ライアン・ジョンソン、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』ルークへの不満に改めて反論

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』公開を迎え、今一度『最後のジェダイ』(2017)を再考する機会だ。大きく意見が分かれたルーク・スカイウォーカーの『最後のジェダイ』版人物像をめぐって、ライアン・ジョンソン監督が改めてファンの意見に反論している。
This is the best written explanation I’ve seen of how @rianjohnson completely destroys the character of #LukeSkywalker and almost derailed the franchise. Thank goodness for @bad_robot coming in and cleaning up Johnson’s mess. #TheRiseOfSkywalker https://t.co/MNV5jTcr1n
— Gil Gonzalez (@danaCreative) 2019年12月20日
「これ、ライアン・ジョンソンがいかにしてルーク・スカイウォーカーのキャラクター像を破壊して、シリーズをほぼ脱線させてしまったのかを一番上手くまとめてくれてる。Bad Robot※、ジョンソンの尻拭いをしてくれてありがとう。」とあるファンがシェアしたのは、『最後のジェダイ』ライアン・ジョンソンによるルーク像の誤りを訴えるアカウント、Not Rian’s Lukeが一枚の画像にまとめた考察文だ。旧3部作と続3部作におけるルークの人物像がいかに矛盾しているかを論じている。
※Bad Robotは、『スカイウォーカーの夜明け』J・J・エイブラムス監督率いる製作会社。
この記事には、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)の内容が含まれています。
『最後のジェダイ』反対派が不満に思っていること
Next time anyone says, “You only hate #TheLastJedi because [INSERT STRAW MAN HERE]” feel free to share this with them. I don’t even care if you give me credit, I just want @Disney and its TLJ sycophants to UNDERSTAND. pic.twitter.com/WNM5Ajowna
— Not Rian’s Luke 🌐 (@_LukeCSkywalker) 2018年6月28日
この考察では、旧3部作のルーク・スカイウォーカーの実例として、『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1983)の最後の戦いが挙げられている。ダース・ベイダーに妹を暗黒面に堕とすと脅されたルークは、一時は怒りに突き動かされてダース・ベイダーを叩きのめしたものの、とどめの一撃を踏みとどまる。Not Rian’s Lukeは、この瞬間にルークは自らの感情を克服した、つまり父アナキンが暗黒面に堕ちる所以となった“衝動”を制御したのだと述べる。父アナキンは愛する人の喪失を恐れ、衝動的に暗黒面に足を踏み入れてしまったが、ルークはそれと同じ恐怖、つまり友や家族、そして自らの命をも失いかねないという恐怖を克服し、ライトセーバーを放棄して「絶対に暗黒面には呑まれない」と宣言したのだと。「ルークのキャラクターを描く物語がここで完結した。あらゆる意味で、彼は真の英雄になったのだ」とNot Rian’s Lukeは結論づける。
続けて『最後のジェダイ』版ルークの問題点に移っていくNot Rian’s Lukeは、まず若きベン・ソロを眠っている間に殺害しようとしたルークが、『ジェダイの帰還』で克服を描いたはずの“衝動”によって突き動かされていることを指摘している。
Not Rian’s Lukeは、これまでのルークは、たとえ僅かな可能性であろうと、父を救うために自らを犠牲に捧げたこと、理性の制御を会得して父を超えたこと、およびその自制の力は時間と共に強まるはずであることを述べ、「ライアンはこれら全てを忘れろと言う」、「ルークはまだタトゥイーンの子供だと思わせたいらしい」と激論。「ライアンは、今のルークは己を軽蔑していると言う。なぜなら、結局のところ、ルークはまだ“アナキン・バージョン2”のままだったからだ。」
また、カイロ・レン暗殺未遂事件をめぐって、ルークが一度レイに嘘の供述をしたことも、「ルークは嘘をつくようなキャラクターではない」と抗議し、かつて“希望”とされたルークへの敬意を傷つけ、そして最後には殺してしまったと嘆いている。
ライアン・ジョンソン監督の反論
この画像がシェアされているのを見たライアン・ジョンソン監督は、以下のように真っ向から反論したのだ。
Gil, I understand that point of view but I completely disagree with it. In fact I think it disrespects the character of Luke by treating him not as a true mythic hero overcoming recurring wounds & flaws, but as a video game character who has achieved a binary, permanent power-up.
— Rian Johnson (@rianjohnson) 2019年12月20日
「言いたいことは分かる。でも、僕は完全に反対だよ。実際、ルークをビデオゲームのキャラクターみたいに、永久にパワーアップするキャラクターとして描く方がディスリスペクト。再発する傷や欠陥を克服する、真の神話の英雄として描かないと。」
『最後のジェダイ』でルークは、ジェダイ・オーダーの再建に失敗した過去を悔やみ、オク=トーのジェダイ・テンプルで隠遁生活を送っていた。ジェダイや自分自身が神格化されること、および傲慢であったことを嫌い、「ジェダイは滅びるべきだ」と心を閉ざしていた。レイの訪問も拒んでいたが、最終的に折れ、レイにフォースについて語り始める。
やがて、ヨーダの霊体に「過去の失敗を伝えよ」「師とは弟子に超えられるもの」と諭され、かつての心を取り戻す。遠く離れた惑星クレイトに幻覚化して現れカイロ・レンと対決、レジスタンス脱出のための時間を稼いだ。これにより生命力が尽き、双子の夕陽を見ながら消失する。
サーガ完結作となる『スカイウォーカーの夜明け』を受けて、続3部作を通じたルーク・スカイウォーカーの物語の印象はどう変わったのだろうか。この議論は、今後もほとんど永遠に繰り広げられることだろう。
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