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頭文字はH?最後のインフィニティ・ストーン「ソウルストーン」をめぐるTHANOSセオリーは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で完成したか

「最強の、終わりへ」──その謳い文句に嘘偽りなく、複数回の鑑賞を経た現在でもまだショックが尾を引く映画アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』

ヒーロー達の行く末が気になり過ぎて、2019年予定の『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』までこのヤキモキが続くのかと思うと絶望的な心境に陥りますが、2018年4月27日の公開から2週間以上が経ち、日常の束の間訪れる賢者タイム(冷静になる瞬間のこと)において、「そういやあの件どうなった?」と個人的に今まで散々騒いできたインフィニティ・ストーンの在り処をめぐるセオリー」について決着をつけておくべき、読者の皆様に最終見解をご報告すべきではないかとの考えが及ぶようになってまいりました。

ご存知ない方のために改めて、このインフィニティ・ストーンの在り処をめぐるセオリー」についてざっと説明させていただきますと、2008年より、実に19本もの映画を連ねてきたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)では、『キャプテン・アメリカ/ファーストアベンジャー』(2011)でコズミックキューブ(後の4次元キューブ=テッセラクト)として初めてその姿を現して以降インフィニティ・ストーンと呼ばれる全部で6つあるという強大な力を持つ石のうちの5つまでが、一連の映画をつなぐキーアイテムとしてしばしば姿形を変えて登場してきたんですね。で、既出の5つの石の、映画での登場した姿の英単語の頭文字を抜き出し並べ替えると、MCUのラスボス、もう皆様よくご存知、許すまじサノスさんの、英語スペル「THANOS」に一文字足りないところまで揃っていたのです。

テッセラクト(Tesseract)のT、エーテル(Aether)のA、ネックレス(Necklace)のN、オーブ(Orb)のO、セプター(Scepter)のS、そして、最後のソウルストーンが劇中に登場する際には、Hの名詞を持つ何かに収められた状態で登場するであろうというのがセオリーだったわけです。

注意

この記事には、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のネタバレ内容が含まれています。

既出の5つのストーンのうち、最後に登場したのは2017年『ドクターストレンジ』(2017)がアガモットの眼として守っているタイムストーンでした。以降MCUは『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)『ブラックパンサー』(2018)と3本もの映画を公開しており、私事ですがそれぞれの映画の公開のたんびにですね、ソウルストーンは、ソーのハンマー(Hammer)として登場するはずヘイムダル(Heimdall)の目かも!ブラックパンサーのパワーの源、ハート(Heart)型のハーブ(Herb)の正体だきっと!などと、ボンクラ予想にボンクラ記事を書き連ねてきたわけでございます。

結果はというと、インフィニティ・ウォーをすでにご覧になった皆様はご存知の通り、ソウルストーンは惑星ヴォーミルで、愛するものを捧げると手に入るというね…。「H関係ないんかい!?セオリーはたまたまだったのか!」と動揺された方も少なからずおられるのではないでしょうか。

確かに綴りでいうと惑星ヴォーミア(Vormir)ですし、生贄のガモーラ(Gamora)といい、案内人のレッドスカル(Red Skull)といい、ソウルストーンの周辺には一見”H”がつく名詞は見当たりません。しかし残りあと一文字ですし、どうにかしてこじつけてセオリーを成立させたいのがオタク心というもの。2018年5月12日現在、この件に関しての制作側の公式発言がまだないことをいいことに、この場にて3つの説を列挙させていただき、時を経て公式の裁可を待ちたい所存です。

1. ハイドラ(H.Y.D.R.A)のH

映画を鑑賞した人全てが目を疑う再登場を果たした、キャップの宿敵レッドスカル。『キャプテン・アメリカ/ファーストアベンジャー』で死んだ(?)はずの彼がその場にいる理由は劇中で述べられているので詳しくは書きませんが、MCUでは、彼は秘密結社ハイドラの創始者としてその名を知られています。ハイドラの表記は「H.Y.D.R.A」。なるほど筋が通っており、実際SNSでもこの説が主流となっております。

筋が通っていると言うのも、このレッドスカルの生存説はインフィニティウィー公開前からファンの間でまことしやかに囁かれていたんですね。彼が一時は手中にしたコズミックキューブに格納されていたスペースストーンには次元と次元を繋ぐ力があることが判っており、レッドスカルは消滅したのではなく別次元へ転送されたのだ、MCUにていずれ再登場する、と話題になっていたわけです。

つまりこの「H=ハイドラ」説は、有力なだけあって、一見唐突に見えたレッドスカルの登場もこういった設定を踏まえてのものであり、それだけになかなか説得力がある、一番正解くさい説ではあります。ただ、今までのセオリーが、「石が納められているもの 」の頭文字だったのに、急に「護っていた人」というのがね、それならタイムストーンは、エンシャント・ワンやサンクタムに因むはずでは?と若干引っかかりを覚えるのは筆者だけでしょうか。

2.ヘルジェンター(Helgentar)のH

それでは、どんな説ならば納得いくかというと、先ほども申し上げましたが、今までのセオリーでは、イニシャルは「石が格納されているもの」から取られていました。ではソウルストーンは、何に格納されていたでしょう。

レッドスカル曰く、ソウルストーンには心のようなものがあり、普段は目に見えず、試練をクリアしたもののみが手中にするとのことでしたので、容器みたいなものは無いわけです。それでも強いて言うならば、惑星ヴォーミルに行かなければ手に入らないので、この星そのものが容器と言えなくもなさそうです。

しかし、ヴォーミルの表記は「Vormir」。全然駄目?実はそうでもありません。この惑星ヴォーミル、『アベンジャーズ/インフィニティーウォー』が初出ではなく、1974年出版のコミック『Avengers #123』にて爬虫類型ミュータント、ヴォモスの本拠地として登場します。そして後の1983年に出版された『Official Handbook of the Marvel Universe #11』にて惑星ヴォーミルは「ヘルジェンター星系6番目の星である」との設定が言及されているんですね。ヘルジェンター、もしくはヘルゲンターは綴りを「Helgentar」と表記します。

どうですか?ちょっと苦しいか?しかしながらわざわざそんなマイナーな星を引っ張り出してくるような製作陣が、この星が属する星系の名前を見落とすはずもなく、「容器」というポイントもやや強引ですがクリアできることになります。

3.ハンド(Hand)のH

そもそもこの「THANOSセオリー」、こじつけを重ねた結果との見方もありますが、インフィニティウィー公開前までは成立する条件がわりと厳しく設定されておりました。単に映画劇中で「石が納められていたもの」の頭文字とするなら、タイムストーンは「アガモットの眼」という神具に入っていたのに、そこをネックレス(Necklace)のNとするとなると、セオリーでは抽出する頭文字は、固有名詞からではなく普通名詞からでなくてはならないということになります。そうすると、上記の二つ「HYDRA」も「Helgentar」も、条件に違反していることになりますよね。しかも、マインドストーンやリアリティストーンのように後に「容器」が変わった石もあるので、「最初に入っていた物」という条件もあります。

そうなると、このセオリー成立はいよいよ迷宮入りということになりそうですが、『アベンジャーズ/インフィニティーウォー』を御覧になった皆様、是非思い出して頂きたい。我々が初めて劇中でソウルストーンを目にしたとき、石は何に入っていましたか?そう、「サノスの手の中」に入って登場しましたよね。私もさすがに無理あるんじゃないかと半信半疑、勢いで書きつのってはいますし、「面白くねえ!」と炎上しそうなのも充分理解できるのですが、セオリーのルール「石が最初に入っていた物」「英語の普通名詞」を厳密に適用するのであれば、「手(Hand)のH」もなかなか捨てがたい説ということになります。

いかがでしたでしょうか。『マイティ・ソー/バトルロイヤル』公開前には、ソーのムジョルニアの中に入ってると信じて疑わなかったり、それが崩されたらすぐ『ブラックパンサー』のパワーの源だと言ってみたり。我ながら予想の外しっぷりにはいっそ清々しさすら覚えてきますが、インフィニティ・ストーンを巡る説の最期を、どうか正解して終わりたい、そんな切なる願いをこめて拙稿を締めくくらせて頂きたいと存じます。ご精読ご苦労様でございました。

Writer

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アクトンボーイ

1977年生まれ。スターウォーズと同い歳。集めまくったアメトイを死んだ時に一緒に燃やすと嫁に宣告され、1日でもいいから奴より長く生きたいと願う今日この頃。

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