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『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』今回のニック・フューリーは「かつてない、必死な男」 ─ ピーター・パーカーとのタッグ、監督の悲願叶う

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
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マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)最新作『スパイダーマン・ファー・フロム・ホーム』は、超大作『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)に続くファン期待の一作であり、『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)に続く“MCU版スパイダーマン映画”の第2弾だ。

今回、前作のトニー・スタークに代わる形でMCUのレギュラーメンバーから登場するのは、サミュエル・L・ジャクソン演じるニック・フューリー。ピーター・パーカー/スパイダーマン(トム・ホランド)、クウェンティン・ベック/ミステリオ(ジェイク・ギレンホール)との3ショットはなんだか並々ならぬ雰囲気である。しかし今回のフューリーは、どうやら今までとは一味も二味も違うよう。ジョン・ワッツ監督は「いまだかつてない、必死になっているフューリーが見られます」と語っている。

ニック・フューリー、新たなミッション

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』で、ピーター・パーカー/スパイダーマンは友人たちと夏休みのヨーロッパ旅行に出かけることに。しかし、旅先にニック・フューリーが突如現れた。ヴェネチア、ベルリン、ロンドンというヨーロッパの各都市に、炎や水など自然の力を操る「エレメンタルズ」が出現したのである。フューリーはエレメンタルズに対抗するため、ピーターを“異次元から来た男”クウェンティン・ベック/ミステリオに引き合わせる…。

なぜ、今回のフューリーは必死なのか。それは『アベンジャーズ/エンドゲーム』を経て、すっかり変わってしまった世界にフューリーがなんとか対処せねばならないからだ。米Fandangoにて、ワッツ監督は「今回のフューリーは新たなチームを結成しようとしています」と述べている。なにしろ、頼りのソーもキャロル・ダンヴァース/キャプテン・マーベルも今回は不在なのだ。

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

実は監督にとって、ピーター・パーカーとニック・フューリーの顔合わせは悲願だった。マーベルとの初めての打ち合わせに臨んだ時から二人のタッグを切望していたというワッツ監督は、前作『スパイダーマン:ホームカミング』でもフューリーの登場を検討していたほどなのである。

「理想的なティーンのヒーローであるピーター・パーカーと、ニック・フューリーのような、疲れ切って嫌気のさしているスーパー・スパイを対面させたいとずっと考えていました。対立関係、人間関係を掘り下げるには最高のコンビネーションだと思っていたんです。」

製作総指揮のエリック・ハウサーマン・キャロル氏も同意する。「ピーター・パーカーという若くて前向きなヒーローがいて、ニック・フューリーという冷戦期のスーパー・スパイがいる。二人の考え方はぶつからざるを得ないですよね」。なにしろ本作のピーターは、本来ならばバケーションの最中なのである。スパイダーマン役のトム・ホランド自身、「今回のピーターは恋に振り回されているし、休みを欲しがっています」と話したのだ。

またキャロル氏は、本作にフューリーの存在が必要だった理由として、「“若さ”というテーマを描きたかった」と語っている。「成長物語には永遠のテーマ」だとも形容されているが、どうやら『ファー・フロム・ホーム』ではリアリティをもって扱われることになりそうだ。

「どうして大人たちは曖昧な世界で動いているんでしょうか。スパイダーマンの場合、“正しいことをやろう”とか、“起きてることを話せば、みんな納得してくれる”という発想です。けれどもニック・フューリーは、“あのな、世界はそんなふうに動いてないんだ”と言う。そこでピーターは、スパイの冒険に飛び込み、フューリーに操られながら、“自分はどうしたいのか”ということと、“こうしろと言われている”ということの間にどんどん囚われていくんです。」

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

もちろん戦いの表舞台に立つのは、フューリーではなくスパイダーマンとミステリオだ。キャロル氏は「今でもフューリーは“物陰から操る人”です」と述べつつ、「彼も自分なりの方法で地球を守ろうとしているんです」語った。ピーター・パーカーとニック・フューリーの関係、そしてミステリオを含めたパワーバランスにも注目したい。

ちなみにニック・フューリー役のサミュエル・L・ジャクソンといえば、映画の中で“Fワード”を口にすることでおなじみであり、それはいまや一種のお約束ともなりつつある。ディズニー/マーベル・スタジオ作品である『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)には、すんでのところでFワードが回避されるという大人向けのユーモアもあった。

『ファー・フロム・ホーム』の予告編には、フューリーがピーターに「何言ってる、宇宙まで行っただろ!」 (Bitch please, you been to space.)と言い放つシーンがある。ついにピーターがサミュエルらしい言い回しの標的になっているわけだが、これはサミュエルのアドリブではなく脚本にきちんと書かれていた言葉だとか。

ちなみにトム・ホランドは、テレビ番組「ジミー・キンメル・ライブ!」にて、カメラの回っていない時にもサミュエルから“ビッチ”との言葉で呼びかけられたことを明かし、「怖かった」と語っている。しかし、トムはこのようにも付け加えているのだ。「サミュエル・L・ジャクソンにビッチ呼ばわりされるのは、若い俳優全員の夢ですから」

映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は2019年6月28日(金)世界最速公開

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』公式サイト:http://www.spiderman-movie.jp/

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Sources: SR(1, 2), io9Fandango, Jimmy Kimmel Live!

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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