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『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』米国で低発進 ― 『デッドプール2』の半分以下、『ジャスティス・リーグ』下回る

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー
© 2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

「スター・ウォーズ」シリーズはかつてない試練を迎えている、と言わなければならない。
映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』が2018年5月25日(現地時間)に米国で公開され、当初の予想を大きく下回るオープニング興行成績を示すことになりそうだ。

Box Office Mojoによると、『ハン・ソロ』は5月27日までの3日間で米国にて8,332万ドルを記録(推定)。米Variety誌およびDeadlineによると海外興収は6,500万ドルのため、全世界の初動興収額は1億4,832万ドルとなる見込みだ。米国公開4日目である5月28日は祝日の「メモリアルデー」だが、それでも国内興収は1億100万ドル程度にとどまるとみられている。

全世界の初動興収額において、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)は2億3,000万ドル、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)は2億9,000万ドルという数字を叩き出していた。『ハン・ソロ』はディズニー製作の「スター・ウォーズ」史上もっとも低調なスタートとなってしまったのである。

「スター・ウォーズ」ブランドに何が起きているのか?

『ハン・ソロ』をとりまく事態の危うさがさらに際立ってくるのは、今回の成績をほかの作品と比較した場合であろう。

2018年5月18日(現地時間)に米国公開を迎えた『デッドプール2』は公開後3日間で3億100万ドルを稼いだが、『ハン・ソロ』はその半分以下の成績となった(公開国数など条件はほぼ同じ)。かたやR指定作品、かたやファミリー層を視野に入れたディズニー映画であることを考えると、この結果が数字以上に大きいものであることは明白だ。『ジャスティス・リーグ』(2017)が同条件で9,384万ドルを記録していたこと、『ハン・ソロ』が同作を1,000万ドル下回っていることも指摘された。

当初、ディズニーは『ハン・ソロ』の米国初動成績として1億3,000万~1億5,000万ドルを見込んでいた。しかし公開初日の5月25日午前の段階で、Varietyは1億1,000万ドル、Deadlineは1億500万~1億1,500万ドルと予測を下方修正。結果として、4日間の成績はそれすら下回る可能性が浮上しているのだ。なお本作は『最後のジェダイ』に続き、巨大市場である中国でも苦戦を強いられている。

いったい、揺るぎないはずの「スター・ウォーズ」ブランドに何が起こっているのか。海外のメディアやアナリストはこの事態について分析を始めており、『最後のジェダイ』から5ヶ月後の新作公開となったことや、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)や『デッドプール2』などが連続で公開され、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)を控えた時期だったことなど、複数の要因がすでに挙げられている。
ディズニー映画配給部門の責任者であるデイヴ・ホリス氏は、スタジオ側が『ハン・ソロ』に寄せていた期待が大きすぎたことを認め、今回の結果について時間をかけて分析を行うとコメントを発表した。

もちろん通常の場合、劇場公開後4日間で米国興収1億ドルを超える映画を「失敗」とみなすことはない。問題は『ハン・ソロ』が「スター・ウォーズ」最新作であること、そして製作費2億5,000万ドル以上が投じられた超大作であることだ。さらにいえば『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)以降、全世界におけるシリーズ作品の初動成績は右肩下がりの推移を続けている。
ディズニー/ルーカスフィルムは『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のほか、ライアン・ジョンソン監督による新3部作や『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011-)製作チームによる新シリーズ、さらに『ボバ・フェット(仮題)』や『オビ=ワン・ケノービ(仮題)』などを準備しているが、このままでは今後の計画に影響が生じる可能性は否めない。

映画界屈指の人気と歴史を誇る「スター・ウォーズ」シリーズは、ほかの作品を寄せ付けないまま映画界をひた走ってほしい。そう願っているファンは決して少なくないだろう。それに、作品が作られるごとにどんどん元気がなくなっていく「スター・ウォーズ」なんて誰も見たくないはずなのだ。

映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』は2018年6月29日より全国ロードショー

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』公式サイト:https://starwars.disney.co.jp/movie/hansolo.html

Sources: Box Office Mojo, Deadline, Variety, SR(1, 2
© 2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。