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【特集】トバイアス・ベケット&ドライデン・ヴォス ― 『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』裏社会を生きる二人の男

ウディ・ハレルソン ポール・ベタニー
[左]LBJ Library photo by Gabriel Cristóver Pérez https://www.flickr.com/photos/lbjlibrarynow/30416968941/ [右]Photo by Siebbi https://en.wikipedia.org/wiki/File:Paul_Bettany_(Berlin_Film_Festival_2011).jpg Remixed by THE RIVER

「スター・ウォーズ」シリーズのスピンオフ映画第2弾『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』は“若者たちの物語”だ。若きハン・ソロの冒険を描いた本作には、同じく若かりし頃のランド・カルリジアン、約190歳という(少しだけ)若いチューバッカが登場するほか、ヒロインのキーラもハン・ソロとは幼なじみだ。

そんな若者たちの活劇の中で、まるで「重し」のように存在する登場人物がいる。ハン・ソロの師匠となる悪党トバイアス・ベケット、紳士的だが冷酷なギャングのドライデン・ヴォスだ。
本作を執筆したジョン・カスダンは、物語の舞台となる“銀河の裏社会”について「ヒエラルキーはない。力のある者と、生き残るためにあがく者がいるだけ」と述べている。そんな厳しい世界を体現する二人の大人に、ウディ・ハレルソン&ポール・ベタニーという名優、そして脚本家や監督たちはどう迫ったのだろうか。

https://www.youtube.com/watch?v=Hw6gUFsUtVQ

トバイアス・ベケット(ウディ・ハレルソン)

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の脚本を手がけたローレンス&ジョン・カスダンは、ハン・ソロを導く師匠となるトバイアス・ベケットというキャラクターについて、脚本の執筆前にロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説『宝島』を参考にしたことを明かしている。海賊ジョン・シルバーと少年ジム・ホーキンズの師弟関係を、本作におけるハンとトバイアスの関係のモデルにしたというのだ。

ロン・ハワード監督は、トバイアスという男を「非常にカリスマ的な人物」だと語る。「彼は誰よりもハンという人間を形づくっていくんです。無秩序な時間の中でも、道徳的な規範を受け入れなければならないのだとハンが気づくように」。また脚本家のローレンスも、トバイアスを「乱暴な犯罪者」でありながら「非常に人間味のある人物」だと話している……。

このキーパーソンを紐解く上で重要なのは、ウディ・ハレルソンというキャスティングだろう。
1961年生まれのウディは、1980年代中盤からテレビドラマでキャリアを本格的にスタート。クセのある役柄を巧みにこなして数多の映画賞に輝いている。近年は『メッセンジャー』(2009)やドラマ『TRUE DETECTIVE』(2014-)、『スリー・ビルボード』(2017)などで高く評価されるかたわら、『ハンガー・ゲーム』シリーズや『猿の惑星:聖戦記』(2017)、『ヴェノム』(2018)とジャンル映画への出演も多い。

ウディ・ハレルソン
LBJ Library photo by Gabriel Cristóver Pérez https://www.flickr.com/photos/lbjlibrarynow/30416968941/

トバイアス・ベケットというキャラクターについて、ウディは「僕にはすごく演じやすい役柄だった」と語っている。

(トバイアスは)悪党ですが、すごく良く書いてもらっていると思います。気をつけなきゃいけなかったのは、スター・ウォーズには熱狂的なファンが多いということくらいでしたね。ローレンスとジョンは本当に良い脚本を書いてくれましたし、ロンも彼なりの仕事をしてくれた。スター・ウォーズに出られて最高の気分です、素晴らしいことですよ。」

ドライデン・ヴォス(ポール・ベタニー)

“悪党”と形容するのがふさわしいトバイアス・ベケットに対して、冷酷なギャングとして登場するのが、裏社会に君臨する男ドライデン・ヴォスだ。ジョン・カスダンは「二人はちょっと違うところにいるんですよね」と語り、映画『レイヤー・ケーキ』(2004)に登場するエディ・テンプル(マイケル・ガンボン)や『ミラーズ・クロッシング』のレオ(アルバート・フィニー)を例に挙げている。

本作が公開される以前、ドライデンというキャラクターについて詳細はほぼ明かされなかった。そんな中、ジョンはドライデンを「やや先進的な人物」だと述べ、その執筆意図をこう語っているのである。

気品があって、自信家で、そして本当に危険な人物。そういうキャラクターが面白いと思いました。彼は(裏社会に)居場所を構えている。この映画に登場する誰よりも、犯罪の世界に深く入り込んでいるんですよ。」

実は制作当初、ドライデンを演じる予定だったのは『それでも夜は明ける』(2013)などに出演する俳優マイケル・ケネス・ウィリアムズだった。しかし『ハン・ソロ』の撮影中盤である2017年6月、当時監督を務めていたフィル・ロード&クリス・ミラーが降板。後任を務めるロン・ハワード監督によって大幅な再撮影が行われることとなったが、マイケルはスケジュールの都合で参加が叶わず、そこで新たに起用されたのが『アベンジャーズ』シリーズで知られるポール・ベタニーだったのだ。

ポール・ベタニー
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/14779563456/

1971年生まれのポール・ベタニーは、1990年代から舞台でキャリアをスタートさせ、1997年に映画デビューを果たした。本作を手がけたロン監督とは、『ビューティフル・マインド』(2001)や『ダ・ヴィンチ・コード』(2006)でタッグを組んだ経験の持ち主だ。近年はマーベル・シネマティック・ユニバースでのヴィジョン役のほか、『レジェンド 狂気の美学』(2015)などに出演している。

ポールはドライデン・ヴォス役について「演じるのが本当に楽しかった」とコメント。撮影に合流した際、ロン監督からは「独裁者です」との指示を受けたことを明らかにしている。「根が善いヴィジョン役をやってから、極悪人を演じるのは本当に良かった。神経症的でもなければ、罪悪感もない役柄なんです。」

映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』は2018年6月29日より全国の映画館にて公開中

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』公式サイト:https://starwars.disney.co.jp/movie/hansolo.html

Sources: EW, Syfy, HH
Eyecatch Image: [左]LBJ Library photo by Gabriel Cristóver Pérez [右]Photo by Siebbi Remixed by THE RIVER

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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