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『レディ・プレイヤー1』徹底解説 ─ あらすじ、キャラクター、出演者から評価まで完全ガイド

レディ・プレイヤー1
© 2018 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC. All rights reserved.

スティーブン・スピルバーグ監督作『レディ・プレイヤー1』(2018)は、「俺はガンダムで行く」のセリフや、『シャイニング』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』といった有名映画へのオマージュ、そして「イースターエッグ」として差し込まれたバットマンやハローキティ、ストリートファイターといった、劇中のあちこちでチラリと姿を見せる有名キャラクターなど、見逃せないポイントが沢山。

この記事では、大興奮の『レディ・プレイヤー1』に関する情報をぎゅぎゅっとまとめて集約。あらすじや映像、小ネタ解説、プチエピソードなどを一挙にまとめた。鑑賞のお供にどうぞ。

『レディ・プレイヤー1』あらすじ

レディ・プレイヤー1
© 2018 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC. All rights reserved.

2045年。多くの人々は荒廃した街に暮らす厳しい現実を送っていたが、若者たちには希望があった。それはVRの世界、「オアシス」。そこに入れば、誰もが理想の人生を楽しむことが出来る。憧れのキャラクターに姿を変えて、どこへでも好きなところへ行くことができる、「オアシス」の名に相応しい自由と夢の世界が広がっていた。

ある日、オアシスの創設者、ジェームズ・ハリデーが亡くなり、彼の遺言が発表された。

“全世界に告ぐ。オアシスに眠る3つの謎を解いた者に全財産56兆円と、この世界の全てを授けよう。”

突然の宣告に世界中が沸き立ち、莫大な遺産を掛けた壮大な争奪戦が始まった。クエストをクリアして手に入る“3つの鍵”を揃え、オアシス世界に隠された宝の卵(イースターエッグ)を誰よりも早く見つけ出せ!

主人公ウェイド・ワッツは、現実ではパッとしない日常を送っており、オアシスに自分の世界を求めていた17歳の少年。ポップカルチャーのオタク的知識をフルに活かして、ハリデーが遺した謎の攻略に挑む。

オアシスで出会った親友のエイチや、謎めいた美女アルテミス、侍と忍者のようなアバターのダイトウとショウと協力し、争奪戦を勝ち残ろうとするウェイド。しかしそこに世界支配のため、ソレント率いる非情な巨大企業、IOI社も参戦してきて……。

『レディ・プレイヤー1』解説

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原作はアーネスト・クラインの小説。邦訳版タイトルは『ゲームウォーズ』で、上下巻がSB文庫より発売されている。もしも「『チョコレート工場の秘密』の工場主ウィリー・ワンがゲームデザイナーだったら」「そのゲームデザイナーが1980年代オタクだったら」という着想を出発点とした壮大な小説だ。

見どころは何と言っても、ガンダムやメカゴジラ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンほか、劇中に登場する無数の小ネタだ。複雑な権利問題をクリアして、他では絶対に有り得ないような夢の共演の数々を実現させた。映画やアニメに限らず、ゲーム、音楽など、あらゆるポップカルチャーが詰まった奇跡の宝箱のような映画だ。

劇中に登場する膨大量の小ネタについては、以下記事で網羅した。記事を片手に鑑賞を楽しんで欲しい。

小ネタまとめ完全版

一方で、理想の自分になれるVR世界と、ハードな現実世界を行き来しながら、フツーの少年が仲間と結束して巨悪を倒すという、実にスピルバーグらしい冒険映画としての完成度も高い。このテーマについては以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてお楽しみいただきたい。

ストーリーの解説しっかり

登場できなかったキャラクター、映画

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あらゆるキャラクターが登場するとあって、映像化に際しては複雑な権利問題が生じるが、原作小説では自由度が高かった。小説版には登場したが、事情により映画では見られなかった主なネタを紹介しよう。

ウルトラマン

小説版では「ウルトラマン」の世界の中で、キャラクターの演技を完全再現するというクエストが存在。見事クリアしたウェイドらは、ウルトラマンの変身アイテム、ベータカプセルを入手。クライマックスの戦いではダイトウがウルトラマンに変身して戦った。(ちなみに小説版で、メカゴジラは“3式機龍”として登場する。)

映画版でもこれを映像化したかったところ、製作当時は円谷プロダクションが日本国外での映像化権を持っておらず実現できなかった。これは過去の契約書トラブルにより国外企業に権利を奪われていたためで、円谷プロは長い間裁判で争っていた。ぶじ勝訴したのは2019年12月。もう少し早く決着がついていたら、『レディ・プレイヤー1』にも登場できたかもしれない。映画では、ウルトラマンの代わりにガンダムが登場した。

なお現在、ウルトラマンの海外実写版リブートが計画されている。

東映版スパイダーマンのレオパルドン

今なおネットでは異様な熱気を帯びて語られる東映版スパイダーマンも小説版には登場。日本オリジナルのスパイダーマンシリーズはアメリカでも少々マニアックな存在だが、小説版のウェイドは「リサーチの過程で『スパイダーマン』を知って以来、とりこになってしまった」らしい。

好きな「ジャイアントロボ」を一体貰える、という場面では、ウェイドは「鉄人28号、マジンガーZ、アイアンジャイアント、ジェットジャガー、スフィンクスの頭を持つジャイアントロボ、ロボット玩具ショーグンウォリアーズの全モデル、『超時空要塞マクロス』や『機動戦士ガンダム』の各種メカ」といった有名ロボットを差し置いて、レオパルドンを即決で選んでいる。「レオパルドンを見つけた瞬間、どれが一番強そうかなんてどうでもよくなった。絶対にレオパルドンがいい。一番強くなくたってかまわない」。クライマックスの戦いでは山城拓也よろしく「レオパルドン!」と叫んで召喚し、ウェイドは日本語が書かれたコックピットに乗り込んでいる。

原作者クラインは映画版にもレオパルドンを登場させる予定だったが、アメリカでの知名度が低かったため見送られたとのこと。

アニメ映画『スパイダーマン:スパイダーバース』続編には、東映版スパイダーマンが登場する見込み

ブレードランナー

小説版では、『ブレードランナー』はハリデーの「オールタイム・ベストの一本だし、原作はハリデーの好きな作家の一人フィリップ・K・ディックだ」との言及があり、ウェイドは映画『ブレードランナー』を「四十回以上見て、すべてのコマとすべてのせりふを頭に叩き込んである」。小説版には『ブレードランナー』で象徴的なユニコーンの折り紙が謎を解くヒントとして登場した。

映画ではウェイドらが『シャイニング』の世界に入り込むクエストがあったが、脚本の初稿でこれは『ブレードランナー』が予定されていたという。ところが当時ワーナー・ブラザースが『ブレードランナー 2049』(2017)の製作を進めていたため、差し替わることとなった。

もっとも、『ブレードランナー』は映画でその名の言及こそされないものの、こっそりとオマージュされている。囚われたサマンサを救うため、ウェイドとトシロウが偽の現実を作り上げてソレントに迫るシーンで、ウェイドたちの瞳がうっすらとオレンジ色に光るという描写だ。これは、『ブレードランナー』のレプリカント(アンドロイド)が、見る角度によって瞳の色がオレンジ色になるという設定へのオマージュである。

E.T.

『E.T.』は、スピルバーグ監督の代表作ということで映画に登場してもおかしくない有名キャラクターだ。スピルバーグによれば、他のキャラクターを差し置いて自分のキャラを登場させたくなかったのだという。また、「彼は引退した。というか、それ(it)ですね。E.T.は彼とか彼女とかじゃない、植物由来の存在(a plant-based entity)だから」と愛を持って語ってもいる

原作小説『ゲームウォーズ』には、他にも列挙しきれぬほどの作品が登場する。映画を楽しんだら、ぜひ小説版も読んでみよう。

ゲームウォーズ(上) (SB文庫)

キャラクター、出演者・キャスト紹介

ウェイド・オーウェン・ワッツ/パーシヴァル(タイ・シェリダン)

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本作の主人公。映画やゲーム、音楽など、ポップカルチャーに関するオタク的な知識を持つ17歳の少年。幼い頃に両親を亡くし、祖母とその暴力的な恋人とともにトレーラーハウス(スタック)で暮らす。現実世界には心の拠り所がなく、また荒んだ現実の生活から抜け出すため、仮想世界「オアシス」に入り浸ってイースターエッグを探すガンター(エッグ・ハンター)として活動。

多くのガンターと同様、オアシスの創造主ハリデーに対しては純粋な憧れを持つ。無鉄砲ながら正義感が強く、頭の回転も早い。名の由来は“ピーター・パーカー(スパイダーマン)”や“ブルース・バナー(ハルク)”のような、イニシャルの揃った名でスーパーヒーローのような偉大な存在になってほしいという願いから。もっとも、この仰々しい名前は、うだつの上がらないウェイドの現実生活の虚しさを際立ててしまっている。

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オアシスの世界では、シルバーの髪が印象的な「パーシヴァル」として活動。『スター・ウォーズ』ハン・ソロのガンベルトを腰に巻くなど、ウェイドらしいカスタムが見られる。オアシスの世界で出会う女性ガンターのアルテミスに恋をする。

演じたのは1996年生まれのタイ・シェリダン。映画デビュー作『ツリー・オブ・ライフ』(2011)はアカデミー賞3部門(作品賞、監督賞、撮影賞)ノミネートを果たす話題作となった。『X-MEN』の新シリーズでサイクロップス/スコット・サマーズを演じてブレイク。直近の待機作として注目したいのは、ポール・シュレイダー監督のスリラー『The Card Counter(原題)』。タイは主演を務めるが、共演にはオスカー・アイザックやウィレム・デフォーら豪華俳優陣が集っている。

俳優業のほか、「没入型メディアテクノロジー」を開発するベンチャー企業エーテル社(Aether,Inc.)の共同設立者としての顔も持つ。

サマンサ・イヴリン・クック/アルテミス(オリビア・クック)

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ウェイド・ワッツに負けないくらいのポップカルチャーのオタク的知識を有する女性。外見にコンプレックスを抱えており、ウェイドと「リアル」世界で会うことを嫌がっていた。

オアシスの世界では「シクサーズ殺し」として名の知れたアルテミスとして活躍。『AKIRA』金田のバイクが愛車で、ハローキティなどのステッカーをベタベタと貼っている。

演じたオリビア・クックは1993年生まれの気鋭の女優だ。2014年よりインディペンデント映画への出演を見せており、2015年の出演作『ぼくとアールと彼女のさよなら』はサンダンス映画祭で審査員大賞と観客賞に輝いた。『ライフ・イットセルフ 未来に続く物語』(2018)では、オスカー・アイザックやオリヴィア・ワイルドと共演している。

ヘレン/エイチ(リナ・ウェイス)

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エイチは、パーシヴァル/ウェイド・ワッツのオアシスでの親友だ。あらゆるマシンの修理やカスタムが得意。ガレージにはポップカルチャーの様々なマシンが格納されており、そのほんの一例だけでも、『ロボコップ』のED-209、「カウボーイビバップ」のソードフィッシュⅡ、『宇宙空母ギャラクティカ』のコロニアル・バイパーなどなど。とっておきは、『アイアン・ジャイアント』の巨大ロボットだ。

大男のような容姿とは裏腹に、ホラー映画が苦手という一面も。現実世界でウェイドと会ったことはなかったが、その正体は少々意外で……。

演じたのはリナ・ウェイス。1984年生まれで、ウェイド役タイ・シェリダンやサマンサ役のオリヴィア・クックよりも少し年長だ。

役者としてはNetflix「マスター・オブ・ゼロ」(2015-)で知られるほか、脚本家やプロデューサーとしての顔も持つ多才ぶり。脚本家としては「BONES (ボーンズ) −骨は語る−」(2005-2017)など数々のドラマを執筆しており、「The Chi(原題)」(2018-)では脚本、企画、製作総指揮も務めている。

『2分の1の魔法』(2020)では、ディズニー&ピクサー作品としては初めて公式にレズビアンとして描かれるキャラクター、スペクターの声を務めた。

トシロウ/ダイトウ(森崎ウィン)

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侍姿のダイトウは対プレイヤーバトルの猛者として知られ、日本の映画スター三船敏郎の容姿がベースになっている。武士道を重んじていて、常に礼儀正しい。ソレントでの最終決戦では、機動戦士ガンダム(RX-78-2)に変身してメカゴジラと戦った。

森崎ウィンは、J-PopグループのPrizmaX(解散)のメンバーとしても活躍していた。俳優としては「ごくせん」(2009年版)『書道ガールズ!! わたしたちの甲子園』(2010)などに出演、『レディ・プレイヤー1』では、ハリウッドデビュー作にしてスピルバーグ監督作の大役に抜擢となった。

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トシロウ/ダイトウがよくお辞儀を見せるのは森崎の案で、「アジア人ならではの”和”というものを見せたかった」「立ち振舞や行動で(”和”を)見せていく、というのが伝わるんじゃないかなと。1人だけ日本から来てる人がいる、っていうものが見えるように心がけました」と話す

目標はアカデミー賞を取ることで、『ウィンストン・チャーチル』でメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した辻一弘(カズ・ヒロ)に影響を受け、「笑われようがどうでもいい」「絶対にアカデミー賞を獲ってやる」と意気込んでいる。

ゾウ/ショウ(フィリップ・チャオ)

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忍者に憧れる中国人の少年ガンター。同じくアジア出身のダイトウと行動を共にしており、2人は師匠と弟子、兄と弟のような関係だ。素早い身のこなしとトリッキーな戦術でバトルをリードする強者。その正体はまだ幼い少年である。

演じたフィリップ。・チャオは、本作が俳優としてのプロデビュー作。公開当時14歳の高校1年生で、「NBA 2K18」がお気に入りのゲーム好き。

ソレント(ベン・メンデルソーン)

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IOI(Innovative Online Industries)の運営統括責任者。オアシスの買収を狙ってイースターエッグ制覇を目論む非情な男で、目的のためなら殺人だって厭わない。ポップカルチャーへの興味はこれっぽちもない。ウェイドらの前では自分もカルチャーの理解者で仲間であるかのように振る舞うが、全て部下からの入れ知恵だ。オアシス世界では、スーパーマンをイメージしたアバターとして出現する。

IOIでは権力を持って偉そうにしているが、実はかつてハリデーとモローの元で働いていた。この頃から「オアシス内の広告出稿を募って儲けよう」とビジネスを提案していたが、ハリデーは聞く耳を持たなかった。

演じたのはベン・メンデルソーン。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)でも悪役オーソン・クレニックを演じた。『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(2017)では国王ジョージ6世役で高評価を得ている。マーベル映画『キャプテン・マーベル』(2019)では、スクラル人のタロスに扮している。

フナーレ・ザンダー(ハナ・ジョン=カーメン)

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ソレントの部下。原作には登場しない、映画オリジナルのキャラクターだ。ソレントに命じられ、ウェイド抹殺を試みる従順な存在だが……。

演じたハナ・ジョン=カーメンはゲーム『DARK SOULS』(2011)の声優を務めたのがキャリアの始まり。『トゥームレイダー ファースト・ミッション』(2018)では主人公の親友役で出演しており、マーベル映画『アントマン&ワスプ』(2018)ではヴィランのエイヴァ・スター/ゴースト役にも起用されている。2020年には、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)のオールデン・エアエンライクと共に名作ディストピア小説を映像化するドラマ「すばらしい新世界」への出演もある。

ハリデー/アノラック(マーク・ライランス)

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オアシスの創始者として世界的な尊敬を集める。2040年に亡くなる際、オアシスにイースターエッグと3つの鍵を隠した。ひとつの世界の創造主という点で、ガンターたちにとっては神にも等しい存在だ。しかしハリデーは人付き合いが苦手で、人目につかないよう暮らしていた。

オグデン・モローとは親友だったが、ある理由から決別していまう。ハリデーとモローの関係は、しばしばApple社のスティーブ・ジョブスとスティーブ・ウォズニアックにも例えられる。

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オアシス世界ではアノラックの名で、各クエストの勝者に鍵を授けるために現れる。『ロード・オブ・ザ・リング』ガンダルフのような、魔法使いに似た姿が印象的だ。

演じたマーク・ライランスは、スピルバーグとは度々タッグを組んでおり、『ブリッジ・オブ・スパイ』(2016)ではアカデミー助演男優賞にも輝いている。続けて、スピルバーグ監督のディズニー映画『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(2016)でも巨人役を演じた。『ダンケルク』(2017)では、小型船の船長を演じている。

オグデン・モロー(サイモン・ペッグ)

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ハリデーの少年時代からの親友で、ハリデーにとっては数少ない理解者だった。共にゲーム会社グレガリアス社を設立するが、オアシス開発の際に仲違いを起こし、今ではオアシスの運営から身を引いている。

演じたのはサイモン・ペッグで、彼自身も熱心なポップカルチャーのファンとして知られる。『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004)や『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』(2007)などエドガー・ライト監督作品で評判を得て、以降『スター・トレック』映画シリーズや『ミッション:インポッシブル』シリーズなど大作映画でも活躍するようになる。

腕に『千と千尋の神隠し』カオナシのタトゥーが入っている。日本でのファン愛称は「ペグペグ」「ペグちゃん」で、本人に伝えると「ヘヘヘ(笑)照れちゃう」と喜んだ。『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)では、撮影前に寝転がってスマホで『キャンディークラッシュ』をプレイしていた。

主な出演者・キャスト、吹替声優 一覧

現実世界のキャラ名 オアシスのアバター名 キャスト 日本語吹替声優
ウェイド・ワッツ パーシヴァル タイ・シェリダン KENN
サマンサ・クック アルテミス オリヴィア・クック 坂本真綾
ノーラン・ソレント ソレント ベン・メンデルソーン 楠大典
ヘレン・ハリス エイチ リナ・ウェイス 斉藤貴美子
トシロウ ダイトウ 森崎ウィン 森崎ウィン
ゾウ ショウ フィリップ・チャオ
小林由美子 / 松岡禎丞
ジェームズ・ドノヴァン・ハリデー アノラック マーク・ライランス 後藤哲夫
オグデン・モロー サイモン・ペッグ 山寺宏一
フナーレ・ザンドー ハナ・ジョン=カーメン 茅野愛衣
アイロック T・J・ミラー 佐藤せつじ
リック ラルフ・アイネソン 玄田哲章

スティーブン・スピルバーグ監督

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「私が目指したのは、未来へ突っ走るときに髪が後ろに吹き流されるほどのスピード感のある映画を創ること……そんなアドベンチャー作品にすることだった。」

説明不要の巨匠。監督やプロデューサーとして1970年から現在に至るまで数々の名作を贈りだしており、その一部を列挙するだけでも膨大な文字数を費やさねばならないだろう。『レディ・プレイヤー1』に関連するところでは先述の『E.T』ほか、『ジュラシック・パーク』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『インディ・ジョーンズ』などがある。

製作に際しては、スピルバーグ自身もVRヘッドセットを装着してデジタルセットに入り、ショットの計画を立てたという。自分のアバターも作ってもらったのだそうだ。本作ではモーションキャプチャーなど複雑な工程が多かったため、スピルバーグは『ジョーズ』(1975)『プライベート・ライアン』(1998)に継ぐほどの難産だったと認め、製作期間中は「1日4~5時間しか眠りませんでした。明日やることをずっと考えていましたから」と話している

劇中に登場した無数のポップカルチャーネタの中で、スピルバーグ自身が最も楽しんだのはアイアン・ジャイアントだという。スピルバーグは1999年の『アイアン・ジャイアント』アニメ映画監督ブラッド・バードを「天才」と評しており、「ずっと昔に『Family Dog(原題)』というTVシリーズを一緒にやったことがあります。これでブラッド・バードとアイアン・ジャイアントを讃えることができました」と話している。ちなみにブラッド側も「スティーブンには大きな恩がある」「うれしかった」とアンサーしている。

スピルバーグの超人ぶりを物語るエピソードとして、本作の製作3年間の間に『ブリッジ・オブ・スパイ』(2015)や『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(2018)も手掛けている、というものがある。とりわけ『ペンタゴン・ペーパーズ』に関しては、難航していた『レディ・プレイヤー1』ポスト・プロダクション作業と完全に並行させながら、わずか半年ほどで完成させているのだ。時事性の強い作品だったため、脚本を読んで「2年も3年も待っていられない、今すぐ伝えたい物語だ」と突き動かされたためだという

『レディ・プレイヤー1』レビュー・評価

レディ・プレイヤー1
© Warner Bros. Entertainment Inc.

米レビューサイトのRotten Tomatoesでは、批評家スコア72%、観客スコア77%と概ね高評価を得ている。

好意的なレビューでは、「壮大なる映画のテーマパーク・ライド」(Newshub)、「ストーリーとビジュアルに夢中になって、2時間があっという間」(FlixkDirect)、「ポップカルチャーのファンなら、この楽しくてスリリングなライドに“好き”を見つけられるはず」(John Hanlon Reviews)「ポップカルチャーのみならず、テック界隈にもオマージュを捧げた、高度なエンタメ映画。ゲーマーのみならず、幅広い映画ファンに刺さるはず」(The Sun Daily)といった「お祭り映画」の面を称える声が多い。

ほか、「おそらくスピルバーグは当代で最も偉大なシネマ・ストーリーテラーだと思い出させてくれる」(The Dispatch)、「スピルバーグの能力が帰ってきた」(Screen Junkies)、「過去10年のスピルバーグ映画の中でも一番楽しい」(Código espagueti)といった具合に、これほどの豪華絢爛共演をまとめ上げた巨匠スピルバーグに対する評価も相次いでいる。

全米では週末初登場1位を記録。前週1位デビューだった『パシフィック・リム:アップライジング』や、社会現象化していた『ブラックパンサー』を抑えての首位を飾った。しかし2週目には、ホラー映画『クワイエット・プレイス』に早くも1位を譲ることとなる。

『レディ・プレイヤー1』リリース情報

『レディ・プレイヤー1』のブルーレイには、メイキングなど約90分を超える映像特典が収録されている。数量限定生産のプレミアム・エディションにはルービック・キューブのキーチェンなどの特典が付属していた。

レディ・プレイヤー1
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『レディ・プレイヤー1』予告編&本編映像

予告編映像

冒頭映像

レースシーン

メカゴジラ対ガンダム

出演者から日本のファンへのメッセージ

製作の舞台裏

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Source:USA Today(1,2),Collider,Newshub,FlixkDirect,John Hanlon Reviews,The Sun Daily,The Dispatch,Screen Junkies,Código espagueti
『レディ・プレイヤー1』劇場用プログラム,松竹株式会社,2018
『レディ・プレイヤー1』プレス資料
『ゲームウォーズ(下)』アーネスト・クライン著,池田真紀子(翻訳),SB文庫,2014

Writer

アバター画像
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。