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『ピンパン』レビュー 小気味よく流れる音が心地いい!【SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016上映作品】

不意に訪れる瞬間と、それまでの小気味良い音が良い

普段短編を見慣れない人にとって、「えっ、これで終わり?」と感じさせるほど、あっさりとエンドロールが流れる。

作品に終始流れるのは、生活音とセクハラ親父の声、そして沈黙の中響くピンポン球だけだ。

まるで何も変わっていないかのように錯覚するほど、単調に続く映像。しかしラストのワンシーンで、世界が一歩進んだかのような、そんなかすかな瞬間を観せて、作品は終わりを告げる。

その呆気なさと引き換えに、一定のリズムを刻んだピンポン球の音とささやかな希望が、目と耳にいつまでも残る。それが、なんとも心地よい作品だ。

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『ピンパン』 (C)DEEP END PICTURES Inc.

主演・柳英里紗の意外な才能

2016年公開の『シン・ゴジラ』にも出演している女優・柳英里紗が今作の主演を務めている。一見素朴に見える普通な女性を演じているわけだが、かすかな表情で胸のうちで様々な感情を抱く姿を巧みに演じている。

今まで色気や艶を感じさせなかった彼女が、自宅でおもむろにスカート中をまさぐるワンシーンには、思わずドキリとさせられてしまう。

ピンパン_sub
『ピンパン』 (C)DEEP END PICTURES Inc.

そんな柳英里紗だが、ピンポン球を打つシーンが妙にしっくりくる。壁打ちやマシンを使ったカットの練習、果てはスマッシュに至るまで、華麗にボールを返しているのだ。

彼女は卓球が特技と公言しているが、その好きっぷりを見せつけられたような気分だった。Twitterでもこんなことを呟いているくらいに、普段からピンポン球を打っているのだろう。

彼女が一心不乱にボールを打ち込む姿。そのハマりっぷりにきっと見入ってしまうことだろう。

『ピンパン』 (C)DEEP END PICTURES Inc.

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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