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【インタビュー】『ピーターラビット』ウィル・グラック監督が明かす裏話 ─ 主演ドーナルやマイク・シノダにまつわるアレコレも

映画『ピーターラビット』ウィル・グラック監督 インタビュー
©THE RIVER

世界中で愛されるベストセラー絵本、ビアトリクス・ポター原作の名作をハリウッドで初めて実写化した映画『ピーターラビット』が、2018年5月18日(金)より日本公開となる。美しい湖水地方を舞台に、もふもふキュートなウサギたちが、動物嫌いなマクレガーさんと繰り広げるドタバタ劇が見どころだ。

THE RIVERでは、『ピーターラビット』監督のウィル・グラックに単独インタビュー取材を敢行。『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)ハックス将軍役でも知られるドーナル・グリーソンや『スーサイド・スクワッド』(2016)マーゴット・ロビーに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)エリザベス・デビッキ、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)デイジー・リドリーら超豪華声優陣と共に創り上げた話題作の裏側を楽しく語り合った。劇中挿入歌として起用されたFort Minor(Linkin Parkのマイク・シノダによるラップ・グループ)とのコラボレーションに関する驚きのエピソードも。充実のインタビューをたっぷりお楽しみ頂きたい。

映画『ピーターラビット』ウィル・グラック監督 インタビュー
©THE RIVER

これまで『小悪魔はなぜモテる?!』(2010)『ステイ・フレンズ』(2011)『ANNIE アニー』(2014)など、ユーモラスな作品を多く手がけているウィル・グラック監督。実はかつて東京に8年ほど暮らしており、24年ぶりのカムバックとなった。「東京はかなり久しぶりです。街も色々変わりましたね。(取材場所になった)このホテルも昔は無かったですもん」としんみり。このインタビューの前日は、2018年3月にオープニングしたばかりの東京ミッドタウン日比谷で同作ジャパン・プレミアが開催。ウィル監督と共に、日本語吹替声優の千葉雄大や、ゲストの高梨沙羅、森泉が登壇していた。「昨日の劇場も新しく出来たばかりだと聞きました。日本のプレミア・イベントって、他の国とは違いますね。」

──『ピーターラビット』、すごく良かったです!正直、予想もしないような内容で驚きました。

ありがとうございます。僕も自分でビックリしてます(笑)。子供の頃からピーターラビットが好きで、両親がよく読み聞かせをしてくれました。原作の絵本は、そこまで話が長くないんですよ。映像化したら3分で終わるくらいの量で。そこから映画として90分の物語を作っていくのは大変なことでした。映画では、原作者のビアトリクス・ポターへの敬意も忘れるわけにはいきません。原作は多くの方々に愛されているので、絶対に汚したくなかった。これはやっていいのか、止めておくべきか、という自問自答は繰り返しましたね。

──声優もかなり豪華ですね。ジェームズ・コーデンにデイジー・リドリー、エリザベス・デビッキ、マーゴット・ロビー。中でも僕のお気に入りはデイジー・リドリーです。

彼女、上手いでしょう。声優には、よく知られた実際の役者を起用したいなと思っていて。それに、製作で多くの時間を一緒に過ごすことになるので、やっぱり好きな役者たちで固めたかった。アニメのキャラクターが活きてくるかどうかは、声の演技に大きくかかっているので、声は何度も繰り返し撮り直して、それを基にアニメーションを作っていきました。良い役者だからといって、声優も上手にやれるというわけではないんですよね。

ピーターラビット

──マクレガー役のドーナル・グリーソンも最高でした。

最近、ドーナルの他の出演作は観られましたか?

──『スター・ウォーズ』!今作のドーナルの役、『スター・ウォーズ』での役に似てませんか?(笑)

ハックス将軍ね!(笑)

ピーターラビット

──もしかして、ハックス将軍の役を見てドーナルの起用を思いついたんですか?

僕は最近まで『スター・ウォーズ』を観たことがなかったんですよ!実は『最後のジェダイ』のプレミアに、ドーナルとデイジー(レイを演じている)と一緒に行ったんです。そこで初めて『スター・ウォーズ』を観て、『ピーターラビット』での役とソックリじゃん!って(笑)。ちょっと間抜けなヴィランでしたね。

──そうそう。”イーッ!”みたいな(笑)。

あの人、すごく面白いんですよね。

ピーターラビット

──ビア役ローズ・バーンの起用については?

ローズとは、僕の前作『ANNIE/アニー』(2014)にも出演してもらって以来、お友達の仲。彼女はオーストラリア人ですが、イギリス人の役を演じてもらっています。撮影はオーストラリアで行なったので、彼女にとっては里帰りの機会にもなりました。

──マクレガーとピーターラビットのバトル・シーンは凄かったですね。あれが一番予想外でした。なんて激しいんだと(笑)。

それもそのはず、実は戦争映画『プライベート・ライアン』(1998)の戦闘シーンを参考にしたんです。爆発も全てCGではなく、実際に火薬を使った特撮で頑張ったんですよ。CGのピーターラビット相手に戦うマクレガー役のドーナル・グリーソンは特に大変だったはずです。ブルースーツを着たスタッフをピーターラビットに見立てたりと、色々な方法をやりましたが、基本的にドーナルは何もないところに向ってモノを投げたりして、一人で戦っていましたからね(笑)。

ピーターラビット

──ビアがピーターとオデコをくっつけるシーンでは、ピーターの代わりにテニスボールを使って撮影したとか。

そのシーンでは、色々なものを使って、3~4テイク撮りましたね。普段は棒を使ったり、何もないところで演技してもらうのですが、このシーンでは青い棒にテニスボールをくっつけて撮りました。画的にはだいぶ面白かったですよ。笑わないようにするのが大変でした。

──監督は子供の頃ペットを飼ってましたか?

いや、東京とニューヨークで育ちましたが、ペットは飼っていません。むかし魚を飼っていたのですが、ゴキブリ問題が発生したことがありまして。

──ゴキブリ問題。

家にゴキブリが出るようになって、駆除のために殺虫剤をまいたら、魚が全滅しちゃったんです。でもゴキブリは死ななかった…。

──何という…(笑)。さて、ネタバレ無しでお願いしたいんですが、映画の中で一番好きな場面は?僕は、ウサギたちが下手くそなウインクするところがお気に入りです。

序盤の場面で、ピーターたちが団結してマクレガーさんの庭に侵入しようとするシーンですね。グループ・ハグをしたり。動物たちのファミリーとしての一面が見られて好きなんです。

──コメディ部分も多かったですが、ちょっぴりダークなユーモアのセンスがすごくイギリス的だなと思いました。

はい、とてもイギリス的ですよね。現場ではみんなイギリス人やオーストラリア人で、アメリカ人は僕ひとりでしたよ。でも、特にイギリスのお客さんを意識したつもりはありません。ピーターラビットはイギリスが舞台だし、原作者のベアトリクス・ポターもイギリス人だっただけです。

──劇中の音楽も良かったです。特にマイク・シノダ(Fort Minor、Linkin Park)の「Remember the Name」が流れた時はすごく嬉しかった!

おぉ、マイク・シノダがお好きなんですね!僕自身、マイクにこの話を持ち出したときは、まさかイエスと言ってくれるとは思ってなかったので、すごく嬉しかった。

──何でも、監督の娘さんの学校で、親同士の繋がりだそうですね。以前からお知り合いだったんですか?

いや、顔見知り程度でした。ちゃんとお話し出来たのは、この企画が初めてだったかな。

──ちなみにマイクには最近会いましたか?大変な時期でしたので…。

まさしくその大変な時期にこの企画をやってくれていたんですよ。そもそもこの話を彼に持ちかけたのは、ハリウッド・ボウルで開催されたLinkin Parkのトリビュート・コンサートで会ったからなんです。それから「Remember the Name」のリリックをリライトしてくれて…。というわけで、マイクは大変な時期なのに快く引き受けてくださったんです。

※マイク・シノダは、バンドLinkin Parkのリード・ボーカル、チェスター・ベニントンを2017年7月に亡くしている

──ところで、『ピーターラビット』は続編も決まったそうですね。監督も続投されるんですよね?

(CGIを使った映画は)今作の続編でも決まらない限り、もうやらないだろうなと思っていたところなんですよ。どうなるのか分からないものですね。また続編のストーリーのアイデアを考えなきゃ。募集中ですので教えて下さい(笑)。

──では、僕にアイデアがあります。動物版『ホーム・アローン』みたいな映画にするっていうのはどうですか?今回は人間のマクレガーさんが家を守る側で、動物たちがそこに飛び込んでいく立場ですけど、それを逆転するんです。動物たちが人間とチームを組んで、一緒になって家を守るとか。

なるほど、誰から守ろう?

──何かしらの企業とか。悪い大人がやってきて、家を取り壊そうと企むんです。

その役はマイク・シノダがいいかも。家を取り壊してコンサートを開こうとするっていう。マイクに相談しておきます(笑)。

ピーターラビット

──是非お願いします!(笑)。それにしても、動物たちがすごくリアルで、鑑賞しながらCGであることを忘れてしまうほどでした。CGによるもふもふ系の動物キャラクターといえば、同じイギリスでは『パディントン』も良かったですよね。

観客にCGであることを忘れてもらうことが目標でしたので、そう仰っていただいて嬉しいです。オーストラリアのアニマル・ロジックというCG制作会社が頑張ってくれたんです。彼らの仕事がなければ、この映画は成り立たなかったと思います。『パディントン』も良い映画ですよね。日本でもヒットしました?

──特に『パディントン2』(2018)は日本でも成功しています。だから『ピーターラビット』もきっと広く受け入れられると思いますよ。

そう願っています。娘の学費を稼がないと!せっかくマイク・シノダのお子さんと同じ学校なんだから(笑)。

──(笑)。では、最後にTHE RIVERにメッセージを。

美しい景色や可愛い動物、それからロマンスやコメディがお好きでしたら、是非御覧ください。音楽も最高ですよ。

映画『ピーターラビット』ウィル・グラック監督 インタビュー
©THE RIVER

映画『ピーターラビット』は、2018年5月18日(金)公開。

『ピーターラビット』映画公式サイト:http://www.peterrabbit-movie.jp/

(取材、文、撮影:中谷 直登)

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