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『Mr.ノーバディ』主演ボブ・オデンカーク、大好きなジャッキー・チェンに憧れて ─ 単独インタビュー

Mr.ノーバディ
© 2021 Universal Pictures

『ジョン・ウィック』シリーズ生みの親デレク・コルスタッドが新たに放つ、ナメてたおじさんがメチャクチャ強かった痛快アクション大作『Mr.ノーバディ』が、ついに日本の映画館でもカチコミ公開となった。

監督は『ハードコア』(2015)イリヤ・ナイシュラー。主人公の“何者でもない(Nobody)”冴えない中年男性(本当はめちゃくちゃ強い)を演じたのは、ドラマ「ベター・コール・ソウル」のボブ・オデンカークだ。

アクション映画は初となるオデンカーク。本作ではたっぷりトレーニングを積んで、まさに体当たりの満身創痍フルボッコアクションを見せつけてくれている。

THE RIVERでは、主演のボブ・オデンカークと一対一の単独インタビューを敢行。ジャッキー・チェンのアクション映画が大好きだというオデンカークに、『Mr.ノーバディ』のおもしろポイントを聞いた。

Mr.ノーバディ
© 2021 Universal Pictures

ボブ・オデンカーク 単独インタビュー

──ボブ・オデンカークさんにとって、本格的なアクション映画での主演はこれが初めてですよね。なんでも、この企画が正式始動する以前から自主的にトレーニングを始められていたようで、実に2年かけて準備をされていたということですが。

もともと、私もこの企画を立ち上げたひとりでした。キャラクターやシナリオのアイデアがあるので、アクション映画をやりましょうと。脚本を仕上げてくれたのは『ジョン・ウィック』シリーズのデレク・コルスタッドですが、映画の始まり方やキャラクター設定のアイデアは私が持っていました。そのアイデアを、デレクが素晴らしい脚本に仕上げてくれました。

私がこれまでの人生で取り組んだエクササイズといえば、自転車やランニングといった有酸素運動くらいのものでした。上半身のトレーニングや格闘訓練なんて未経験だったんです。だから、準備には時間がかかるだろうと思って。アクションは自分でやりたかったんです。私はジャッキー・チェンの『ポリス・ストーリー』が大好きなんですけど、ジャッキーは自分でアクションをやっていますよね。

私は「ベター・コウル・ソウル」というドラマに出演しているので、自分を封印してキャラクターになりきる、という感覚がどういうことか分かるんですね。だからこそ、自分でアクションができれば、格闘シーンの真っ最中でも、カメラの前でキャラクターの感情をむき出しにしていられると思ったんです。

これが大事だと思いました。最近のアクション映画は、キャラクターがロボットみたいに戦うでしょう?顔に感情が表れていないんですよ。例えば、私は『ジェイソン・ボーン』のシリーズが大好きなんですが、彼も自動操縦ロボットみたいに戦っているように見えるんです。表情にリアクションがないんですよね。

だから私は自分でアクションをやって、キャラクターをしっかり演じながら戦いたいと思ったんです。だったら訓練をしなきゃということで、基礎練習のところからはじめたんです。ジムで数年間、何時間も練習しましたよ。

──ジャッキー・チェン映画がお好きだというのが興味深いです。ジャッキー・チェンの映画といえばコメディ要素ですよね。『Mr.ノーバディ』にもコメディ要素があって、ボブさんもコメディ出身でいらっしゃると思います。コメディを取り入れたいというのは、企画当初から意識されていたんですか?

そうですね。(脚本の)デレク・コルスタッドが“おもしろアクション・ヒーロー”といった雰囲気で書いてくれました。アクション・ヒーローが、気の抜けたことを言ったり、くだらないことを言ったりするんです。私もそういう瞬間を演じるのは好きです。なので、コメディ要素はチームとしての努力の結果で生まれたものです。

それから、本作の監督イリヤ・ナイシュラーです。彼は『ハードコア』も手掛けていますが、アクション映画が大好きで、面白くてキレキレなセリフをたくさん考えてくるんですよ。たとえば「猫ちゃんブレスを返せ!マザー◯ァッカー!」「お前らブチのめしてやる!」とかね(笑)。

実はこれ、元々はもっと長い会話シーンだったんですよ。それを現場でやってみたときに、私は「こんなペチャクチャ喋ってるシーンなんて誰も求めてないんだから、とっとと戦いましょうよ」って言ったんです。そうしたらイリヤ(監督)が「じゃあ、敵を睨んで“お前らブチのめしてやる”と言ってください」と。もうね、爆笑。「最高のセリフじゃないですか!こんな最高のセリフあります?」って(笑)。私も、あのセリフはノリノリで言いました。

Mr.ノーバディ
© 2021 Universal Pictures

── セカンドユニット監督のグレッグ・レメンターが、「現代のアクション映画を特別たらしめるものは、新しい取り組みへの挑戦だ」とおっしゃっています。『Mr.ノーバディ』における、新しい取り組みへの挑戦とは何ですか?

面白いことに、『Mr.ノーバディ』にはレトロなところがあります。70年代アクションに立ち返るようなところがあって、ぶっきらぼうで、エグさがある。凄まじいカーアクションもありますが、スーパー・クレイジーにぶっ飛ばすクルマは出てこない。飛行機とか、最先端テクノロジーも出てこない。もっとハンドメイドな戦いです。それよりも、キャラクターを斬新な角度からとらえていることですね。

──アクション・シーンでのあなたを、レメンターは「まるで飢えた虎だ」と表現されています。そこまで仕上げたトレーニング、日常生活にも影響しましたか?

毎日ワークアウトをするようになりましたし、身体もこれまでで一番絞られました。身体を動かして、血流がよくなる感覚が好きになりました。エクササイズにも詳しくなりましたし、身体を動かすことで気分が良くなることも学びました。あなたはお若いので気にしなくてもいいでしょうけど、私くらい年をとったら、健康のありがたみが本当に身に染みてわかるんですよ(笑)。

──『Mr.ノーバディ』が『ジョン・ウィック』みたいにシリーズ化してくれることを祈っています。続編の話はされているんでしょうか?

遊びで話しているくらいです。ハリウッドとは気まぐれで難しい場所です。この1作が製作できただけでも有り難い。続編の実現には期待しすぎないようにしています。

もしもまたアクション映画ができるということでしたら、スイートで、クレバーなものを作ってみたいですね。大好きな『ポリス・ストーリー』のように、アクション中に笑いが起こるような映画です。そういう映画を、自分の子どもに何度か見せているものですから。

──劇中には『ランボー』を彷彿とさせるような要素もありましたが、監督から参考に挙げられたアクション映画はありましたか?

『オールド・ボーイ』(2003)について話をしたことがありました。主人公が怒れる男で、感情が爆発するといったところがハッチに似ていますから。それから『アトミック・ブロンド』(2017)の格闘シーンも話題に挙がりましたね。あとは、70年代のチャールズ・ブロンソンの映画とか。音楽の使い方が、1970年代のアクション映画のようなところがありますから。

 Mr.ノーバディ
© 2021 UNIVERSAL STUDIOS and PERFECT UNIVERSE INVESTMENT INC. All Rights Reserved.

──ハッチは家族のために感情をむき出しにして戦います。苛立ちを爆発させる瞬間もありましたが、それ以外は基本的に、怒りながらも「我を失った」「コントロールを失った」ように見せない演技が求められたのだと思います。

その通り。理性と、自分の能力を思い出していく部分と、そのふたつの要素を組み合わせています。バスでのファイト・シーンでは、握り棒に頭をぶつけるところがありますよね。あれはまだハッチが本調子に戻っていないからです。ああいう演出は、それこそジャッキー・チェンがやりそうでしょう。人間臭くて大好きなんですよね。

ハッチは、正しいことをやって反撃に出るんだけど、やりすぎちゃう。軌道修正するんだけど、やっぱりまたやりすぎちゃうんです。そういった部分では、コントロールを失って、戻して、そしてまた失って、また戻って、というところがある。バスの戦いでは、やりすぎちゃったせいでトラウマもののトラブルを起こしちゃうんですけどね。

──本作にはヤバいアクションシーンがたくさんありますが、一番のお気に入りはどこですか?

バスのシーンです。やりたかったことが全部できた。ユーモアや笑いもあって、激しさもある。やってやったぞという気持ちです。誇りに思っています。

──この映画、日本でもきっとヒットすると思っています。これをきっかけに、もしもマーベルやDC、『スター・ウォーズ』のような巨大フランチャイズからのオファーあったら、受けたいと思いますか?

もちろん、もちろん!私は、ユニークで特別な作品に出たいと思っています。幸運なことに、これまでコメディやドラマをやれて、今作ではアクションにも挑戦できました。今後も、こういった様々な要素をミックスさせていきたい。

で、明日からは「ベター・コウル・ソウル」ファイナル・シーズンの撮影に戻るんです!(※このインタビューは2021年2月末に行われた。)サンクスギビング(11月末)まで続くことになっています。この次にどんな企画がくるかは分かりません。自分でも(物語を)書いているのですが、どうなるかな。またいつか、アクション映画はやってみたいですね。

──コロナ禍で、映画館は厳しい状況が続いています。そんな中でも、『Mr.ノーバディ』を観るために劇場に足を運ぶべき理由は何でしょう?

『Mr.ノーバディ』は絶対に映画館の大スクリーンで観たい映画です。ド派手なシーンがあるパワフルなアクション映画なので、大画面・大音響で観ていただきたいですね。凄まじいカーアクション、凄まじい格闘があります。お友達とか、他の人と一緒に観ると、一緒に楽しめて、一緒に笑えて、共通の思い出になるような映画です。これぞ、大スクリーンの醍醐味ですね。

なにはともあれ、ステイ・セーフです。しっかりと感染対策をして、劇場の安全対策ガイドラインを守ってお楽しみください。

──それでは最後に、日本のアクション映画ファンに向けてメッセージをお願いします。

日本のみなさん、ハロー!『Mr.ノーバディ』は、普通の男、普通のお父さんが、実は普通の男じゃなかった、という映画です。不正にブチギレて、襲い掛かってくるチンピラを返り討ちにします。みなさんに気に入って頂けたら嬉しいです。是非見てくださいね。Thank you!


ボブ・オデンカークとの単独インタビューでは、この記事には収まりきらなかったネタバレ内容もたっぷり聞き出している。こちらは映画を鑑賞した人だけの、後日のお楽しみとして追って掲載させていただこう。

Mr.ノーバディ
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映画『Mr.ノーバディ』は絶賛公開中。イリヤ・ナイシュラー監督にも単独インタビューを行っているから、あわせてお読みいただきたい。

【ネタバレ】『Mr.ノーバディ』子猫の「その後」
イリヤ・ナイシュラー監督へのインタビューはこちら

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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