『LOGAN/ローガン』監督、映画界のポストクレジットシーン文化を猛批判 ― Fワード連発、映画愛と複雑な胸中

X-MENの人気キャラクター、ウルヴァリンをヒュー・ジャックマンが演じた最後の映画『LOGAN/ローガン』(2017)のジェームズ・マンゴールド監督が、ハリウッドの“ポストクレジットシーン文化”を猛烈に批判した。今やヒーロー映画のお約束となっているポストクレジットシーンについて、その内部から声があがった格好だ。

Fワード連発、ポストクレジットシーンに「戸惑っている」

『LOGAN/ローガン』がアカデミー最優秀脚色賞にノミネートされたことから、このたびマンゴールド監督は全米脚本家組合のイベントに登場。そこで彼はポストクレジットシーンについて自分の意見を述べるとともに、その映画作家としての信条を語っている。米CinemaBlendが伝えた。


「(ポストクレジットシーンという)考え方には、クソ(fu**ing)戸惑ってますよ。この国も、世界も、あの存在にマヒしてると思いますね。すでに(観客が)わかってることを確かめるどころか、別のクソみたいな(fu**ing)商品につなげて、映画を作りながらそっちの方も売ろうとしてるわけで。こういうクソ(sh**)みたいなものには、クソ(**cking)戸惑ってます。」

マンゴールド監督が抱えている怒りの大きさは、とにかく発言の中にFワードが頻出するところからお察しいただきたい。彼の怒りは、「観客がポストクレジットシーンを求めてますよね。[中略]エンドロールのクソ(fu**ing)特典にハマってる観客が実際にいるわけですから」と、観客たちにも向けられているのだった。

しかし、その怒りは、映画監督として自身の映画をきちんと仕上げたいというシンプルな思いに支えられているものでもあった。

「要するに、自分たちのクソ大切な(fu**ing)映画を、あるべき形で終わらせられないわけです。たとえクソエンドロール(**cking)の後にはクソみたいな(fu**ing)シーンがあるものだって10万人が考えていたとしても、そんなのはダメですよ。ダメなんですが、そんな悪習のクソ(fu**ing)恐ろしいところは、(ポストクレジットシーンが)映画づくりのお約束になってしまったところ。そういう理由で皆さんに叩かれるのも怖いですしね。でも僕にとってマジで(**cking)一番怖いのは、業界の内部にいながらクソ(sh**)だと思ってることですよ。だって、あんなのダメだってわかってるんですから。」

Twitterで延長戦、映画という形式への思い

Fワードが多いゆえに真意を掴みづらいかもしれないが、つまりマンゴールド監督は、スタジオの意図したポストクレジットシーンのために、監督たちが望んだ形で映画が終わらないことを憂いているのである。ヒーロー映画は『ウルヴァリン: SAMURAI』(2013)と『LOGAN/ローガン』の2本のみで、『17歳のカルテ』(1999)や『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』(2005)、『3時10分、決断のとき』(2007)など映画作家としての印象が強い監督らしい発言といえるだろう。

 

しかしポストクレジットシーン文化への激しい批判は、少なからぬファンからの反応を呼び起こすことになったようだ。これを受けてマンゴールド監督は、自身のTwitterにてさらなる持論を展開している。

「僕の激しさは、ポストクレジットシーンが映画のメッセージにヒビを入れてしまうという思いから来ています。もちろん、感じのいいシーンだとは思いますよ。まるで広告みたいに、次の映画を観てもらえるよう作られていますからね。ただし、あらゆる映画にポストクレジットシーンがあるだろうという期待は、劇場体験の品位を損なってしまうと思うんです。映画の結末にこだわらないどころか、来年の売り物の広告や短い場面へと作品をつなげてしまうんですから。」

同時に監督が強調するのは、「映画」という形式への思いだ。

「だから、ポストクレジットシーンをそんなに軽蔑してはいなくて、むしろ映画(僕が心から愛している芸術の形式です)というものが向上しないことを恐れているんです。始まりと中盤、終わりがあるものとしてではなく、連続して金を生み出す機械として機能することになってしまったらと。」

またマンゴールド監督は、昨今のヒーロー映画の常識となりつつある“ユニバース”という考え方にも批判的な視線を向けているほか、「ポストクレジットシーンがあるからエンドロールを観客が見るんだ」という主張を「説得力がない」と断じてもいる「クルーの名前を見せるために観客を誘惑しなきゃいけないとしたら、そこにクルーへの敬意はほとんどない。ミルクや骨を待ってる犬みたいなものですよ。」

ちなみに、こうしてポストクレジットシーンを徹底的に批判するマンゴールド監督も、過去には『ウルヴァリン: SAMURAI』でそうしたシーンを用意したことがある。そのことを指摘された監督は、当時を振り返って「監督するのは楽しかったんですが、バーガーを売ってるような気分でしたね。(ポストクレジットシーンは)次回作の宣伝です」記したのだった。スタジオと監督の力関係、その立ち位置を思わされるエピソードといえるだろう。

いまやヒーロー映画のポストクレジットシーンは、ファンの間では映画を構成する一大要素として受け止められている。マンゴールド監督の言い分も理解できるところだが……さて、あなたはどう思った?

映画『LOGAN/ローガン』のブルーレイ&DVDは現在発売中。

Sources: https://www.cinemablend.com/news/2305711/why-logans-james-mangold-really-hates-post-credit-scenes
http://comicbook.com/marvel/2018/02/04/logan-director-post-credits-scenes/
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THE RIVER編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすくお伝えしたいと思っています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp へ。

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Comments

  • オーガ 2018年2月5日 at 10:25 PM

    言わんとしていることは凄くよく解りますけど、ちょっと映画ファンを舐めてるのかなー、とも思います。
    私はポストクレジットがなくてもエンドロールは最後まで観るし、MCUのポストクレジットをとても楽しみにもしています。

    確かに、美しさに欠けるという監督の想いは理解できるんですけどね。
    作品によっては、品がないというか、ポストクレジットがあるせいで、なんだか締まりのない作りになってしまっている映画も確かにあります。
    しかしどの映画も、そんなに品よくまとまる必要はないし、いかにもショービジネスな映画はそういう「おたのしみ」があっても別に構わないんじゃないでしょうか。

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