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これぞまさに、デヴィッド・リンチ とジョン・マルコヴィッチとの融合世界!『プレイング・リンチ』にファン感涙

あの伝説のテレビドラマシリーズ『ツイン・ピークス』(Twin Peaks)を、皆さんは覚えているだろうか。

もちろんあの衝撃を忘れるはずはないと思う。そして、今さら言うまでもないことだが、その最新作が来年2017年に米国Showtimeでの放送を予定している。ツイン・ピークス愛好家の間では、兎にも角にも寝ても覚めても、それがもっぱらの話題なはずである。もちろん監督を務めるのは、誰あろう映画界の鬼才デヴィッド・リンチに他ならない。

 

ツイン・ピークス
http://www.imdb.com/title/tt0098936/

企画が持ち上がった当初からしばらくして、デヴィッド・リンチが監督を降板するとの噂がほのめかされたのだが、最終的にはすべてのエピソードで、デヴィッド・リンチ自らがメガフォンを握っているということである。もちろんマーク・フロストも脚本に参加している。そして現時点で本編の撮影はすべて終了しており、総勢217人にも及ぶ出演者が公式に発表されている。またShowtimeのWEBサイトでは、関係者によるインタビューなどの動画も公開されている。

『ツイン・ピークス』とは?

さて、「ツイン・ピークスってなに?」という読者に向けて簡単に概要をご説明すると、1990年から1991年にかけて米国で放映されたテレビドラマシリーズで、1992年には最終エピソードとして、『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』(Twin Peaks:Fire Walk with Me)という劇場版が公開されている。

最後の劇場版には、ドラマ版には出演していなかったキーファー・サザーランドや、先日惜しくもこの世を去ったデヴィッド・ボウイなども出演しており、大きな話題を呼んだことが懐かしく思い出される。余談だが、ぼくの大好きだったドナ・ヘイワード役のララ・フリン・ボイルだけが、劇場版では唐突にモイラ・ケリーに代わっていて、まったくもってテンションが下がったことをよく覚えている。なんでララ・フリン・ボイルが出演しなかったのかは、ぼくは未だに知らない・・・なぜだ。

さて、舞台となるのは、カナダの国境近くに位置するワシントン州のとある田舎町「ツイン・ピークス」。その豊かな自然に囲まれた片田舎で、ある朝、ビニールに包まれた若い女性の全裸遺体が発見される。『ツイン・ピークス』とは、そんな外界から隔絶されたかのような小さな田舎町で起こった殺人事件を巡るミステリーと、その周囲で複雑に絡み合う人間関係の物語である。
作品内では、セックス、麻薬、虐待といった日常生活と隣り合わせの暗部から、環境破壊、宗教、超常現象、宇宙などなど、目眩く様々な世界へと展開してゆく。あれはまさに、デヴィッド・リンチの玉手箱の中身のような作品である。

ツイン・ピークス
http://www.imdb.com/title/tt0098936/

『ツイン・ピークス』は日本でも大ブームを巻き起こし、缶コーヒー「ジョージア」のCMがツイン・ピークスとタイアップして制作されたり、某旅行会社がドラマの舞台となったロケ地を巡る『ツイン・ピークス』ツアーなるものを企画したりしていたことが懐かしい。そう言えば、ぼくがあのドラマに夢中になっていた頃はまだ、VHSが全盛の時代だったなあ。そしてあの頃は毎日、チェリーパイやドーナツやコーヒーのことしか、頭になかった。

 

さて、前置きが長くなってしまったが、そのデヴィッド・リンチ関連で、『ツイン・ピークス』の最新情報と共に今話題となっているのが、とある奇妙なショート・フィルムなのである。それは何かといえば、なんとあの俳優のジョン・マルコヴィッチが、デヴィッド・リンチの監督した全作品中に登場する極めて象徴的なキャラクターになりきるという、衝撃的に奇妙な作品なのである。ちなみにこれはもちろん、デヴィッド・リンチも認めるオフィシャルなものであり、WEBサイト「Playing Lynch」にて公開されている。

Playing Lynch
http://www.playinglynch.com/

Playing Lynch http://www.playinglynch.com/

作品のタイトルは『Psychogenic Fugue』、心因性フーガとでも言うべきものだろうか。

監督はジョン・マルコヴィッチとのコラボレーション『Malkovich, Malkovich, Malkovich』(マルコヴィッチ・マルコヴィッチ・マルコヴィッチ)で知られる、写真家のサンドロ・ミラー。そして音楽は、『ブルーベルベット』(Blue Velvet)や『マルホランド・ドライブ』(Mulholland Drive)などの作品で、デヴィッド・リンチと度々組んでいるアンジェロ・バダラメンティ、さらにはシンガーソングライターのスカイ・フェレイラ、ゾラ・ジーザス、そしてリッキ・リーが参加している。なんとも豪華な顔ぶれではないか。

MALKOVICH, MALKOVICH, MALKOVICH
http://edelmangallery.com/exhibitions-and-projects/exhibition-pages/2014/sandro-miller-malkovich,-malkovich,-malkovich-homage-to-photographic-masters.html

そして、主演であるジョン・マルコヴィッチが演じているのは、『ツイン・ピークス』からはもちろん、FBI特別捜査官デイル・クーパーとログ・レディこと丸太おばさん、『イレイザーヘッド』(Eraserhead)からは主人公ヘンリー・スペンサーとラジエーターの中の少女、『ブルー・ベルベット』(Blue Velvet)からは狂気のフランク・ブース、『ロスト・ハイウェイ』(Lost Highway)からは不気味な謎の男、そして、『エレファントマン』(The Elephant Man)からはジョン・メリックなどなど、凄まじいほど感動のチョイスである。そうだ、もちろん、デヴィッド・リンチ本人をも、演じているよ。

Psychogenic Fugue
http://www.playinglynch.com/

実はこの作品は、子供たちへの瞑想教育の支援や、心的外傷後ストレス障害、いわゆるPTSDを抱えた退役軍人やアフリカ難民などのサポートを行っている「デヴィッド・リンチ財団」への寄付を主な目的とした企画でもある。

 

Playing LynchのWEBサイトにおいて5ドル寄付することにより、ロサンゼルスのエースホテルで行われた一夜限りのコンサートを収録したアルバム『The Music of David Lynch』がダウンロード出来る。そして10ドル寄付すると、さらに作品のディレクターズ・カット版を鑑賞することが出来てしまい、もう一声の25ドル寄付すると、なんとコレクターズ・プリントまで貰えてしまう。ちなみにWEBサイトの寄付ページには、スペシャルな100ドル寄付の「BIG FISH」というボタンがあるが・・・、それはぜひご自身で試してみて欲しい。デヴィッド・リンチは時折こんな言葉を口にする、「if you want to catch the big fish, you’ve got to go deeper.」と。そして再び言うが、この収益はすべてデヴィッド・リンチ財団に寄付されるのである。

はい、そういうわけでこの作品、デヴィッド・リンチ愛好家にとっても、さらにはジョン・マルコヴィッチ愛好家にとっても、もはや喉から手も足も出るくらいに、観たいはずである。もちろんぼく自身も、喉から千手観音が湧き出てきたことは、言うまでもない。しかし、「今日はこれから新米の収獲をしなきゃいけないんだよ、すぐには観られないよ!」とお嘆きのあなた、けれど一瞬でもいいから、もうこの刹那に観たくて耐えられない方のために、以下に予告編をご用意しているので、ご覧いただきたい。

[vimeo 184416639 w=640 h=360]

Playing Lynch: Official trailer to Psychogenic Fugue from Squarespace on Vimeo.

予告編、いかがだろうか?ぼくはこの予告編を観た時点で、千手観音と共に手を取り合い、昇天してしまった。 『ツイン・ピークス』の最新作まで待ち切れないあなたも、このショート・フィルムを観れば、もう『ツイン・ピークス』のことなんか忘れますよ、と言いたいけれど、実はさらなる急性デヴィッド・リンチ中毒に襲われ、禁断症状が重症化しますので、ご利用は計画的に。そして自己責任で、思う存分堪能していただきたい。

Psychogenic Fugue
https://vimeo.com/184416639

さらにおまけ情報として、デヴィッド・リンチが自身のTwitterで、この『Psychogenic Fugue』のさらなる別カットの映像を日々アップしているようである。ちなみに同Twitterでは、来る『ツイン・ピークス』の最初情報も時々顔を出すので、デヴィッド・リンチを追いかけているなら、フォローは必須!!!

 

 

最後に、PlayngLynchのWEBサイト、その動画再生ボタンには「DIVE WITHIN」と書かれている。

なるほど、さあでは、さっそく今から、内なる世界へ飛び込みにゆこう!

Writer

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MujinaMujina Tsukishiro

普段はあまり摂取しないコーヒーとドーナツを、無駄に欲してしまう今日この頃。You know, this is - excuse me - a damn fine cup of coffee.