『沈黙 -サイレンス-』徹底予習!原作『沈黙』のストーリーと読みどころを紹介

マーティン・スコセッシ監督の最新作、映画『沈黙 -サイレンス-』が2017年1月21日より公開される。映画好きであるとともに読書好きでもある私にとって、「この映画があと数日で見られる」と思っただけで興奮が止まらない。

この記事では、「原作『沈黙』を読む時間がない!けど予習してから映画館に行きたい!」という方に、簡単に『沈黙』のストーリーと読みどころを紹介する。

遠藤周作『沈黙』原作あらすじ

プロローグ

舞台は1630年代の日本。キリスト教が弾圧され、耐えかねたキリシタンが幕府と戦う、「島原の乱」が起こった頃だ。

ローマ教会に一つの報告がもたらされた。日本で布教活動をしていたフェレイラ師が、拷問の末に棄教(キリスト教を信仰しないと誓うこと)したというのだ。優しく、特に信仰が厚かったフェレイラ師が棄教したというのは、とても受け入れられる事ではなかった。

そこで、主人公の神父ロドリゴは、仲間のガルペ、マルタとともに3人で、フェレイラ師の棄教の真相を突き止めるため、また迫害され絶滅しかかっているキリシタンを助けるために、日本へ潜入する計画を立てる。

教会の反対を押し切り出発した彼らは、途中までは順調だったが、マカオに着いたとき、次々と不幸に見舞われる。まずマルタがマラリアを発症し、脱落。また、「島原の乱」でキリスト教に対する弾圧が強まり、彼らの母国であるポルトガルの船の渡航が禁止されてしまったことが分かったのだ。

計画を変更し、マカオから日本行きの密航船に乗ることにしたのだが、密航船である以上、正式な港へ着くわけではない。そこで、キリシタン部落までの案内役をやってくれる日本人が必要だった。

日本到着

運よく、キチジローというキリシタンの青年を発見。彼はずるく、臆病な人間で、「死さえ恐れない民」という日本人のイメージではなかったが、そんなキチジローの協力のかいあって、ロドリゴたちは無事日本に着き、キリシタンと面会することに成功する。

そこで彼らがキリシタンから聞いた話は恐るべきものだった。1日1回は警吏(警察官)が各部落を巡回したり、法律で垣根や塀を作ってはならないと定めることで密告を促進したりして、キリシタンを発見しやすくしていた。

そして発見されたキリシタンは、水磔という刑に処せられた。水磔とは、湾に設置された十字架に囚人をかけ、潮の満ち引きで体力を奪い殺害する処刑方法のことだ。
島原の乱以後、キリシタンを脅威とみなした幕府はキリスト教に対する弾圧を強めていたのだった。

村人にかくまってもらい、粗末な小屋ではあるが一応住居も与えられたロドリゴとガルぺは、細々と布教活動や洗礼を行う日々を送る。

http://www.imdb.com/title/tt0490215/mediaviewer/rm882784768

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しかしそんな平和な日々は長く続かなかった。

逃亡

ある日、部落にキリシタンがいるという密告をうけ、武士が現れる。普段やってくる警吏とは違い、証拠を見つけられずに帰る、ということはしなかった。武士は3人の人質(ここでは代表して取り調べを受ける者の意)を要求した。村人たちは話し合いの結果、キチジロー、モキチ、イチゾウの3人を送り出す。

踏み絵に加え、それ以上に過酷なテストの結果、モキチとイチゾウはキリシタンであることがばれ、水磔に処せられた。

神はなぜ沈黙しているのだろう」「もしかしたら神は存在しないのでは…」水磔の様子を見たロドリゴは、初めて神の存在を疑う。

キチジローはテストを通過したが、村人に合わせる顔がなく、放浪。村は荒らされて廃墟と化す。ロドリゴとガルペは、二手に分かれて逃げることにする。

逃避行の途中で、ロドリゴの前に突如キチジローが現れる。ロドリゴはキチジローを疑いながらも、彼と一緒に行動する。結果的にロドリゴの嫌な予感は的中してしまった。キチジローは、キリシタン告発に対して幕府から支払われる多額の報奨金の誘惑に負け、ロドリゴを告発。ロドリゴはとらえられ、牢に収監された。

牢での生活

牢の様子は意外にも平和だった。囚人と番人が談笑するほどだ。後のシーンで、実はこれが幕府の罠だとわかる。牢での生活とのギャップでのちの処刑のつらさを増幅させる目的があって、敢えて牢での生活を楽にしていたのだ。ここでのロドリゴと通辞との会話が面白い。

フェレイラ師との再会、井上との対面

牢から新しい牢への移動の際、彼は変わり果てたフェレイラ師と再会する。といってもフェレイラ師は痩せこけていたわけではなく、日本人化したという意味で変わり果てていたのだった

最凶の悪代官だと聞いていたイノウエという人物もまた、ロドリゴの中のイメージとは異なり、優しいおじいちゃんといった男であった。

処刑

ロドリゴは、イノウエこと井上筑後守に説得されても棄教しなかった。そこで遂に、ほかのキリシタン数人とともに「穴吊り」に処せられる。「穴吊り」は地面に掘った、人がぎりぎり身動きできるぐらいの直径の穴に、耳の後ろに小さな穴をあけられた囚人を逆さにつるし、出血多量でじわじわと囚人を殺害する処刑方法である。

苦痛に耐えていると、いびきのような音が聞こえてきた。その後、フェレイラ師が現れ穴の近くで話し始めた。フェレイラ師もこの拷問を受けたのだという。

フェレイラの、「いびきのような音が聞こえるだろう。あれは人のうめき声だ。お前が棄教の誓いを立てないから、彼らは苦しむのだ。」という趣旨の言葉に胸を痛めたロドリゴは、ついに棄教の誓いを立てることを決意する。

フェレイラが合図すると、ロドリゴは穴吊りから解放される。そして、棄教の意思を証明するための踏み絵を用意される。イエスを踏もうとしたまさにその時、ついに神は沈黙を破る。(ロドリゴに神の声が聞こえた)

棄教したロドリゴは、フェレイラと同じように日本名と妻子をもらい、平穏に暮らし、その生涯を日本で閉じた。

読みどころ

ストーリーの大筋を追ったところで、全編は読む時間がないという方にも、ここだけは読んで欲しい、というポイントとその魅力を紹介したい。

ロドリゴとイノウエの議論(VII、P189〜)

イノウエはキリスト教徒だった時期があり、その経験から、「日本にキリスト教は馴染まない」という考えを持っている。この章では、国を男性に、宗教を女性に例え、その考えを説明している。作者の宗教観、日本観が詰まった深みある場面だ。

穴吊り執行(VIII、P260~)

物語のクライマックス。いびきだと思っていた音が、人のうめき声だと告げられ、「日本人を助けるために来たはずが、逆に日本人を苦しめているのでは」という思いに駆られる主人公の心理描写が巧みで、手に汗握るシーンである。実際に手汗でブックカバーがしわしわになってしまった。

さいごに

ここまで読んでもらってから言うのもどうかと思うが、やっぱり原作を読んでほしい。書いてみて、私のつたない文章力ではこの小説の魅力は伝えきれないと感じたからだ。ストーリー解説の章では、大事な展開をいくつか省略してしまったし、読みどころもおさえ切れていないと思う。なので、ぜひ原作を読んでから映画館へ。

窪塚ら日本人キャストが語るスコセッシ監督作『沈黙-サイレンス-』─ 記者会見レポート

マーティン・スコセッシ監督作『沈黙 -サイレンス-』は、いよいよ1月21日(土)より全国ロードショー。

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About the author

2000年生まれの高校生。天下の台所で、映画愛を叫ぶ。

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Comments

  • Person day 2017年1月16日 at 11:55 AM

    moritaさんは普段どんな映画を見るのですか?

    Reply
    • Haru Morita 2017年1月16日 at 3:55 PM

      難しい…
      昔はアクション映画ばかり見ていました。
      今はそこから派生して、SFアクション、サスペンスなども見るようになりました。
      なので、「ホラーを除く洋画全般(SF、アクション多め)を普段よく見ます」と答えておきます。

      Reply