【ネタバレ注意】『スノーホワイト 氷の王国』評価レビュー シャーリーズ・セロンの魅力が足りない!

三者三様の愛憎を描いた物語

5月27日から公開されている映画『スノーホワイト 氷の王国』。白雪姫をアレンジした前作『スノーホワイト』に続くダークファンタジーだ。
悪の女王・ラヴェンナの妹であり恐るべき氷の女王フレイヤ。前作で倒されてしまったラヴェンナ。そして幼少期にフレイヤの統治する氷の王国で育ち、愛する妻を失ってしまったエリック。今作ではこの3人を中心に物語が展開していく。

彼らを取り巻く登場人物たちの愛憎劇が、美しい映像と迫力の戦闘シーンで繰り広げられる様は見所があるだろう。特に、筋骨隆々としたクリス・ヘムズワース演じるエリックと強大な魔法を操る女王たちの戦闘は、その対比もあって見応え十分だ。

その一方で、前作以上に物足りないと感じる部分が多かったというのが、率直の感想だった。

作品全体を通して、どうも集中力が途切れてしまう瞬間が多々あった。それは人物描写しかり、ストーリー展開しかり。その理由は列挙していくときりがないのだが、そうした物足りなさの最たる原因がここにあるのだろう。

【注意】

この感想レビュー記事は、映画『スノーホワイト 氷の王国』のネタバレとなる内容を含んでいます。

ヴィランである女王・ラヴェンナの不在

観る者を圧倒した美貌と演技、そして狂気が印象深かったシャーリーズ・セロン演じるラヴェンナ。主役であるクリステン・スチュワートを完全に食ってしまった彼女は、この作品における醍醐味そのものとさえ言える存在だ。

そんな彼女の不在こそが、今作の魅力を大きく損なってしまっているように感じた。

もちろん、ストーリーの中に彼女は登場する。しかし、前作で打ち震えるような恐怖を与えていた彼女の魅力はほとんどなかったと言っても良いだろう。そう思わせてしまった要因を紹介していきたい。

①「魔法の鏡」の描写が少ない

『スノーホワイト 氷の女王』では、ラヴェンナを打ち倒した後に残った「魔法の鏡」の魔力を封じる為、聖域へと運ぶという目的が大きな柱となっている。女王となったスノーホワイトが、魔法の鏡が原因で憔悴しきってしまっており、その運搬をエリックに依頼するところから物語が大きく動き始める。

作中でエリックや彼らの仲間に「裏切れ」「殺せ」と悪魔のささやきを見せるこの鏡。しかしそんな鏡の恐ろしさを語るシーンが、圧倒的に足りないのだ。行動の発端となったスノーホワイトに至っては、自室で鏡を前にして叫んでいるワンシーンのみ。

ヴィランが残した破滅をもたらす存在を安全な場所へと運び出す。これだけだとまるで『ロード・オブ・ザ・リング』のような話だ。しかしエリック達の旅の中において、この鏡は大した影響を与えることができずに終わっている。鏡の危険性が十分表現されていないせいで、物語全体の緊張感が薄れてしまっているのが残念だ。

②ラヴェンナの狂気が足りない

ラヴェンナの妹・フレイヤは、姉のように強大なパワーを秘めてはいるものの、その力を発揮できずにいた。そして彼女はある男と恋に落ち、娘を産んで幸せにしていたのだ。しかしとある夜、男の裏切りにあい家は焼かれ、大切な我が子は無残な姿になってしまっていた。

その時の絶望と怒りで自分の力を解放できたフレイヤは、姉と袂を分かち、自分のための王国を築くようになっていった。しかしこの一連の出来事は、妹の子供が自分より美しくなるという鏡の言葉を聞いたラヴェンナの謀略だったのだ。

妹の愛娘さえ手にかけてしまう。これこそ狂気に満ち満ちたヴィランの姿だ。さすがラヴェンナ。やはり彼女こそはこの作品でひと味もふた味も違う!

そう思っていたのだが、ここにもちょっとした落ちがついてしまった。

自分の行動が露見され、妹の裏切りによって窮地に追い込まれてしまったラヴェンナ。彼女はフレイヤに対して、自分も子を持ちたかった、愛されたかったという「女性」としての欲望を口にする。人の命をいささかも省みない行動や傲慢な態度。それこそが彼女の怖さであり魅力だったのに、そんな彼女のアイデンティティーを否定していまうようなこの一言は、かえって彼女の価値を下げてしまったのではないだろうか。

この作品の最大のテーマは「愛」だ。そして作中最強の敵であるラヴェンナでさえ、愛に飢えていたという結末はなんとなく自然にも見えるが、かえってそれが作品最大の魅力を損なってしまったように見えて仕方がない。

3部作目にどんな結末を持ってくるのだろうか

2012年に前作が公開された時点で、この作品が3部作になることが決定されている。果たして完結編となる3作品目で、ラヴェンナはどんな登場をするのだろうか。そしてクリステン・スチュワート演じるスノーホワイトは、あのワンシーンから見事に主役級に返り咲くのだろうか。

ダークファンタジー『スノーホワイト』サーガが綺麗にまとまることを、一ファンタジーファンとして願うばかりだ。

About the author

好きなジャンルはSF、特にファンタジー映画。そのきっかけとなった『ロード・オブ・ザ・リング』は筋金入りのオタクで、大学時代は卒論にするほど。

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