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『ウィンター・ソルジャー』で始まった物語、『アベンジャーズ4』で「完結させる」 ― ルッソ監督の宣言、読み解くカギは音声解説に

アベンジャーズ
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』および『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』のアンソニー&ジョー・ルッソ監督は、今やマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)史上最多の監督作品数を誇るクリエイターだ。意外にもMCUにおいて、これまで3作品以上を撮った監督は存在しないのである。

そんなルッソ監督は、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)や『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)で描いてきたストーリーを『アベンジャーズ』第4作で完結させると意気込んでいる。英SPIN 1038による取材で、ジョー監督は自分たちの作家性についてこのように述べた。

「これはストーリーテリングの挑戦であり、『ウィンター・ソルジャー』から始まった、ストーリーテラーとしての僕たち自身の冒険を終えることでもあります。『ウィンター・ソルジャー』で始まった物語が『アベンジャーズ4』で終わる。僕たちにとって、(それぞれの作品には)非常に個人的な繋がりがあるんですよ。映画監督としての視点を理解してもらえると思いますし、4本まとめて観てもらえれば、僕たちがどういう人間なのかもわかってもらえると思います。」

したがって「『ウィンター・ソルジャー』で始まった物語が『アベンジャーズ4』で終わる」とはいうものの、それは決して「キャプテン・アメリカが物語の主人公である」「『キャプテン・アメリカ』シリーズから直結したストーリーである」というレベルの話ではなさそうだ。あくまでルッソ監督にとってのテーマが通底しているのだと捉えるべきかもしれない。

「ストーリーテラーとしての冒険」、ヒントは音声解説に

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の公開を控えた今、ルッソ監督による「ストーリーテラーとしての冒険」を読み解くカギとして参考にしたいのが、『ウィンター・ソルジャー』や『シビル・ウォー』のブルーレイに収録されているルッソ監督らによる音声解説だ。

たとえば『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』におけるキャプテン・アメリカとブラック・ウィドウの関係について、クリス・エヴァンスは「ナターシャは経験と知識という点で、いつも彼の数歩先を行っている」述べているが、こうした関係性に関する“哲学”ともいうべきものは、すでに『ウィンター・ソルジャー』の音声解説で語られている。当時から構想されていたものが、丁寧に発展した形で『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に結びついていることがわかるのだ。
同じく『ウィンター・ソルジャー』の音声解説では、「すべてのヴィランは、彼ら自身の物語においてはヒーローですし、自分たちのやっていることが正しいと信じている」のだというヴィラン論や、「観客の皆さんには、観ているものが自分の生活にすごく近いものなんだという感覚を得てほしい」という思いについても別の言葉によって明かされていた。

これらは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の劇場公開を控えた今、ルッソ監督がインタビューでたびたび強調しているものだ。「『ウィンター・ソルジャー』で始まった物語が『アベンジャーズ4』で終わる」という言葉の真意は、そうした部分からおのずとうかがえるだろう。予習も兼ねて過去作品の音声解説をご覧いただければ、きっとMCUの締めくくりをより深く味わうことができるはずだ。

しかしながら、MCUの集大成となる『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は、二人の監督がこれまで取り組んできた『キャプテン・アメリカ』シリーズとは訳が違う。数えきれないほどのキャラクターが共演する群像劇を、監督と脚本家の四人はどのように織り上げていったのか……。

「僕たちは、すべてにおいてストーリーテリングこそが一番重要だと常に考えています。だから脚本家の(クリストファー・)マルクスや(スティーヴン・)マクフィーリーとは何ヶ月も、何ヶ月も作業をしました。すべてのキャラクターを壁に貼り出して、その下にアイデアを書いていくんです。キャラクターをどこに導けるのか、どうすれば合流させられるのか。そうやって、全体のストーリーをゆっくりと探らなければなりませんでした。しかし物語に秘められた可能性のほうが効果を発揮して、それぞれのキャラクターを物語に調和させることもあった。キャラクターに物語を動かしてもらい、また物語にもキャラクターを動かしてもらう。これこそが良い方法ですね。」

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は2018年4月27日より全国ロードショー
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』MovieNEXは現在発売中だ。

Source: SPIN 1038
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。