ディズニー&ピクサーのアニメは子ども向けか?『リメンバー・ミー』監督「子どもがいないから観ないと言われるが」

世界中のファンに夢と希望を与えてきたディズニー&ピクサー。原体験を思い出させるエモーショナルなストーリーと、そこに命を吹き込む独自のアニメーションは、唯一無二の存在とも言える。
そんなディズニー&ピクサーをめぐっては、子ども向けの作品か否か、という議論が交わされてきた。子ども世代から圧倒的な人気を得ているのは確かだが、逆に子ども向けの作品と勘違いして視聴を避けようとする大人もいるようだ。
この状況を肌で感じてきた人物がいる。『モンスターズ・インク』(2001)や『ファインディング・ニモ』(2003)『トイ・ストーリー3』(2010)『リメンバー・ミー』(2017)など、ピクサー・アニメーション・スタジオで数々の名作を手がけてきたリー・アンクリッチ監督だ。アンクリッチ監督は『リメンバー・ミー』公開から5年後の2022年、自身のTwitter(現:X)アカウントでディズニー&ピクサー映画の扱われ方に対する私見を綴っており、少なくとも自身が手がけてきた作品は「子ども(だけ)のための映画ではありません。全ての人に向けた映画です」と明言していた。

1994年にピクサーに加わってから2019年に退社するまでの25年の間で、アンクリッチ監督は「数えきれないほどたくさんの人から、“子どもがいないから”、もしくは“子ども向けの映画が好きじゃないから”という理由で自分の映画を観たことがないと言われてきた」という。そうした経験から、アンクリッチ監督はアメリカでのアニメーションに対する認識に関して、以下のような疑問を呈している。
「普遍的なストーリーテリングの媒体として、アニメーションには実写作品に匹敵するような敬意は残念ながら欠けていると思います。それは私がピクサーで働いた25年の間でほとんど改善されていません。問題はアメリカや映画業界でのシステム的なところにあると思います。」
アンクリッチ監督は、アニメーション作品が子ども向けのものではないと主張しているわけではない。「子どもたちに向けた映画やテレビ番組、メディアはたくさんあります」と認識しながら、「ピクサー映画はそうではない」と述べている。監督自身、子ども向けのアニメ作品を鑑賞してみた上で「大人として見るのは不可能でした」と綴っており、だからこそディズニー&ピクサーでは全世代に向けたものと意識して作ったのだろう。

ちなみに、2019年にピクサーを退社したアンクリッチ監督だが、ディズニー&ピクサー作品にはシニア・クリエイティブ・チームの一員として携わり続けている。
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