【シン・ゴジラ完全予習ガイド】謎に包まれた全貌に映像と証言で迫る 関連作品も徹底紹介!

日本で製作されるのは12年ぶりとなる、『ゴジラ』シリーズの最新作『シン・ゴジラ』。7月29日の全国公開を直前に控えてもなお公開されている情報は未だ少なく、その全貌をつかむことはできそうにない。

昨日7月19日に行われた完成報告記者会見では、ようやく新たな予告編が解禁されて話題となった。まずは予告編やテレビCMを見てみるところから、存在自体が“怪獣”のような『シン・ゴジラ』に迫っていくことにしよう。

『シン・ゴジラ』予告編・テレビCM

なお、現在全国の映画館では劇場限定の予告編が上映中。そちらは人物のセリフや効果音も含めたバージョンで、物語やテーマにもう少し迫った内容となっている。

主な設定とストーリー

『シン・ゴジラ』のストーリーは現時点でほとんど伏せられている。しかし富山県の映画館「富山シアター大都会」のウェブサイトにはわずかに詳しいあらすじが掲載されていた。一部テレビ番組で報じられた内容でもあるだけに、ここまでは間違いないと思われる。

東京湾アクアトンネルで原因不明の事故が発生、緊急閣議が召集される。
その直後、突如として巨大生物が首都に上陸し次々と街を破壊。謎の巨大生物は「ゴジラ」と名づけられる…。
富山シアター大都会[7/20閲覧]

『シン・ゴジラ』では「現代の日本にゴジラが初めて現れた」という設定が採用されており、劇中の世界で怪獣に「ゴジラ」という名前が与えられるのも初めて。すなわち、以前の『ゴジラ』シリーズの設定は完全にリセットされていると考えられる。また真相は定かではないが、『シン・ゴジラ』に登場するゴジラは劇中でいくつかの形態に変化するという噂もある。

今回、ゴジラは鎌倉市稲村ヶ崎に上陸。その後武蔵小杉駅方面に移動し、自衛隊と激突するという。 https://www.youtube.com/watch?v=ysRIwlEBjuw

今回、ゴジラは鎌倉市稲村ヶ崎に上陸。その後武蔵小杉駅方面に移動し、自衛隊と激突するという。
https://www.youtube.com/watch?v=ysRIwlEBjuw

設定はリセットしたものの、庵野秀明総監督は1954年の『ゴジラ』第1作を強く意識している。完成報告記者会見で庵野総監督はこう述べているのだ。

「怪獣映画の面白さは、現代に異物が現れるということ。これは特撮でなければできない世界観。怪獣映画としての完成度や素晴らしさは最初の『ゴジラ』にすべて集約されていると思う」

「怪獣映画は『ゴジラ』があれば十分じゃないかと。だから最初は(オファーを)断ったんです。『ゴジラ』にほんのわずかでも近付けるには同じことをやるしかない。それ以外の方法が僕の中にはなかったんです」
ナタリー[7/20閲覧:強調は筆者によるもの]

ORICON STYLEはシリーズ第1作と『シン・ゴジラ』に共通する存在として、劇中で怪獣に「ゴジラ」と名づける教授を挙げている。またゴジラの“目”についても庵野総監督はこだわったようだ。

「本作のゴジラは目だけ下を向いている。人間を見ているから。そこが今回登場するゴジラの唯一のコミュニケーションだったのです」

「視線の先に感情が表れるんですよ。これまで下を向いて人間を見ているのは初代ゴジラだけ
ナタリー[7/20閲覧:強調は筆者によるもの]

「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)。」というコピーからも察しがつくように、『シン・ゴジラ』ではゴジラが敵怪獣と戦うのではなく、ただただ日本に上陸し、そして日本人がそれを迎え撃つという構造が大前提だ。樋口真嗣監督もインタビューで「総勢300人以上のキャストが大挙してゴジラに立ち向かう」とコメントしているように、『シン・ゴジラ』とは“日本人はゴジラに勝てるのか/勝てないのか”、いいかえれば“未曾有の事態に日本人は対処できるのか/できないのか”について物語・映像の両面からどう描かれるかが肝の映画といえるだろう。

今回のゴジラの目は人間の目をモデルにしているとのこと。それにしても顔が怖すぎる。 https://www.youtube.com/watch?v=M89VLZgo1Vg

今回のゴジラの目は人間の目をモデルにしているとのこと。それにしても顔が怖すぎる。
https://www.youtube.com/watch?v=M89VLZgo1Vg

『シン・ゴジラ』ここが見どころ

政治ディスカッション・ドラマとしての『シン・ゴジラ』

すでにレビューなどで言及されているように、『シン・ゴジラ』は怪獣が出現してすぐ自衛隊が戦闘に突入するようなストーリーではない。Movie Walkerは本作を「圧倒的な“災害”のシミュレーション」映画と評し、映画評論家の樋口尚文氏「えんえんと武力攻撃が許されない」展開だと述べている。庵野総監督による脚本は自衛隊とのミーティングなどを経て緻密に書き上げられ、演出もゴジラの存在以外は極めてリアルなものが追求されているという。

予告編からも容易に推測できることだが、『シン・ゴジラ』は東日本大震災や福島第一原発事故を作品の下敷きにして製作されたようだ。それは現代の日本で“未曾有の事態に日本人は対処できるのか”というテーマを描く際には避けて通れないモチーフであり、劇中で相当長い時間を占めているという政治家や官僚たちの会議シーンにはその影響がとりわけよく表れていることだろう。

思えば1954年の『ゴジラ』第1作も、極めてデリケートな同時代の社会状況を取り入れて製作された作品だった。戦争や核の恐怖がとても記憶に新しい時期にゴジラという怪獣を出現させ、その存在にあらゆるイメージを託すことで生み出された娯楽映画だったのである。

現代の東京にゴジラが上陸し、政治家や官僚が逡巡して国民が右往左往する。想像を絶する事態に、いかにして日本人は立ち向かえるのか。そもそも立ち向かうために、合議を形成することができるのか……。『シン・ゴジラ』は現代の怪獣映画であると同時に、今もっともリアリティのある政治ディスカッション・ドラマになっていると予想されるのだ。

それでも王道の怪獣映画として

もっとも庵野総監督、樋口監督が『シン・ゴジラ』をいわゆる社会派の映画として製作したとは考えづらい。言うまでもなく庵野秀明は『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズの監督であり、樋口真嗣もまた『ガメラ』シリーズで特技監督を務めた才能である。二人とも特撮映画への愛情がとても深い人物だ。

すでに公開されているレビューには、『シン・ゴジラ』を王道の怪獣映画として高く評価する言葉が並んでいる。シネマトゥデイ「日本版ゴジラの復活を堂々と告げる傑作」、「王道の展開の気持ち良さにあふれている」と記しており、樋口尚文氏は「特撮ファンを大いに唸らせるであろうアイディアとオマージュ弾けるイメージの連打」、「特撮映像の数々はそんじょそこらのハリウッド的VFXには追随できないセンスと切れ味」と絶賛した。また樋口氏は、『シン・ゴジラ』の『新世紀エヴァンゲリオン』との類似点にも多く言及している。

今度のゴジラはどんな風に暴れて、どんな風に街を壊すのか? また日本人は怪獣王とどんな手段で戦うのか? あくまで王道の娯楽映画としての『シン・ゴジラ』にも期待したいところだ。

初めて予告が公開された際、「アニメでしか観たことのない映像を実写で表現している」という声も多かった。 https://www.youtube.com/watch?v=M89VLZgo1Vg

初めて予告が公開された際、「アニメでしか観たことのない映像を実写で表現している」という声も多かった。
https://www.youtube.com/watch?v=M89VLZgo1Vg

『シン・ゴジラ』関連作品いろいろ

最後に、『シン・ゴジラ』を劇場で観る前後にチェックしたい作品をいくつか挙げておくことにしよう。いずれも『シン・ゴジラ』に関係なく是非観たい名作ばかりだ。

『ゴジラ』シリーズから

『シン・ゴジラ』のベースとされている1954年版『ゴジラ』は、製作から60年以上経ってもなおゴジラ映画のマスターピースと呼ぶべき傑作。戦争の惨劇を思わせる描写とともに、今見ると思わずゾッとするような現代性も兼ね備えているところに注目だ。『シン・ゴジラ』を観たあと、庵野総監督らがいかに要素を取り入れ、オマージュを捧げたかを確かめるために観るのもおもしろいだろう。

同じく『ゴジラ』シリーズでは、『シン・ゴジラ』と1984年版『ゴジラ』の類似も気になる。1984年版は東西冷戦など当時の社会状況を踏まえて製作された作品で、1954年以来30年ぶりにゴジラが東京に上陸した」という設定のもと、ゴジラに対する政府の対応がリアル志向で描かれている。また『シン・ゴジラ』の赤く発光するゴジラは、『ゴジラvsデストロイア』(1995年)に登場したメルトダウン寸前のゴジラを思わせる。こちらもあわせて確認されたい。

岡本喜八監督の群像劇

庵野秀明総監督は岡本喜八監督の大ファンであることを以前より公言している。『シン・ゴジラ』が総出演者328名の“大群像劇”であり、政治家や官僚たちに焦点をあてた物語であることが判明してからは、岡本喜八作品がモデルになっているのではないかと予想する声が多く上がった。

なかでも作品のテーマがどこか共通すると予想されるのは、第二次世界大戦での日本降伏を決定した御前会議から玉音放送までの24時間を政治家や軍人たちの動きで描いた『日本のいちばん長い日』(1967年)と、太平洋戦争の沖縄戦を細やかなエピソードの積み重ねで見せた『激動の昭和史 沖縄決戦』(1971年)だ。庵野総監督は『沖縄決戦』を100回以上観ていると述べているだけに、予習がわりに先に観ておくのもよいかもしれない。

出演者にも多彩な顔ぶれが揃った。塚本晋也、原一男ら映画監督の登場にも期待大。 https://www.youtube.com/watch?v=M89VLZgo1Vg

出演者も多彩な顔ぶれが揃った。塚本晋也、原一男ら映画監督の登場にも期待。
https://www.youtube.com/watch?v=M89VLZgo1Vg

まもなくベールに包まれた『シン・ゴジラ』の幕が開く。どんなゴジラ映画が観られるのか、もう少し楽しみに待つことにしよう。

『シン・ゴジラ』は2016年7月29日公開。IMAXでの上映は7月29日から8月10日までの期間限定だ。

source:
http://www.cinematoday.jp/page/A0005069
http://www.cinematoday.jp/page/N0084553
http://www.cinematoday.jp/page/A0005055
http://news.walkerplus.com/article/82304/
http://www.oricon.co.jp/special/49146/
http://bylines.news.yahoo.co.jp/higuchinaofumi/20160719-00059606/

About the author

稲垣 貴俊(Takatoshi Inagaki)。THE RIVER編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすくしてお伝えできればと思っております。

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