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【インタビュー】『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』音のない世界が恐怖の新境地を演出 ─ プロデューサーが語る続編への道のり

クワイエット・プレイス PARTII
(C) 2021 Paramount Pictures. All rights reserved.

ホラー映画史に革命を起こした映画がさらに恐怖度を増して帰ってきた。サバイバル・ホラー『クワイエット・ プレイス』(2018)待望の続編映画、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』がついに日本上陸だ。

音に反応して人々を襲う“何か”の襲来によって、文明が滅び、荒廃した世界。息子と夫を亡くした母・エヴリンは、産まれたばかりの赤ん坊とふたりの子供を連れて、燃えてしまった家を後に、新たな避難場所を求め出発する。新たな謎と脅威にあふれた外の世界で、いつ泣き出すかわからない赤ん坊を抱えてさまよう一家は、“何か”の襲撃から隠れ、音を立てずに生き残ることが出来るのか……?

この度、THE RIVERは本作のプロデューサー、アンドリュー・フォームブラッド・フラーにインタビューした。貴重な機会の中で、続編への道のりや、シリーズの重要な要素である音について尋ねてみた。

続編への道のり

 クワイエット・プレイス 破られた沈黙
(C) 2021 Paramount Pictures. All rights reserved.

──続編が製作されるまでの経緯を教えてください。

私は前作で素晴らしい経験を味わったと思っています。スタジオが続編を作ることに前向きであれば、それを成し遂げることが私たちの義務でした。ジョン・クラシンスキーが、ドラマシリーズ「ジャック・ライアン」で忙しかったので、私たちはほかの様々な脚本家に会って、どんな物語が生まれるのかを見ることにしたんです。ただ、どれもピンとくるアイデアはありませんでした。ジョンにそれらのアイデアを持って行ってもみたのですが、もっとほかのいいアイデアを考え出す必要があると言い続けていましたね。私たちもそう感じていたんです。

それからある日、ついにジョンが「ダメだ、僕が脚本をやる」と言ったんです。彼は続編としてあるべき物語を考え出してくれました。彼は物語をどう運ぶべきか分かっていたんです。続編が何であるべきか、そして誰が出演すべきかも明確に頭にあったようです。彼は脚本だけでなく、どのように映画を作るのかという、ブループリント(詳細な計画)まで用意してくれましたよ。

──ほかの方が脚本を執筆していた可能性もあったということですね。それでは、ジョン・クラシンスキーふんするリーが、火をつけて他の場所に信号を送っている場面が前作にありましたが、これは続編を製作するためのものではなかったということなんでしょうか?

続編では、アボット家とは別の家族を捉え、別の家族がどのように生きているのかを描くことになると当初は考えていました。物語がどんな方向にいくにせよ、あの火が続編への指針になるとは、誰も予想していなかったと思います。ただ、ジョンの頭の中には最初からあったのでしょう。彼は本当に頭が良いですね。

──画期的な演出で世界中を魅了した前作ですが、そんな作品の続編を作るときに重要な要素なのは何でしょうか?

観客には必ず新しいものを提供しなければなりません。そうでもしなければ、観客からは受け入れられないでしょう。成功への鍵は、監督・脚本家をはじめとする製作陣が、観客に対して今までに見たことのないものを届けられるかだったというわけです。とにかく同じ設定にしたり、同じ体験を与えたりする映画は作らないようにしました。物語を発展させるためには、アボット家に新しい経験をさせ、彼らがどのような反応をするのかを描くことが重要でしたよ。それによってさらなる緊張感が作品に生まれたわけです。

静音が生む恐怖

クワイエット・プレイス 破られた沈黙
(C) 2021 Paramount Pictures. All rights reserved.

──本作では、音”がかなり重要な役割を果たしていると思いますが、特にこだわったところはありますか?

音が全く聞こえてこない映画館というのは、観客にとってとても怖いことなんです。通常、映画では静かな時でも、周囲の音が聞こえますよね。前作で、ミリセントの観点で描かれた映像で、全ての音を取り払いました。彼女が何も聞こえない時は、観客も何も聞こえません。それが映画の緊張を高めることに繋がると思ったので。続編では、そういうことをもう一度やれるようにしました。

それと私たちには、最高のサウンドチームがついています。彼らは前作で素晴らしい仕事をしてくれました。映画の中で音を、キャラクターにしたいと思っていたようで、私たちは彼らと手を取り合って特別なものにしたんです。それがこの映画の特徴でもありますし、ほかの映画の同じように台詞に頼ることができないので、音にこだわったわけですね。多くの昔の映画や私たちがこれまでに作った映画では、怖がらせる時は映画内に大きな音を出しました。ただ、この映画では大きな音を出したのは一度だけです。大きな音を立てずに観客を怖がらせる。これは新たな分野を開拓するための進化のようにも感じています。

『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』は、2021年6月18日(金)全国公開中。

Writer

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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