Menu
(0)

Search

『スパイダーマン/ホームカミング』ゼンデイヤの役柄、黒人女性が前提のキャラクターではなかった ― キャスティング秘話を本人が明かす

ゼンデイヤ
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28035642754/ Remixed by THE RIVER

映画『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)でゼンデイヤが演じた役柄は、黒人女性を前提とする役ではなかったようだ。米Marie Claireのインタビューにて、役を射止めるまでの経緯と、ハリウッドで人種の壁を破ることについてゼンデイヤ自身が語った。

注意

この記事では、映画『スパイダーマン:ホームカミング』の内容に言及しています。

ゼンデイヤ
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/28035642754/ Remixed by THE RIVER

『スパイダーマン:ホームカミング』ミシェル役の経緯

『スパイダーマン:ホームカミング』でゼンデイヤが演じたミシェルは、スパイダーマンのコミックに登場しない映画オリジナルのキャラクターだ。ただしミシェルのあだ名「MJ」は、スパイダーマンの恋人として有名なメアリー・ジェーンと同じ。そのためファンの間では、ミシェルが将来的にスパイダーマンの恋人になるのでは、とも噂されているのだ。

コミックで白人の設定だったメアリー・ジェーン役には、トビー・マグワイア版『スパイダーマン』3部作ではキルスティン・ダンストが配役された。同じく『アメイジング・スパイダーマン』シリーズでも、残念ながら映画本編には登場しなかったが、シェイリーン・ウッドリーが配役されている。

こうした前例と同じく、『スパイダーマン:ホームカミング』のミシェルは黒人女性であることを必ずしも前提とする役柄ではなかったようだ。オーディションに向かった時の心境について、ゼンデイヤはこう語っている。

「最初は(頑張ってアピールしなければ)いけないと思いました。だって、“このキャラクターはフィクションだし、誰でもアリなはずだけど、たぶんスタジオは今までと同じようなものを求めるでしょう”という考えに慣らされていましたから。私は“彼らがエスニックに行ってくれれば”と思いましたね。エスニックとは業界で使われている言葉です(編注:非白人を指しているとみられる)。
髪の毛をまっすぐにする決断をしたのを覚えていますよ。彼らが多様性のある配役にするつもりだとは知りませんでしたから。すでに(従来の)ルールが破られている状況に入っていたとは思いもよりませんでした。自分の手でルールを破ってあげなければいけない状況に慣れていましたからね。」

「ハリウッドは変わらなければいけない」

「自分の手でルールを破ってあげなければいけない状況に慣れていた」とゼンデイヤが述べる背景には、いまだハリウッドにはびこっている人種差別がある。この問題について、2018年に開催されたBeautyConでゼンデイヤはこう語っている。

「私はハリウッドにおいて、(肌の色が薄いから)受け入れられるタイプの黒人女性だと言えるでしょう。ですが、そうしたことは変わらなければいけません。私だけが象徴となるには、私たち(黒人女性)は美しすぎますし、興味深すぎる存在です。つまり私が言いたいのは――機会を作ることです。時には、自分自身で作り出さなければいけません。それはハリウッド、アートなど、どんな場においてもです。」

この言葉通り、ゼンデイヤは自ら人種の壁を破り、白人を前提とする役柄のオーディションにもあえて挑戦しているという。Marie Claireのインタビューでは、こんなエピソードも自ら明かしているのだ。

「自分のマネージャーには“もし白人の女の子を探してるって言ってたら、(その情報を)私に送って。(オーディションの)部屋に入れて。彼らの気が変わるかもしれないから”と言うんです。演じたかった役のオーディションにたくさん落ちましたし、私みたいなルックス(黒人)ではない女の子の役柄のオーディションもよくありました。でも、“それでも私を見て”って感じでオーディションに出向くんです。(自分に)合った役を獲得するまで。」

こうして人種の壁を破る努力を続けた結果、ゼンデイヤは『スパイダーマン:ホームカミング』のミシェル役を手に入れたのである。なお、ゼンデイヤは2019年公開の続編『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』にも出演予定だ。

ちなみに、人種の多様性を重視した配役が行われた『スパイダーマン:ホームカミング』は全世界で大ヒット。のちにマーベル・シネマティック・ユニバース初の黒人ヒーロー映画『ブラックパンサー』(2018)は、米国興行収入で7億ドルを突破、史上第3位番目の記録を樹立した。「白人でなければ映画は売れない」という誤った固定観念をハリウッドが打ち破り、人種や性別、セクシュアリティなどに関係なく、全員に平等なチャンスが与えられることを願いたい。

Sources: Marie Claire, CBR.com
Eyecatch Image: Photo by Gage Skidmore Remixed by THE RIVER

Writer

アバター画像
Marika Hiraoka

THE RIVER編集部。アメリカのあちこちに住んでいました。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly