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『オーシャンズ11』監督、21歳でルーカスフィルムの審査をあっさり断られていた ― 1984年の「お祈りメール」公開

https://twitter.com/Bitchuation/status/920336690262298626

映画監督スティーブン・ソダーバーグといえば、今やハリウッドの大作映画からテレビドラマまで幅広い作品を手がける、現代もっとも重要なクリエイターの一人である。代表作は『オーシャンズ11』シリーズ(2001-2007)や『エリン・ブロコビッチ』(2000)など、現在は最新作『ローガン・ラッキー』の日本公開も控えている(2017年11月18日公開)。

しかしそんなソダーバーグも、かつては映画監督を志す一人の少年だった。高校時代から映画を撮りはじめ、15歳で大学の映画の授業を受けていた彼は、卒業後は進学せず、フリーの映画編集者などを仕事にしながら映画監督を目指していたのである。

1984年、21歳のソダーバーグは『スター・ウォーズ』で知られるルーカスフィルムに自身の作品を送っていたようだ。もしもジョージ・ルーカスに評価されていればルーカスフィルムに入社していた可能性もあったのか……とも思われるが、残念ながら彼はお断りの手紙をあっさり受け取っている。このことは、ソダーバーグが当時の手紙をTwitterに掲載したことで明らかになったものだ。

ルーカスフィルムからの「お祈りメール」

ミスター・ソダーバーグ様へ

ジョージ・ルーカス宛にお送りいただいたあなたのテープは、回答のため私たちのオフィスに転送されました。

お送りいただくストーリーやアイデアの数が日々増えつづけているため、私たちスタッフの少ない人数では、それぞれのアイデアの価値を検討することが不可能となりつつあります。そこでルーカスフィルムでは、やむを得ず、お送りいただいたすべてのものを審査せずにご返却する方針とさせていただきました。テープをお返しすることが、その価値にもとづく判断ではないことをご理解ください。

ルーカスフィルムに興味を持ってくださったことを感謝し、あなたの今後の努力が実ることをお祈りいたします。

敬具

ヴァレリー・モブリー
司法助手

ソダーバーグはこの投稿に「これで私は強くなった……」とだけ記している。「捨てる神あれば拾う神あり」という言葉もあるが、当時のルーカスフィルムはソダーバーグを「捨てる」ことすらしなかったわけである。
しかし1984年といえば『スター・ウォーズ』オリジナル3部作が完結を迎えた翌年、かつ『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』の劇場公開年だ。おそらくスタッフは想像を絶する多忙な毎日を送っていたであろう、手紙とともにテープが返却されただけでも非常に親切な対応だったとも考えられそうである。

ちなみにルーカスフィルムから手紙を受け取った5ヶ月後の1984年9月、ソダーバーグはロックバンド「イエス」のコンサートフィルム『9012ライブ』を撮影して高く評価され、映画監督としての道を本格的に歩み始めることになる。1989年には映画デビュー作『セックスと嘘とビデオテープ』でカンヌ国際映画祭のパルム・ドールを受賞しており、その後の活躍は言うまでもないだろう。

人生は何が起こるかわからない。そして『スター・ウォーズ』を生み出した一大企業でさえ、のちの大いなる才能を見落とすことはあるのである。

Source: http://www.indiewire.com/2017/10/steven-soderbergh-lucasfilm-rejection-letter-1201888248/
Eyecatch Image: https://twitter.com/Bitchuation/status/920336690262298626

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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