entertainment (USA), Inc. and TSG Entertainment | Finance LLC in the U.S. only. © 2018 Twentieth Century

The Show Must Go On! クイーンのフロントマン、フレディ・マーキュリーの激動の人生を描いて大ヒットを記録した『ボヘミアン・ラプソディ』(2019)に続けと言わんばかりに、ハリウッドでは現在、有名ミュージシャンやバンドの伝記映画・ドラマ企画が続々と立ち上がっている。

誰もが知る有名ミュージシャンの人生が映画化されるとあれば、そのアーティストのファンはもちろんのこと、多くの関心を集めることができる。名曲を使用できれば、『ボヘミアン・ラプソディ』のライブシーンのように胸躍る演出もできる。それに伝説的なアーティストとは、得てしてドラマチックな人生を歩んでいるものだ。『ボヘミアン・ラプソディ』や『ロケットマン』、『ジュディ 虹の彼方に』などは、ミュージシャンの伝記とハリウッドとの相性の良さを華々しく証明してみせた。

今後、世界中の音楽ファンはどんな伝記映画・ドラマに期待できる?この記事では、現時点で伝えられている情報を先取りで総まとめ。楽しみな企画を見つけたら、さっそく楽曲をプレイリストに追加して、いつか公開される日まで期待を高めて待つとしよう(ちなみに記事内で紹介しているYouTube動画はそれぞれのアーティストの公式ミュージックビデオやライブ映像で、映画・ドラマ企画とは関係ないのであしからず)。

マイケル・ジャクソン

まずはじめにご紹介したいのは、説明不要のキング・オブ・ポップ、マイケル・ジャクソンの伝記映画企画。マイケルの幼少期や「ジャクソン5」時代から、ポップスターとしての躍進、そして少年への性的虐待疑惑や訴訟の問題が撮り沙汰された晩年までを描く内容になるとのこと。マイケルの人生を美化して描く脚本ではないと伝えられている。

この企画を進めているのは、『ボヘミアン・ラプソディ』でもプロデュースを務めたグレアム・キング。マイケル・ジャクソンの生涯を映画化する権利、およびマイケルの全楽曲を映画に使用する権利を獲得しているという。脚本は『アビエイター』(2004)や『007 スカイフォール』(2012)などのジョン・ローガンが執筆する。

2019年11月に初報が伝えられたが、続報はなかなか聞こえてこない。気になるのは、一体だれがMJを演じるかということだ。Who’s Bad!

マドンナ

キング・オブ・ポップに続いては、今なお現役のクイーン・オブ・ポップ、マドンナも自らの伝記映画に乗り出している。自分自身は出演しない意向のものの、セルフ監督&共同脚本を務めるという。自分の物語を自分で撮るだなんて、さすがはマドンナ。映画ではマドンナがトップチャートを席巻していく成長劇が描かれるとのことだ。

キャリア形成前のマドンナといえば、19歳の頃にわずか35ドルを手に、何の行くあてもないままニューヨークに旅立ち、タクシー運転手に「この街で一番華やかな場所へ行って」と伝えてたどり着いたタイムズスクエアにて「神よりも有名になる」と誓ったというエピソードなどが知られる。その後、数々の苦難を乗り越えて世界的スターとなるサクセスストーリーが描かれることとなりそうだ。

共同脚本は『JUNO/ジュノ』(2007)のディアブロ・コーディ。マドンナ本人ほか、製作にはMCU版『スパイダーマン』シリーズや『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)エイミー・パスカルも加わる。配給は米ユニバーサル・ピクチャーズ。

ホイットニー・ヒューストン

「オールウェイズ・ラヴ・ユー」「アイ・ハヴ・ナッシング」など数々の名曲で知られ、2012年にそのステージを天国に移した歌姫ホイットニー・ヒューストンの伝記映画『 I Wanna Dance With Somebody(原題)』も進行中。既にホイットニー役としてナオミ・アッキーのキャスティングも決定している。

期待が高まることに、『ボヘミアン・ラプソディ』でも脚本を手掛けたアンソニー・マクカーテンが製作と執筆を担当。物語についてアンソニーは「無名時代からスーパースターまでの旅路を追及しながら、空前絶後の偉大な女性R&Bポップアーティストの人生と音楽を、楽しくエモーショナルで感動的に祝福したもの」と表現している。 劇中では、ホイットニーが生み出した数々の名曲が披露されるという。監督は気鋭のフィルムメーカー、ステラ・メギーだ。

ちなみにホイットニーの関連作品といえば、彼女の素顔に迫るドキュメンタリー『ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~』が2019年1月に日本公開されている。

プリンス

『ボヘミアン・ラプソディ』がヒットを記録している最中に報じられたのが、プリンスの映画。もっとも、こちらはプリンスの伝記映画ではなく、オリジナル脚本のミュージカル作品になるということだから、感覚としてはABBAの『マンマ・ミーア!』に近いかもしれない。そもそもプリンスには、既に自伝的映画『プリンス/パープル・レイン』(1984)が存在する。この度の映画のエグゼクティブ・プロデューサーを担当するのは、プリンス財団のエンターテインメント・アドバイザーであり、ジョン・レジェンドやレディー・ガガらを世に送り出したトロイ・カーター氏。

KISS

伝説的ロックバンド、「KISS」の伝記映画のニュースが飛び込んできたのは2021年4月のことで、Netflixにて交渉成立間近だという。

タイトルは『Shout It Out Loud』で、KISSのライブシーンを大部分としながら、リーダーのジーン・シモンズとポール・スタンレーの悪ガキ時代からの友情までさかのぼり、エース・フレーリー(ギター)とピーター・クリス(ドラム)との出会いと、バンドの結成を描いていくという。参考作として、1991年の青春バンド映画『ザ・コミットメンツ』が挙げられている。監督は『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(2017)のヨハヒム・ローニング。脚本は『ボーン・アイデンティティー』(2002)のウィリアム・ブレイク・ヘロンの原稿を基に、新鋭オーレ・サンダースが手掛けていることが決定している。

ちなみにNetflixでのロックバンドの伝記映画といえば、モトリー・クルーの『ザ・ダート:モトリー・クルー自伝』(2019)が記憶に新しい。

セックス・ピストルズ

『トレインスポッティング』(1996)『イエスタデイ』(2019)のダニー・ボイル監督によって既に撮影も進んでいるのが、イギリスの伝説的パンク・ロック・バンド「セックス・ピストルズ」の伝記ドラマ。既にライブシーンを収めた劇中写真も公開されている

ドラマでは、ギタリストのスティーヴ・ジョーンズによる伝記『Lonely Boy: Tales from a Sex Pistol』に基づき、セックス・ピストルズが「ロンドンの公営住宅から、ヴィヴィアン・ウエストウッドとマルコム・マクラーレンによるキングスロードのブティックSEX、そして史上最も影響力のあるアルバムに挙げられる『勝手にしやがれ!!』発売による世界的な論争に至るまで」の物語を描くとされる。全6話構成のリミテッドシリーズで、米FXで2022年放送予定。

ラモーンズ(ジョーイ・ラモーン)

1970年代のパンクロックシーンを代表するバンドの企画が続く。イギリスのピストルズに対して、アメリカ発として絶大な人気を誇ったラモーンズ関連の伝記映画だ。『ボヘミアン・ラプソディ』がフレディ・マーキュリーの伝記として製作されたように、こちらはラモーンズのフロントマン、ジョーイ・ラモーンを描く作品となる。

原題は『I Slept With Joey Ramone』。映画はジョーイの生い立ちからラモーンズとしての活動を描く内容となり、原作はジョーイの弟ミッキー・リーによる同名の回顧録だ。ジョーイ役を演じるのは、DC映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』にも出演のピート・デヴィッドソン。モトリー・クルーの伝記『ザ・ダート モトリー・クルー自伝』(2019)にも登場していた。監督は、デヴィッドソンも出演した『Big Time Adolescence(原題)』(2020)のジェイソン・オーレイ。

ちなみにラモーンズの楽曲といえば、近年では『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)に「電撃バップ!」が、『シャザム!』(2019)でも「大人になんかなるものか」が起用されていたので、アメコミ映画ファンにとっても聞き覚えがあるはず。

Source:Variety

ビージーズ

ディスコブームを象徴する伝説のポップス・グループ「ビージーズ」の代表曲には、「ステイン・アライブ」や「愛はきらめきの中に」など、色褪せない名曲ぞろい。1977年にはビージーズの楽曲をフィーチャーした『サタデー・ナイト・フィーバー』も大ヒットしたが、今度は伝記映画として彼らの物語が描かれる

プロデューサーを務めるのは、『ボヘミアン・ラプソディ』 を製作し、マイケル・ジャクソンの伝記映画も企画しているとして先に紹介したグレアム・キング。『ロケットマン』のパラマウント・ピクチャーズは、すでにビージーズのメンバーであるギブ3兄弟の映像化権、および映画にビージーズの名曲を使用する権利を取得しているという。

ちなみに『レディ・プレイヤーワン』(2018)では、主人公のパーシヴァルがナイトクラブで「ステイン・アライブ」を自信たっぷりに選曲する。

ジョン・レノンとオjohn ノ・ヨーコ

ジョン・レノンに関する映画といえば『チャプター27』(2007)や『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』(2010)などいくつかあるが、この度はジョン・レノンと妻オノ・ヨーコを描く伝記映画が企画中だ。オノとレノンの恋愛を中心とする物語となり、レノンの殺害事件が起こる直前で幕を閉じる内容だという。

オノ・ヨーコ自身がプロデューサーとして参加するため、ジョン・レノンの楽曲がサウンドトラックとして使用される見込み。これはプロデューサー陣の説得で実現したものだそう。

監督は『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャン=マルク・ヴァレで、脚本は『ボヘミアン・ラプソディ』のアンソニー・マクカーテン。先にご紹介したホイットニー・ヒューストンの伝記映画も担当する人物だ。

ブライアン・エプスタイン(ザ・ビートルズのマネージャー)

ザ・ビートルズ関連としてもうひとつ、バンドのマネージャーであるブライアン・エプスタインの伝記映画も準備中だ。主演は「クイーンズ・ギャンビット」ジェイコブ・フォーチュン・ロイドが務める。

この企画で注目したいのは、監督に『ロード・オブ・カオス』のジョナス・アカーランドが決定していること。『ロード・オブ・カオス』はブラックメタルバンド「メイヘム」の伝記映画だったから、既にバンドの物語の映像化は経験済み。しかもアカーランドは自身も元バンドマンなので、リアルな演出をしてくれそう。ビートルズの生まれ故郷、リバプールで撮影予定。

マリアンヌ・フェイスフル

『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディ・マーキュリーの恋人メアリー・オースティンを演じたルーシー・ボイントンが実在の人物役に挑戦する伝記映画。演じるのは、波乱の人生で知られる歌手・女優のマリアンヌ・フェイスフル役だ。『ルパン三世』峰不二子のモデルになったとも言われる女性である。

マリアンヌは、弱冠18歳で歌手デビューし、一躍ポップ・アイドルとしての人気を獲得した。その後、「ローリング・ストーンズ」のミック・ジャガーとの交際を始めるが、1960年代後半からドラッグやアルコールへの依存、流産、精神不安による度々の自殺未遂などの問題に苦しめられることに。1979年にアルバム「Broken English」で歌手活動を本格的に再開し、ロックをはじめとする新境地をもって、歌手としての第一線に復帰した。本作は、1960年代半ばのロンドンに始まり、マリアンヌの波乱万丈な人生を描く物語になる模様。監督は『マックイーン:モードの反逆児』(2018)イアン・ボノート。

トミー・リー(モトリー・クルー)

世界的ロックバンド、「モトリー・クルー」のドラム、トミー・リーを描く作品「Pam & Tommy(原題)」。映画ではなく、米Hulu配信の全8話のリミテッドシリーズだ。数々の騒動でも知られるトミーと妻のパメラ・アンダーソンの熱愛とスキャンダルを描くシリーズとなる。

この破天荒なドラマーを演じるのは、『アベンジャーズ』や「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」でお馴染みのセバスチャン・スタン。既にタトゥーだらけの劇中ルックが公開されていて、その憑依ぶりは「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」で共演のアンソニー・マッキーも「ビックリ」「こんなことができたのか」と驚いたほど

妻のパメラ役は『ベイビー・ドライバー』(2017)などのリリー・ジェームズ。ほか共演はセス・ローゲンら。原案・製作は「ザ・ボーイズ」(2019-)などのセス・ローゲン&エヴァン・ゴールドバーグ、監督は『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017)『クルエラ』(2021)のクレイグ・ガレスピー、脚本は『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(2016)のロバート・シーゲル。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。