「スケルトン・クルー」第6話の巨大クリーチャー、懐かしさの正体はストップモーションによる手作業

ドラマ「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第6話『また友達がいなくなる』では、子どもたちをビックリさせる巨大なクリーチャーが襲ってくる。実はあの生き物は、CGではなくストップモーションによる手作業で生み出された、アナログな苦労の賜物だったのだ。
この記事には、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」第6話『また友達がいなくなる』のネタバレが含まれています。

惑星ラニューパのホテル&スパから排出ダクトを通じて氷雪地帯に迷い込んだヴィム、ニール、ファーンとKB。ピンチに陥ったファーンとKBは船に戻る方法を考えようとする一方、ヴィムとニールは機械を背負ったヤドカリたちを発見して喜ぶ。ここでヴィムはファーンが喧嘩をしてしまったため、KBと共に別行動をとる展開に。
二人が機械ヤドカリについていくと、岩山で巨大なツメがうごめくのを目撃する。なんと人懐っこい機械ヤドカリたちには、超巨大な“親”がいたのだ。山そのものが動くような迫力で迫る親ヤドカリから二人が必死に逃げるところ、ファーンとニールが救援に現れ、危機一髪で難を逃れる。
実はこの巨大な機械ヤドカリ、CGではなく伝統的なストップモーションで製作されたものだという。米Star Wars公式サイトでは、“テトニス(Tet’niss)”と名付けられたママクラブ(母ガニ)の製作経緯がまとめられている。
『スター・ウォーズ』は歴史的にストップモーションと縁深い。AT-ATウォーカーやトーントーン、デジャリックのコマやランコアなど、旧3部作の象徴的な乗り物やクリーチャーたちはストップモーションで表現されることもしばしば。今回のテトニスを手掛けたのは、伝説的なストップモーション・アニメーターのフィル・ティペットが設立したティペット・スタジオだ。デザインはマーク・デュボーが、シリーズの伝説的デザイナーであるダグ・チャンと協力して完成させたそう。
デザイン・プロセスの当初はドラマの全体的な雰囲気がわからないままだったので、初期デザインはやや不気味すぎる雰囲気だったという。しかし基本的には少年少女の冒険物語である「スケルトン・クルー」の中で、「子どもたちを怖がらせたくない」との考えから、より親しみやすいデザインに修正されていったという。
テトニスが背負う身体部分には、たくさんのガラクタが折り重なるように付着している。これらは3Dプリンターで生成され、アンテナやワイヤーなどと共に、手作業で貼り付けて作られたそう。最後にはダグ・チャンがスタジオに招かれ、彼がホットグルーガンで脚にガラクタを貼り付けたという。
そこには『スター・ウォーズ』らしいお遊びも忍ばされており、帝国軍のウォーカーの破片やR2-D2のようなアストロメク・ドロイド、ミレニアム・ファルコンやX-ウイングといったお馴染みのスターファイターの部品もくっつけられている。本編の映像で確認するのは至難の業だが、テトニスの生態系の裏側を想像させてくれる。

「スケルトン・クルー」の本編で子どもたちはテトニスと戦うことなく脱出したが、もしも倒すべきだとしたら弱点があるそうだ。それはクリーチャーの口部分。『ジェダイの帰還』でジャバ・ザ・ハットの宮殿地下に棲んでいた獰猛なクリーチャー、ランコアを参考に、口部分の内部に粘り気を持たせ、そこが弱点であることを示したかったという。手にスライムを塗って糸を作って撮影し、口の中にデジタル合成するという凝りようだ。おそらく通常は物理攻撃があまり効かなそうなテトニス、口を開いた瞬間にブラスターやライトセーバーで攻撃して仕留めたい。
こうして完成したテトニスは、同スタジオ史上最も重量のあるストップモーション素体になったという。「楽しい作業でした。長い時間がかかりましたが、誰も見たことのないクリーチャーに仕上がったと思います」とデュボー。本編で見せる、ちょっぴり恐ろしくもどこか懐かしさを感じさせるテトニスの存在感は、ティペット・スタジオの職人たちの手作業によるものだったのだ。
「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」はディズニープラスで配信中。
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