【レビュー】恋、バンド、家族…映画『シング・ストリート 未来へのうた』は心震わされる傑作だ!

『シング・ストリート 未来へのうた』評価・感想

7/9公開ですが 一足早くレビュー。

1985年 大不況のアイルランド・ダブリン
ケンカの絶えない離婚寸前の両親に悩める14歳の少年 コナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)にとって、音楽が 兄・ブレンダン(ジャック・レイナー)と見るロンドンのミュージックビデオが心の救いである。
父親の失業の影響で荒れた高校へと転校したコナーは、学校の向かいに住む一つ年上の少女 ラフィナ(ルーシー・ボイントン)に恋をする。
モデルを目指している彼女との接点を作るため ミュージックビデオに出演して欲しいとホラを吹いたコナーは、大急ぎでメンバーを探し出し バンド「シング・ストリート」を結成する。

監督 ジョン・カーニーの自伝的作品だ。

青春そのものと言っても過言ではない
青春の塊のような映画だった。

シングストリート レビュー

http://www.lgukpublicity.co.uk/uk/index.php/upcomingreleases/15-blog/now-playing/144-sing-street

好きな女の子にモテたい
楽器やバンドを始める理由なんて大体がそれだと思う。

コナーだってそう。
それはそれで最高の青春映画に成り得る可能性を秘めている。

けれど、ぼくらは冒頭に映し出されるコナーの切ない姿を目撃している。

彼にとっての音楽の根源
彼のやり場のない想いを受け止め 吐き出すギター。

そんな彼がラフィナと出逢ってバンドを結成する。

重みが 厚みが違う。
彼の心 恋 音楽からは目が離せない。

誰しもが通ってきた10代の多感な時期

コナーの姿にかつて自分が通った道を
通りたかった道を 通れなかった道を垣間見る。

この作品は青春×音楽×恋愛だけの作品ではない。

良き兄弟映画、果てには 良きファンタジー映画の要素をも秘めていた。

経済的理由から夢を追うことが許されず、今は家に引きこもっている音楽狂の兄 ブレンダン。

彼がコナーの良き導き手となっていく姿は、寸分違わず兄弟の関係性・絆を素晴らしい程に描いていた。

だが、ぼくにはブレンダンに別の匂いも感じ取れた。

ぼくらはきっと、コナーに「かつての自分」を重ねる。
そして、ブレンダンはもしかしたら「今の自分」であったのかもしれない。

劇中に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の名が出てくること
監督 ジョン・カーニーがかつての自分と向き合ったということ

これらの要素によって ファンタジーの引力に引っ張られた気もするが、ブレンダンがコナーを導く姿は 今の自分がかつての自分を導いているかのようだった。

劇中ではあくまでも兄弟として 弟を想いやる兄の姿として描かれている。

だが、自らにあてはめた時
ラストシーンを見た時
2人の姿はどちらも等しく己自身になる。

いくつも可能性があったのに すべてを取りこぼした今の自分
その末路を分かっているからこそ、過去の自分を良き道へ より良い道へと導いていく。

決して悲観的な話をしているわけではない。

ブレンダンがコナーにかける言葉の数々は、すべてブレンダン自身にも返ってくる言葉であった。
過去の自分にアドバイスしているようで、その実 自分自身としっかり向き合っていた。

ぼくはブレンダンの姿に最も心を奮わされた。
勇気をもらった。

断片的にしか描かれない彼のバックボーンだが、彼が想いを吐き出すシーンに涙した。

そんな兄を見つめるコナーに涙した。

過去の自分と向き合い 過去の自分を認め 受け止める
それらは、今の自分と向き合い 今の自分を認め 受け止めることと等価値のことに感じられた。

シング・ストリート 未来へのうた レビュー

http://www.irishexaminer.com/technow/movies/sing-street-filmmakers-afraid-to-call-it-a-musical-388412.html

この作品の表の主人公がコナーだとすれば、裏の主人公はブレンダン。

兄弟の要素にのみ注力して書きましたが、ラフィナとの恋模様 バンド活動 家族の関係など どれも素晴らしい描き方でした。
むしろそちらが本筋です。

どこからどこまでが本当で、どこからどこまでが脚色なのかは分かりません。

ですが、こんな人生を辿ってきたジョン・カーニーだからこそ
これまでも これからも、ぼくらの心を奮わす作品を作っていくのだと思います。

ぜひ劇場でご覧ください。
今を 目の前の世界を懸命に生きる勇気を与えてくれます。
観たが最後 サントラをエンドレスリピートすること間違いナシ!

6.8
総合評価:A

シング・ストリート 未来へのうた

原題 SING STREET
製作年 2016年
製作国 アイルランド=イギリス=アメリカ
配給 ギャガ(提供 ギャガ=カルチュア・パブリッシャーズ)
上映時間 106分

青春
10
6
エロ
4
サスペンス
6
ファンタジー
8

About the author

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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