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『マイティ・ソー バトルロイヤル』原題『ラグナロク』に込めた意味、監督が想い語る

マイティ・ソー バトルロイヤル
©Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』に繋がる重大作として注目を集める『マイティ・ソー バトルロイヤル(原題:Thor:Ragnarok)』は、しかし同時にマイティ・ソー三部作を締めくくる最終作であることも決して無視してはいけない。シリーズ一作目『マイティ・ソー』(2011)で、その傲慢さから故郷アスガルドを追放され、地球で協調性や責任を学んで成長したソー。その後『アベンジャーズ』との合流や『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013)でより強大な戦いに身を投じたが、最新作『バトルロイヤル』ではついの神々の戦いに挑む。

「試練に挑むヒーローって、良いですよね。まったく違った姿になっていくのが。”わーい、彼女ができたぞ”みたいな話じゃないんですよ。苦境を経て、違った姿に成長するんです。」

本作のタイカ・ワイティティ監督はこの度ScreenRantのインタビューに登場し、『バトルロイヤル』で迎えるソーの更なる成長について語った。また同時に原題『ラグナロク』が意味するところについても明かしている。

「この映画にはたくさんのキャラクターがいます。やっぱり皆さん”ラグナロク”構想を知りたがりますよね。たくさんの人が”ラグナロク”は何を意味するのか知りたくてウズウズしています。」

原題である『ラグナロク』は、北欧神話の世界における「終末の日」を意味する。神々と怪物が壮大な戦いを繰り広げたのち、全世界は炎に包まれ、世界が終わるという壮絶なスケールを示唆しているのだ。

神話の中でも特に重い題材をモチーフとしたことで、さぞ肩肘張る作品になるかと思いきや、お気楽コメディ・センス溢れるタイカ・ワイティティ監督によって、ソーとハルクの痛快バディ・ムービーの側面も打ち出されていることは、これまでの予告編映像などをチェックしていれば既に承知だろう。タイカ監督自身も、『ラグナロク』を極端にヘヴィなものでなく、あくまでもポジティブなアイデアとして捉えていることが、次の発言からよくわかる。

「私にとって(ラグナロクとは)、既存のものを剥ぎ取って、新しいやり方で再構築することです。」

タイカ監督は今作に対して、異端のアプローチに挑んでいたことが早い段階から知られていた。マーベル・シネマティック・ユニバースといえば他の作品とのクロスオーバー要素が魅力の一つ故、他作品との整合性を図ることも重要な仕事。しかし驚くべきことに監督は以前、「正直、自分がやっていること以外は何も知らない。ほかのユニバース作品は無視して、自分自身の最高の映画を作ろうと思っている」語っているのだ。この度のインタビューでは、以下のように語っている。

「私たちがキャラクターや(マーベル映画の)フランチャイズ、そして物語に対して行ったこと。それが私にとってのラグナロクです。それでも、(キャラクターが成長した後に成る)違った姿は、すごくエキサイティングで面白くなっていますよ。そこからもう戻れないくらいにね。」

この発言からは、タイカ・ワイティティ独特の”ラグナロク観”を感じられるだろう。既存のルール にラグナロク、つまり”終末の日”を迎えさせ、新たなキャラクター像を組み立てる。果たして、タイカ監督はソーやハルク、そしてマーベル・シネマティック・ユニバースにどのような変化をもたらすのだろうか。
なお北欧神話では、全てが滅び去ったラグナロクの後、緑豊かな大地が再生し、生き残っていた人間が新たな世界を創り上げていくのだが…。

ちなみに、よく知られているように本作のタイトルは日本では『ラグナロク』から『バトルロイヤル』に変更されている。この理由についてマーベル・エンターテイメント社バイスプレジデントのC.B.セブルスキー氏は自身のInstagramで「日本では『ラグナロク』は馴染みのない言葉だから」であると明かしている。『バトルロイヤル』によって新たにアプローチできた若年層があるのだとしたら、声に出して『バトルロイヤル』と言うのがちょっと恥ずかしい大人たちがマーベル作品を支持する正当性をトレードオフで切り捨てているだろう。タイカ監督が『ラグナロク』に込めたインスピレーションがここ日本で語られぬというなら、せめて我々ファンの間だけでも、こうして胸に留めておきたい。

ちなみに、本作の予告編映像を観て「どことなくスター・ウォーズっぽい」と感じることがあったら、あなたはもうタイカ監督の策にハマっている。『マイティ・ソー バトルロイヤル』は『スター・ウォーズ』シリーズ同様、SF空間に軸を置くビジュアルに「汚れ」を意識した作品なのだという。

「彼(ソー)は不潔で、注力したポイントのひとつです。他の映画のヒーローはみんな、ちょっと小奇麗すぎると思うんですよ。だから私たちは汚れを施しました。」

『マイティ・ソー バトルロイヤル』は2017年11月3日公開。

Source:http://screenrant.com/thor-4-ragnarok-sequel-ending/
https://www.reddit.com/r/IAmA/comments/57oecm/im_taika_waititi_director_of_hunt_for_the/

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。