リーアム・ニーソン出演100作全リスト ─ 映画『探偵マーロウ』までのキャリア解説

ハードボイルド小説の巨匠、レイモンド・チャンドラーが生み出した伝説的な私立探偵フィリップ・マーロウをリーアム・ニーソンが演じる『探偵マーロウ』が2023年6月16日より全国公開となる。
この作品はで記念すべき出演100作目となったリーアム・ニーソン。これまでの出演作100本全部載せリストとともに、彼のフィルモグラフィーを振り返る。
リーアム・ニーソン 出演100作 全リスト
| No. | 公開年 | 原題(オリジナルが英語以外の場合は英題) | 邦題 | 役名 | 
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1978 | Pilgrim’s Progress | 邦題なし | 伝道師など | 
| 2 | 1979 | Christiana | 邦題なし | 勇者など | 
| 3 | 1981 | Excalibur | エクスカリバー | ガウェイン | 
| 4 | 1983 | Krull | 銀河伝説クルール | キーガン | 
| 5 | 1984 | The Bounty | バウンティ 愛と反乱の航海 | チャーチル | 
| 6 | 1985 | Lamb | 邦題なし | マイケル・ラム | 
| 7 | 1985 | The Innocent | ひと夏の青春 | ジョン・カーンズ | 
| 8 | 1986 | The Mission | ミッション | フィールディング | 
| 9 | 1986 | Duet for One | デュエット・フォー・ワン | トッター | 
| 10 | 1987 | A Prayer for the Dying | 死にゆく者への祈り | リーアム・ドチェッティ | 
| 11 | 1987 | Suspect | 容疑者 | カール・ウェイン・アンダーソン | 
| 12 | 1988 | Satisfaction | サティスファクション | マーティン・ファルコン | 
| 13 | 1988 | The Dead Pool | ダーティハリー5 | ピーター・スワン | 
| 14 | 1988 | The Good Mother | 情熱の代償 | レオ・カッター | 
| 15 | 1988 | High Spirits | プランケット城への招待状 | マーティン・ブロガン | 
| 16 | 1989 | Next of Kin | パトリック・スウェイジ/復讐は我が胸に | ブライアー | 
| 17 | 1990 | Darkman | ダークマン | ウェストレイク/ダークマン | 
| 18 | 1990 | The Big Man | スピリット/傷だらけの栄光 | ダニー | 
| 19 | 1991 | Under Suspicion | 疑惑に抱かれて | トニー・アーロン | 
| 20 | 1992 | Shining Through | 嵐の中で輝いて | フランツ=オットー・ディートリッヒ | 
| 21 | 1992 | Husbands and Wives | 夫たち、妻たち | マイケル・ゲイツ | 
| 22 | 1992 | Ruby Cairo | ルビー・カイロ | ファーガス・ラム | 
| 23 | 1992 | Leap of Faith | 奇跡を呼ぶ男 | ウィル | 
| 24 | 1993 | Ethan Frome | 哀愁のメモワール | イーサン・フローム | 
| 25 | 1993 | Schindler’s List | シンドラーのリスト | オスカー・シンドラー | 
| 26 | 1994 | Nell | ネル | ジェローム・ラヴェル | 
| 27 | 1995 | Rob Roy | ロブ・ロイ/ロマンに生きた男 | ロブ・ロイ | 
| 28 | 1996 | Before and After | 判決前夜/ビフォア・アンド・アフター | ベン・ライアン | 
| 29 | 1996 | Michael Collins | マイケル・コリンズ | マイケル・コリンズ | 
| 30 | 1996 | A Leap of Faith | 邦題なし | ナレーター | 
| 31 | 1998 | Les Misérables | レ・ミゼラブル | ジャン・バルジャン | 
| 32 | 1999 | Star Wars: Episode I – The Phantom Menace | スター・ウォーズ エピソードⅠ ファントム・メナス | クワイ=ガン・ジン | 
| 33 | 1999 | The Haunting | ホーンティング | デヴィッド・マロー博士 | 
| 34 | 2000 | Gun Shy | ガンシャイ | チャーリー | 
| 35 | 2002 | K-19: The Widowmaker | K-19 | ミハイル・ポレーニン副長 | 
| 36 | 2000 | The Endurance: Shackleton’s Legendary Antarctic Expedition | 邦題なし | ナレーター | 
| 37 | 2002 | Gangs of New York | ギャング・オブ・ニューヨーク | ヴァロン神父 | 
| 38 | 2003 | Love Actually | ラブ・アクチュアリー | ダニエル | 
| 39 | 2004 | Kinsey | 愛についてのキンゼイ・レポート | アルフレッド・キンゼイ | 
| 40 | 2005 | Kingdom of Heaven | キングダム・オブ・ヘブン | ゴッドフリー | 
| 41 | 2005 | Batman Begins | バットマン ビギンズ | ヘンリー・デュカード/ラーズ・アル・グール | 
| 42 | 2005 | Breakfast on Pluto | プルートで朝食を | リーアム神父 | 
| 43 | 2005 | The Chronicles of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe | ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女 | アスラン(声の出演) | 
| 44 | 2006 | Home | 邦題なし | 本人役 | 
| 45 | 2006 | Seraphim Falls | セラフィム・フォールズ | カーヴァー | 
| 46 | 2007 | Trumbo | 不屈の天才脚本家 ダルトン・トランボの半生 | 本人役 | 
| 47 | 2008 | Taken | 96時間 | ブライアン・ミルズ | 
| 48 | 2008 | The Chronicles of Narnia: Prince Caspian | ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛 | アスラン(声の出演) | 
| 49 | 2009 | Ponyo on the Cliff by the Sea | 崖の上のポニョ | フジモト(声の出演) | 
| 50 | 2008 | The Other Man | アザーマン -もう一人の男- | ピーター | 
| 51 | 2009 | Five Minutes of Heaven | レクイエム | アリスター・リトル | 
| 52 | 2009 | Chloe | クロエ | デヴィッド・スチュアート | 
| 53 | 2009 | After.Life | アフターライフ | エリオット・ディーコン | 
| 54 | 2010 | The Wildest Dream | 邦題なし | ナレーター | 
| 55 | 2010 | Clash of the Titans | タイタンの戦い | ゼウス | 
| 56 | 2010 | The A-Team | 特攻野郎Aチーム THE MOVIE | ハンニバル | 
| 57 | 2010 | The Next Three Days | スリーデイズ | デイモン・ペニントン | 
| 58 | 2010 | The Chronicles of Narnia: The Voyage of the Dawn Treader | ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島 | アスラン(声の出演) | 
| 59 | 2011 | Unknown | アンノウン | マーティン・ハリス博士 | 
| 60 | 2011 | The Grey | THE GREY 凍える太陽 | オットウェイ | 
| 61 | 2012 | Wrath of the Titans | タイタンの逆襲 | ゼウス | 
| 62 | 2012 | Battleship | バトルシップ | シェーン提督 | 
| 63 | 2012 | The Dark Knight Rises | ダークナイト ライジング | ラーズ・アル・グール | 
| 64 | 2012 | Taken 2 | 96時間/リベンジ | ブライアン・ミルズ | 
| 65 | 2013 | Girl Rising | Girl Rising ~私が決める、私の未来~ | ナレーター | 
| 66 | 2013 | Khumba | サバンナ・アドベンチャー | パンゴ(声の出演) | 
| 67 | 2013 | Third Person | サード・パーソン | マイケル | 
| 68 | 2014 | The Nut Job | ナッツジョブ サーリー&バディのピーナッツ大作戦! | ラクーン | 
| 69 | 2014 | Non-Stop | フライト・ゲーム | ビル・マークス | 
| 70 | 2014 | The Lego Movie | LEGO®ムービー | バッド・コップ/グッド・コップ/パパ・コップ(声の出演) | 
| 71 | 2014 | Road | ロード デスティニー・オブ・TTライダー | ナレーター | 
| 72 | 2014 | Manny | MANNY/マニー | ナレーター | 
| 73 | 2014 | A Million Ways to Die in the West | 荒野はつらいよ〜アリゾナより愛をこめて〜 | クリンチ | 
| 74 | 2014 | The Prophet | 預言者 | ムスタファ(声の出演) | 
| 75 | 2014 | A Walk Among the Tombstones | 誘拐の掟 | マット・スカダー | 
| 76 | 2014 | Love Thy Nature | 邦題なし | ナレーター | 
| 77 | 2014 | Taken 3 | 96時間/レクイエム | ブライアン・ミルズ | 
| 78 | 2015 | Run All Night | ラン・オールナイト | ジミー・コンロン | 
| 79 | 2015 | Entourage | アントラージュ★オレたちのハリウッド:ザ・ムービー | 本人役 | 
| 80 | 2015 | Ted 2 | テッド2 | スーパーマーケットの客 | 
| 81 | 2015 | A Christmas Star | ノエル クリスマスに生まれた奇跡 | ナレーター/ラジオDJ(声の出演) | 
| 82 | 2016 | Operation Chromite | オペレーション・クロマイト | ダグラス・マッカーサー | 
| 83 | 2016 | A Monster Calls | 怪物はささやく | 怪物(声の出演) | 
| 84 | 2016 | Silence | 沈黙 -サイレンス- | クリストヴァン・フェレイラ神父 | 
| 85 | 2017 | Mark Felt: The Man Who Brought Down the White House | ザ・シークレットマン | マーク・フェルト | 
| 86 | 2018 | The Commuter | トレイン・ミッション | マイケル・マコーリー | 
| 87 | 2018 | The Last Horsemen of New York | 邦題なし | 本人役 | 
| 88 | 2018 | The Ballad of Buster Scruggs | バスターのバラード | 興行師 | 
| 89 | 2018 | Widows | ロスト・マネー 偽りの報酬 | ハリー | 
| 90 | 2019 | Cold Pursuit | スノー・ロワイヤル | ネルズ・コックスマン | 
| 91 | 2019 | Men in Black: International | メン・イン・ブラック:インターナショナル | ハイT | 
| 92 | 2019 | Ordinary Love | オーディナリー・ラブ/ありふれた愛の物語 | トム | 
| 93 | 2019 | Star Wars: The Rise of Skywalker | スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(エピソード9) | クワイ=ガン・ジン(声の出演) | 
| 94 | 2020 | Made in Italy | 邦題なし | ロバート | 
| 95 | 2020 | Honest Thief | ファイナル・プラン | トム・カーター | 
| 96 | 2021 | The Marksman | マークスマン | ジム | 
| 97 | 2021 | The Ice Road | アイス・ロード | マイク・マッキャン | 
| 98 | 2022 | Blacklight | ブラックライト | トラヴィス・ブロック | 
| 99 | 2022 | Memory | MEMORY メモリー | アレックス・ルイス | 
| 100 | 2022 | Marlowe | 探偵マーロウ | フィリップ・マーロウ | 
※IMDB、Numbersほか映画サイトを基に作成。
※ノンクレジットの作品、50分以下の作品を除外しています。
※公開年については、映画祭を含む最も早い上映年で統一しています。
※公開年順(同一公開年の場合は早く公開された順)に並べているため、連番は製作順とは限りません。
リーアム・ニーソンのキャリア解説
舞台俳優として演技のキャリアをスタートさせたリーアムが初めて出演した映画は、1978年の『Pilgrim’sProgress』(日本未公開)。宗教書を映画化した作品で、当時20代前半のリーアムは主人公の旅を支える伝道師役で映画デビューを飾った。日本で初めて公開されたのは、出演3本目の『エクスカリバー』(1981)。ヘレン・ミレンなどイギリスの人気俳優たちのアンサンブルに参加した。
彼の運命が大きく変わり始めたのは、ハリウッドに活躍の場を移してから。シェール主演の『容疑者』(1987)で演じた耳が聞こえず口も利けないホームレスの男・カール役の演技が高く評価され、次第に名を広めていく。そこから、『探偵マーロウ』の監督を務めたニール・ジョーダン監督と初めてタッグを組んだ『プランケット城への招待状』(1988)に出演、続く『情熱の代償』(1988)でもメインキャストの1人として注目を浴び、『ダーティハリー5』(1988)ではクリント・イーストウッドと共演、ついに1985年『Lamb』(日本未公開)で初主演を果たす。
そうして誰もが知る、スティーヴン・スピルバーグ監督の、アカデミー賞作品賞含む7部門受賞作品『シンドラーのリスト』(1993)で主人公オスカー・シンドラーを演じ、世界的に高い評価を受け“演技派”のイメージを確固たるものにした。1993年からはブロードウェイにも活躍の場を広げながら、映画にも積極的に出演。実在したアイルランドの英雄を描いた『マイケル・コリンズ』(1996)では、ニール・ジョーダン監督と2回目のタッグを組み、ベネチア国際映画祭男優賞を受賞した。
リーアムを語るうえで外せないのは、演技派として知られていたリーアムのイメージをがらりと変え、老若男女幅広く愛されるようになったきっかけになった『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)のクワイ=ガン・ジン。人情に厚く誠実で、己の信念を貫き通すキャラクターが、出演以降リーアム自身のイメージにもなったと言えるだろう。
その後、クリストファー・ノーラン監督の『バットマン ビギンズ』(2005)や『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』(2005)などのビッグバジェット作品にも多数出演し、演技派から大衆的人気を誇る映画スターとしての地位を確立させた。
現在のリーアムは“アクション俳優”という肩書が一番に思い浮かぶが、そのイメージを決定づけたのは『96時間』(2008・2012・2014)シリーズ。寡黙でクールで無敵な元CIA工作員の主人公ブライアン・ミルズ役はリーアムのハマり役で、アクションスターとして俳優人生の第2幕を開けた。
99本目の出演作『MEMORYメモリー』でも、アクションスターぶりは健在。アルツハイマーを患い記憶を失っていく殺し屋という演技力も体力も必要とされる難役に70歳で挑み、貫禄のアクションを見せている。
さらに6月16日公開となる『探偵マーロウ』では、そのアクションスターイメージから久しぶりに脱却。ハットとスーツ姿でたばこを咥え、クラシックカーを乗り回し、闇深い事件の真実を追い求める、ダンディズム溢れるフィリップ・マーロウ。リーアムの新たな魅力が開花した本作は映画ファンなら絶対に見逃せない一作となっている。
俳優人生45年、来月には71歳になるリーアム。まだまだ引退する気配のない彼の活躍に今後も期待したい。

『探偵マーロウ』でリーアムが演じるフィリップ・マーロウは、タフで孤独なジェントルマン。女性にモテるが友情を重んじ、どんな時も権力に媚びないその生きざまは、世界中のファンを長きにわたり魅了してきた。ハンフリー・ボガート、ロバート・ミッチャムといった名立たる俳優たちが扮したこのキャラクターについて「フィリップ・マーロウは、かつて監督や脚本家たちの頭の中にあった”私立探偵像”を永遠に変えてしまった。そんなキャラクターをずっと演じてみたいと思っていた」と、念願かなっての出演だったと語っている。
原作はブッカー賞受賞作家ジョン・バンヴィルが、ミステリー小説を手がける際の“ベンジャミン・ブラック”名義で著した「黒い瞳のブロンド」(小鷹信光訳/早川書房刊)。村上春樹の新訳が話題を呼んだチャンドラーの傑作「ロング・グッドバイ」の続編として本家の公認を受けている。
メガホンをとったのは『クライング・ゲーム』(1992)でアカデミー賞脚本賞を受賞したニール・ジョーダン。共にアイルランド出身であるリーアムとのタッグは4度目、たしかな信頼関係のもと“リーアム・ニーソンのフィリップ・マーロウ”を見事に演出した。共演には『女は二度決断する』(2017)でカンヌ国際映画祭女優賞に輝いたダイアン・クルーガー、アカデミー賞・エミー賞・トニー賞すべてを受賞=通称“演技の三冠”を達成しているジェシカ・ラングなど、実力派女優陣が華を添える。
『探偵マーロウ』は2023年6月16日、TOHO シネマズ シャンテほか全国ロードショー。
 THE RIVER編集部
THE RIVER編集部




 
							 
							 
							 
							















 
                                                    






