7年間監禁された親子が初めて解き放たれた時、世界は輝いているだろうか?映画『ルーム』レビュー

映画『ルーム』 感想・レビュー

映画「ルーム」感想・レビュー


ある部屋に監禁されていた母と息子の姿を、部屋を抜け出してからも癒えることのない2人の心 その葛藤を描いた作品だ。

終始胸を締め付けられ、序盤の内から絶えず涙を流し続けた。
開始一時間時点で「クライマックスか?!」と思ってしまう程に号泣した。
観ていてこんなにも泣き続けられる作品もめずらしい。

冒頭、映し出される母 ジョイ(ブリー・ラーソン)と息子 ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)の姿は微笑ましい。

が、随所に違和感を感じる。
狂気の片鱗を感じる。

それらが積み重なっていき、第三の人物が部屋に現れたことで確信へと変わる。

彼女達の置かれている状況は異質だと。

映し出されるのは部屋で普通に生活しているジョイとジャックの姿だが、その様子を見ているだけであらゆることが伝わってくる。

過去に脱出を試みたが失敗したこと。
抗ってもどうにもならないということ。
ジャックがいるおかげでジョイは心を保てているということ。
ジャックの父親は誰なのかということ。
ジャックにとってはこの部屋がすべてだということ。

シーンとして描かれはしない2人の過去が、その生活振りから感じ取れる。

感じ取れるからこそ胸が痛い。

ジャックが泣きながらジョイに謝るシーンは胸がはち切れそうになった。

物語において「部屋に閉じ込められている」という状況から始まったのならば「部屋から脱出する」という状況に到達するのがセオリーだ。

予告やあらすじで皆様ご存知だと思うので躊躇なく書きますが、ある段階で2人は部屋から脱出する。

そこに至るまでがまた胸を締め付けられっぱなしなのですが、脱出=ゴールというわけではない。

むしろそこからがスタートだ。

ジョイにとっては決して取り返すことのできない7年の歳月。
その時間から生じたあらゆることとの対峙が必要不可欠になる。

失われた時間は戻ってはこない。
埋め合わせなんてできっこない。
現実と上手く折り合いをつけてやっていくしかない。
折り合いをつけるなどと知った風に書いてますが、実際のところ ぼくは何にも分かっちゃいない。

彼女の苦悩は想像を絶する。

そしてジャック。
彼にとってはあの部屋がリアルで、あの部屋こそが世界だった。
部屋を抜け出してからの彼は、助け出されたというのに まるで誘拐されたかのようだった。

タイプの違う2人の葛藤ではあるが、どちらも等しく大きな傷を負っていた。

ジョイは自分自身と。
ジャックは世界と向き合っていく。

幸せになってほしい。
作り物の世界の2人ではあるが、心から2人の心の安寧を願う。

痛みや 苦しみなんかとは無縁の世界で生きて欲しい。
現実を生きていく以上 そんな世界はありっこないが、痛みや苦しみと同じだけ 楽しみや幸せな時間を感じてほしい。

いや、痛みや苦しみの何倍も何倍も幸せを噛み締めてほしい。

ジャックが初めて外の世界を目にした時、ぼくは彼の視点を借りてあることに気が付いた。

彼が目にした世界はぼくらが生きる現実そのものであったが、ジャックというフィルターを通すことで世界がとても輝いて見えた。

今ぼくの目の前にあるこの世界
まさしく今目の前に見えている騒がしくってキッタナイ新宿歌舞伎町も捨てたもんじゃないなって。
目にするあらゆるモノや出来事を前向きに捉えることができそうだ。

ありがとう ジャック。

これはストーリーとは関係ないぼくの妄想補完で楽しんだことなのですが、劇中のあるシーンにディカプリオが登場します。

そのディカプリオの姿
息子の名前
辿り着く答えはひとつ。

誰も笑っていない場面でひとり爆笑してしまいました。
ぜひスクリーンでお確かめください。

5.2
総合評価:A

ルーム

原題 ROOM
製作年 2015年
製作国 アイルランド カナダ
配給 ギャガ(提供 カルチュア・パブリッシャーズ=ギャガ)
上映時間 118分

青春
6
2
エロ
4
サスペンス
8
ファンタジー
6

About the author

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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Comments

  • oriver_cinema (@oriver_cinema) 2016年4月9日 at 1:26 PM

    7年間監禁された親子が初めて解き放たれた時、世界は輝いているだろうか?映画『ルーム』レビュー https://t.co/rBY8dpyXsC #ルーム

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  • ミヤザキタケル (@takeru0720) 2016年4月9日 at 1:54 PM

    7年間監禁された親子が初めて解き放たれた時、世界は輝いているだろうか?映画『ルーム』レビュー | oriver.cinema https://t.co/oTBRjMkdlP

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