「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」が俳優組合ストライキ中も撮影継続できる理由

全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)と全米映画テレビ製作者協会(AMTPT)の間で行われていた契約交渉が決裂に終わり、SAG-AFTRAは2023年7月14日午前0時1分(現地時間)よりストライキに入ることを発表した。これによって作品の製作や宣伝活動は全面的に中止される見通しだが、「ゲーム・オブ・スローンズ」の前日譚ドラマ「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」(2021-)と米HBOと英BBCの合作ドラマ「インダストリー」(2020-)は、英国での撮影を継続することがわかった。米Deadlineなどが報じている。
HBOドラマ「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」のキャストは主に英国の俳優で構成され、SAG-AFTRAではなく英国の俳優組合Equityのもとで働いている。同様に、「インダストリー」もEquityのルール下で制作が行われているため、両番組は撮影の継続が可能となるという。
このたびEquityはウェブサイト上で声明を発表し、「あらゆる合法的手段によってSAG-AFTRAとそのメンバーを支援する」とした上で、「現在、Equity UKの団体協約の下で働いているSAG-AFTRAのメンバーは、引き続き仕事に従事すべき」と述べている。
この状況下でキャストたちが撮影への参加を望むかはわからないが、英国には厳しい反労働組合法があり、SAG-AFTRAを支援するためストライキを行うことは認められていないという。
しかし同組合は、SAG-AFTRAと「揺るぎない連帯の立場に立つ」と述べ、団結する姿勢を示している。「AMPTPおよびメンバーに対し、SAG-AFTRAのメンバーの合理的な要求を満たすために、大規模かつ迅速に動く必要があることを明言する。我々の組合のメンバー、そして世界中のすべてのエンターテインメント・ユニオンは、この業界に莫大な富を生み出している」。
「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」シーズン2の撮影はイギリスにて4月より開始されていた。
SAG-AFTRAは、ストリーミングに応じた報酬や人工知能(AI)を活用した際の補償などをめぐってAMTPTと対立し、6月7日より交渉が行われていた。俳優らのストライキが行われるのは1980年以来で、全米脚本家組合と同時のダブル・ストライキとなるのは1960年以来のこととなる。