スピルバーグ、『ハリー・ポッター』監督オファーを断った理由を語る ─ 「家族と過ごす時間を選んだ」

巨匠スティーブン・スピルバーグが、かつて『ハリー・ポッターと賢者の石』(1999)の監督オファーを断った理由を米Varietyにて明かした。
『RRR』(2022)S・S・ラージャマウリ監督と行われた対談動画で、スピルバーグは家族と芸術の間で選ばなくてはならない現実的な問題が過去にあったことを語った。その内容とは、ロサンゼルスでの子育てと、ロンドンに長期滞在して『ハリー・ポッターと賢者の石』を手がけることの、どちらかを決断せざるを得なかったことだ。
「家族と芸術の間の葛藤が、自分を真っ二つにしてしまうということは、私がすでに現役の監督や映画作家として、地位を確立していた後に起こったことです」とスピルバーグは話している。「私は当時(妻)ケイト(・キャプショー)と子供たちと共に暮らしていました。そんななか、私に委ねられた選択のひとつが、国外で約5カ月間過ごす仕事であり、毎日家族と会えなくなることでした。あれは辛かった。」
スピルバーグは「作らないことにした映画もいくつかあります」と振り返る。その一つことが、『ハリー・ポッターと賢者の石』だ。
「私は『ハリー・ポッター』第1作を断り、その後の1年半を成長する我が子と、家族と過ごすことを選びました。家族と一緒に過ごすために、素晴らしい映画シリーズを犠牲にしたわけですが、今になって振り返れば、家族と一緒に過ごせて幸せで、正しい決断だったと思います。」
スピルバーグが『ハリー・ポッターと賢者の石』の監督オファーを断った後、『ホーム・アローン』シリーズのクリス・コロンバス監督が本作を製作。その後、ワーナー・ブラザース配給の元で『ハリー・ポッター』シリーズは全8作品製作された。
『ハリー・ポッターと賢者の石』のオファーを断ったスピルバーグだが、彼は同時期に映画製作を全く行っていなかったわけではない。2001年にはSF作品『A.I.』を公開。同作はロサンゼルスで製作されたため、スピルバーグは家族の近くで仕事をすることができた。
自らのキャリア原点を映像化する自伝的映画『フェイブルマンズ』(2023年3月3日公開)でスピルバーグは、まさに家族と芸術の間で取るべき選択についてを描いている。『マンチェスター・バイ・ザ・シー』ミシェル・ウィリアムズや『THE BATMAN-ザ・バットマン-』ポール・ダノら豪華実力派俳優が集結し、スピルバーグが「この物語を語らずに自分のキャリアを終えるなんて、想像すらできない」とまでコメントするなど、自身の熱い想いが込められた渾身の最新作だ。第95回アカデミー賞では、作品賞や監督賞などの7部門にてノミネートされている。
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Source:Variety
Text:山野井俊、中谷直登