Menu
(0)

Search

セフレから本命はありえる?”間違った関係”は続かない?『ナインハーフ』に学ぶ大人の恋

突然ですが、恋愛の話をする時盛り上がる話題の1つに『浮気相手、もしくはセフレから恋人になることはあるのか(ダイレクトでごめんなさい)』というのがあると思うのですが皆様どうでしょうか。女性にとってはなかなか答えが出ない問題であり、自分でもどうしたいのか分からない悩みであると思うのですが、男性の方はまずこの”セフレ””浮気相手”と”恋人”を結びつけて考えることってあるのでしょうか。あまり周りの男友達からは、こんな話は聞かないのですけれど、女性にとってはなかなか解決できない問題なんです。

今回は80年代に大ヒットした超エロティック映画の「ナインハーフ」から、男女の関係について考えていきたいと思います!

きわどいシーン満載の『ナインハーフ』

image

「ナインハーフ」といえばかなりきわどいセクシーなシーンが満載で有名ですよね。初めて観たときは「大人ってこんなことするんだ・・・氷も使うんだ・・・(笑)」と興味津々で魅入ってしまったのですけれど、ちょっと自分も大人になってから観返すと「これ結構深い映画じゃん!」ということに気づきまして。女性の繊細で複雑な恋する気持ちがよく描かれているし、男性には良い意味で悪い意味でもモテる要素がたくさんつまっている!と。

「ナインハーフ」の主人公2人、リズとジョンは一応”恋人同士”という体裁でただの”セフレ”とはちょっと違いますけれど、一応ジョンは既婚者ですし2人の関係は”肉体関係が大きかった”と思うので この2人から”よく分からない関係から本命ってなるのか”について、また”こういう所に女は弱い!”というポイントを見ていきたいと思います。

【注意】

この記事には、1986年の映画『ナインハーフ』に関するネタバレ内容が含まれています。

nine-weeks

出会い〜関係の始まり

離婚したばかりのリズと、街中で出会った謎の男ジョン。いきなりナンパされてそれでまた再会してどうにかなっちゃう・・・なんて絶対ありえないだろうと突っ込みたくなりますがそれはさておき。

第三者から見るとジョンは最初から超下心満載、というか下心しか見えませんよね!でもリズはあやしみながらも惹かれていってしまいます。それはジョンがちゃんと女心が”(いい意味で)ゾクッと”するポイントをおさえているからです。

まずは露店でリズが買えなかったストールを後からプレゼントするシーン。「結局プレゼントに弱いんじゃん!」と思われそうですがそうです、女性は贈り物に弱いです。あの時のさりげなく、決して「きみの為に買ってきたよ!」感満載ではない渡し方。
そのあともジョンはリズの会社に、花束を贈ったりしますよね。もちろん直接でも良いんですけれど、人を介して贈ってくれる・・・という所になんだかときめくんですよ。「花束を選んで、郵便屋さんに頼んで、私をびっくりさせようと思って・・・」という風に考えちゃうものなんです。

でもこの頃からジョンのリズに対する軽い洗脳は始まっています。例えば、リズを観覧車に乗せてそのままにするシーン。めちゃくちゃひどいですがこの高い所に置き去りにする→そして下ろしてあげる、ここでもうリズは気づかないうちにジョンに依存してしまっているわけです。ひどい状況に置かれた、でも(観覧車の上から)助けてくれた。置き去りにしたのも下ろしたのもジョンですが、この”結局助けてくれた”という部分がリズの頭の中に残ってしまったんです。

こうして2人の関係は始まったのですが、お互いに深い話はしていません。とくにジョンは。この”よく分からない、ミステリアスな男”をもっと知りたいという気持ちがリズの恋心を刺激したのでしょう。

蜜月

2人は毎日一緒、氷を使うわ食べ物を使うわ、ほんっとうにいろんな事をします。この間にもリズはどんどんとジョンの虜になっていきます。というよりも、”自分の女としての自信”を満たされている幸せに浸っている、というところでしょうか。

image

この”オレ好みの女にしてやる”と風にされるのは 女性からすると満更でもない気持ちなのです。(やめてよ気持ち悪い! という人もいると思いますけれど)”女性として求められている”という事は、女としての”美しさ””若さ””色っぽさ”への自信へも繋がります。
だからリズはもちろんジョンの事を好きだったでしょうし、”愛している”と思っていたとは思いますが でもそれと同時に”女として満たされている幸せ、女として色っぽくいれる関係”に満足感を得ていたのではないかと思います。

相変わらずジョンは自分の事を語ることはせず、リズが周りを探ろうとするとひどく怒ります。ラブラブな恋人同士、2人で過ごす時間は甘く幸せ。でも相手の事を深くは分からない。
リズはこの蜜月の間にも、どこかわかっていた部分があったのではないでしょうか。”好きだと思うけれど、愛だとは思うけれど、落ち着きのある愛ではない。そしてずっとは続かない”。

前に”女子はジョーカーとハーレイちゃんみたいな、マッドな恋愛が好き!”というお話をしたのですが、その通り、”危険な関係”にはドキドキします。でも女性は少し経てばすぐ冷静になり”落ち着き”を考え始めます。(ハーレイも本当は普通のお嫁さんになることを夢見ていましたよね)でもリズはそこで”あなたは何者なの?私のことを本当はどう思っているの?”という言葉を口にしたら、この甘い時間が終わることは分かっていた。だから不安を振り払うように、官能的な行為に溺れていったのでしょう。

ジョンの過激化〜2人の終わり

2人の関係が続くにつれて、ジョンの行為がだんだんデートDV化。奴隷みたいに扱ったり、犬みたいに床をはえと命令したり、娼婦を呼んだり。最初はかっこよく見えていたミッキー・ロークもただの変態おじさんに見えてきます。でもこの”色々厳しいことを言う→優しくされる”このサイクルにはまってしまう!という女性、”いるいる!こういう奴!”と共感される方も多いのではないでしょうか。

リズもこのダラダラと続く関係にはっきりと疑問を持つように。そして彼女は”焦燥感”を感じはじめます。なぜなら同僚は幸せそうだし、自分が取り残されている気がするから。結局ジョンと自分は”体””欲望を埋め合う”のが大きな部分となっている関係、”心と心”の繋がりや”信頼”を築き合うものではないと再確認したからです。

だからリズは関係に終止符を打つことをきめ、ジョンの元から去ります。切ないシーンですが、案外リズはあの後普通に立ち直るのではないか・・・?と思います。きっと”体や女としての自信”だけではなく、”心の落ち着き”を満たしてくれる人を見つけたらコロッとジョンのことを忘れられるでしょう。

反対にジョンはどうでしょうか。私は色々リズにひどい扱いをしていたジョンの方が、リズのことを引きずり続けると思います。”オレに服従している””オレの所有物”そう思い、好きなはずなのに彼女を傷つけることでしか愛情表現ができなかったジョン。リズの方が弱く従っている方の立場に見えて、実は気持ちが深く膨らんでいたのはジョンの方だったかもしれません。

“浮気相手”や”セックスフレンド”、恋愛にはそうゆう言葉でくくらなくても 2人だけにしか分からない関係も存在するでしょう。でもきっとそれが続き、ずっと一緒にいることができるのはやはり”体”ではなく”心”の繋がりがある時だと思います。この「ナインハーフ」の2人も、最初はただのセフレだったとしても 肉体関係無しのデートをもっと楽しんだり、お互いの悩みや気持ちを打ち明けあっていたら・・・別の関係を築けていたかもしれません。

結論

“浮気相手、セフレから本命になることはあるか”
きっと間違った関係は遅かれ早かれ終わりを迎えることでしょう。そして女性たちはきっとどこかリズのように、冷静な気持ちで考えるようになることでしょう。その期間がまさに「ナインハーフ(9週間半)」なのかも。

「ナインハーフ」ひたすら官能的な場面が注目されやすいですが、おしゃれで美しく哀しい大人のラブストーリーだと思います。ジョンとリズのようなこんな倒錯した恋愛、幸せというよりは儚い愛ですが でも決して忘れられないものにはなるでしょうね。女性の気持ちも、男性の気持ちも、恋と愛の違いも、男女の関係も難しい・・・と改めて考えてしまった私でした。

Writer

アバター画像
Moeka Kotaki

フリーライター(1995生まれ/マグル)

Tags