「SHOGUN 将軍」藤役 穂志もえか&菊役 向里祐香「日本に帰国してから仲良しに」 ─ 撮影裏話トーク、将来はマーベル作品が夢

ハリウッドが贈る史上最大スケールの戦国時代劇「SHOGUN 将軍」全10話が配信され、全世界熱狂のまま幕を閉じた。日本人キャスト主体、ほぼ日本語の作品ながら、世界的な「SHOGUN」ブームを巻き起こした本作は、アメリカのTVドラマ界の最高栄誉エミー賞でも最有力候補の一つとされるなど、本物の話題性を生み出している。
都内では、そんな本作のラスト2話を劇場上映するという、ドラマシリーズとしては異例のイベントまで開催。上映前の舞台挨拶では、本作で強烈な印象を与えて一気に世界的な注目を集めたキャストたちも登壇した。
THE RIVERではこの舞台裏で、藤役を演じた穂志もえか、菊役を演じた向里祐香の二人に単独インタビュー。穂志が演じた藤は、第1話で、とある事件によって夫と子を失う女性で、海外ファンからは“Fuji-sama”と呼ばれて親しまれている。向里が演じた菊は、浮世離れした美貌と気品、芸の才能を持つ遊女で、世界中の視聴者を魅了した。
藤役の穂志はエミー賞の候補とも予想されるなど、海外から大注目。向里はマーベルの大ファンだといい、推しキャラにはちょっと通なキャラクターを答えてくれた。本作で初共演、すっかり仲良しな二人の関係が垣間見えるインタビューだ。
「SHOGUN 将軍」宇佐見藤役 穂志もえか / 菊役 向里祐香 Wインタビュー

──ドラマ「SHOGUN 将軍」の大成功、おめでとうございます。国内外で大反響ですが、お二人の手応えや実感はいかがですか?
穂志もえか(藤役):海外の方からの反応がすごいですね。SNSでメッセージをたくさんいただいています。でも、日本で生活していると、何かが大きく変わったという実感はありません(笑)。
──海外の作品に出演されるのは、本作が初めてですか?
穂志:私はそうです。
向里祐香(菊役):私も。
──日本の俳優仲間からはどうですか?
穂志:私は俳優仲間が少ないので……(笑)。でも、録音部さんから連絡をいただきました。私、スタッフさんと仲良くなることが多いんです。他の映画で一緒だった録音部さんが、「やばい!カッコ良すぎるじゃん!」って。
向里:私も、芸能関係ではない一般の友達から、「普通に面白すぎるんだけど!」っていうふうに。もっとアクションのドラマだと思ってたけど、人間ドラマだったんだね!すごい面白い!って。

──「SHOGUN 将軍」は、時代劇ファンじゃなくても夢中になれますよね。
向里:そうなんです。初めて時代劇を観たけど、時代劇ってこんなに面白いんだ!って言っていただけることが多いです。
──穂志さんと向里さんは、Instagramでもコメントを付け合っていたり、とても仲が良さそうですよね!この作品が初めての出会いなんですか?
二人:はい。
穂志:すごい仲良しです(照れ笑い)。不思議なことに、カナダでの滞在中より、日本に帰ってきてから仲良くなりました。
向里:それが不思議。撮影では一緒になるシーンもなかったから。たまに一緒にご飯行ったりとかはしたんですけど。
穂志:お互い、気が合うことは知ってたよね。
向里:そうそう!(笑)同じ空気を持ってるなって(笑)。
穂志:ちょっと遠慮がちで。祐香ちゃんには祐香ちゃんのライフスタイルがあると思うし……私はいいや、って。
向里:そうそう(笑)。だから、日本に帰ってきてから仲良くなりました。

──お二人とも鞠子役のアンナ・サワイさんと共演する場面もありましたが、彼女とは?
穂志:アンナちゃんとも仲良くさせてもらっていますけど、どこにいるのかわからない(笑)。
向里:ね。海外を飛び回ってて、忙しいから。
穂志:なかなかお会いできてないんです。たまにメッセージのやり取りはしてます。
向里:バンクーバーで、三人でヨガしに行ったよね。
──アンナさんや、真田さんといった共演者から教わったことや、刺激をもらったことはありますか?
向里:学ぶことがたくさんありました。真田さんは、今回日本から来ているキャストのみんなには種を蒔いている気持ちだって仰っていました。ここからキャストがどう育っていくのかがすごく楽しみですって。だから頑張ってくださいって、最後に挨拶させていただいた時に言ってくださって。
穂志:みなさん、それぞれ個性があって。本当にみんなそれぞれ大好きで、尊敬しています。特に、西岡德馬さん(広松役)。姿勢や全てにおいて、カッコよかったな……って。経験というか、そういうものも感じましたし。
德馬さんは本当に面白くて明るい人。でも、リハーサルで、ちょっと出る人数が多かったり、スタッフさんの方でごちゃっとなった時に、サっと、場をまとめてくれるというか。「ココとココとココだけ押さえていこう」みたいな、そういう現場での姿や振る舞いが素敵でした。私はわからないことだらけで、覚えていないんですけど、ヒイヒイ言ってたらしいんですよ。「わかんない〜!」みたいな(笑)。そういう時に、德馬さんは本当に心強かったです。二人だけのシーンもあったので。
──しかし、お二人とお話ししていると、当たり前ですが、演じられた役の印象と全然違っていて、驚かされます。向里さんが演じた菊は、涼やかな目元が印象的で、三味線の弾き方とか、姿勢や佇まい、儚げな雰囲気、全てが優雅で美しかったです。もともと、時代劇の所作はやったことがありましたか?
向里:やったことがなくて、「SHOGUN 将軍」をきっかけに所作の練習をしました。個人では、新橋の芸妓さんを紹介していただいて、目線の使い方とか、初挑戦の三味線の弾き方とかを学びました。初めてのことだらけだったんですけど、ちゃんと準備する期間も設けていただいて。

──穂志さんが演じた藤は、第4話で銃を向けるシーンが大評判で、海外では“Fuji-sama”と呼ばれるほどの反響でしたね。あのシーンでは、銃を構える直前、構えている間、そして下ろした後の藤の雰囲気の変化がとても面白かったです。銃を向けている藤の心境を、どのように解釈されていた?
穂志:実は、芝居しながら全然違うこと考えてました。藤の感情は、スクリプトに書いてある流れや、セリフ、行動から読み取ることができます。でも、それ以外に何かオリジナリティのある表現はできないかなと思って。藤になりきって、脚本に書いていないところ、飛躍したことを、実は考えていました。

──具体的には、どんなことを?
あまり覚えていないんですけど(笑)。全然違うことを。「お引き取りくださいませ」とは違うこと、セリフ通りのシンプルな感情だけじゃない、そういうことを思って演じました。
──現場で撮影したけれど、本編ではカットされていた未公開シーンはありますか?
向里:そういえば、第6話で茶屋に按針と鞠子様に来ていただいた時、三味線で一曲弾いて歌ったんです。「あれ?入ってないな」と思って(笑)カットされていましたね。

穂志:私が覚えている限りだと、第4話と5話で、家の使用人たちが按針に仕えることについて不満を見せてくるんですが、それに対して「私は蛮人の正室ではない。旗本の正室だ」ということを、ピシャッとお説教みたいに言うシーンがあったんです。そこ、頑張ったんだけど(笑)。でも、本編を観てみたら、文太郎が帰ってきた時に似たようなことを言っていたんで。「お言葉ではございますが、私は旗本の正室ですので」みたいなことを。内容的には重複していたのかなと。
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