【インタビュー】「スター・トレック:ローワー・デッキ」は「すべてのシリーズのネタが描かれている」─ クリエイターが語る

『スター・トレック』宇宙艦隊で一番「どうでもいい」船を描く、アニメ「スター・トレック:ローワー・デッキ」が、2021年1月22日よりAmazon Prime Videoにて配信中だ。本記事では、本作の製作総指揮および、クリエイターのマイク・マクマーンのオフィシャルインタビューを紹介したい。
舞台は2380年、「スター・フリート」という宇宙艦隊の中で最も重要性の低い宇宙船のひとつである、U.S.S.セリトス号を描く作品。スター・フリートの乗組員、ベケット・マリナー少尉、ブラッド・ボイムラー少尉、テンディ少尉、ラザフォード少尉が、様々なSF的な出来事に脅かされながらも、どうにかして自分たちの任務を果たし、社会生活を送ろうとする姿を、コメディ調に描いていく。
マイク・マクマーンは、アニメ「リック・アンド・モーティ」(2013-)の製作・脚本としても知られる。アニメ界で一目置かれる逸材が、「スター・トレック:ローワー・デッキ」製作決定時に抱いた気持ちや注目の場面、「スター・トレック」ファンならではのトリビアシーンなどについて語った。

──本作の製作が決まった時の気持ちを教えてください。
不思議だけれど、その時は冷静に「仕事に取り掛かろう」と思いました。スター・トレックの本を書き終えた後のタイミングで、スター・トレック関連の仕事をすることは調べることも多いし、本当に大変だと感じていました。また「リック・アンド・モーティ」の仕事もありましたし。僕のクリエイティブ脳はすでにフル回転していました。その時、他の番組のシーズン1用の脚本を書き終えたばかりでした。
「ローワー・デッキ」は面白くて愛されるものにしなくてはならないし、でもスター・トレックでなくてはならない。とてもチャレンジングなことです。だから製作が決まったらすぐに脚本家やアーティストからなるチームを作って、みんなでスター・トレックの世界にどっぷり浸かりました。チームメンバーのスター・トレック経験はまちまちで、ほとんど知らない人も含まれていたから。だからみんなで一緒に同じ世界に浸って、これから作る新しい作品の準備をしました。新しい面白い作品、それもパロディではない本物のスター・トレック作品を作るために。
そんなクリエイティブな挑戦は今まで経験したことがなかったけれど、夢見ていたことでした。だから製作が決定したときは、すぐに仕事モードになりました。怖いとも感じなくて、結果が良くても悪くても、これは自分がずっと望んできたことで、今がそれを実行するときだからやるしかないと思いましたね(笑)。
──本作の中で特に思い入れのあるシーン、または注目して欲しいシーンはございますか?
注目して欲しいシーンはたくさんありますよ。特に思い入れがあるのは、第1話目で最初にクルーたちが登場してくるシーンですかね。このシリーズの声優たちは実に素晴らしくて、それぞれのキャラクターにピッタリのトーンで会話をしています。彼らは瞬間的にやっているだけかもしれませんが、最初のエピソードですでにキャラクターとして完成した形で表現できていました。何話と進めていくうちに、そのことが分かっていくと思いますよ。第1話ではクルーたちやセリトス号が登場して、すべてが始まります。僕にとって、すごく思い入れのあるエピソードですね。
そしてコメディとしてオススメなのは第8話。スター・トレック本家でもテーマとしてよくある裁判についての話。クルーたちが証言させられたり、それぞれの面白い体験があらわになったり、通常のスター・トレックのフォーマットとは少し違うかもしれませんけどね。第9話はホロデッキ・プログラムを使った、超楽しい「ローワー・デッキ」スタイルの映画の話。スター・トレック映画の好きな部分を全部詰め込んでみました。もはや僕にとってのお気に入りのスター・トレック映画です。それも26分にまとまっている。
そして最終話は渾身の力作です。コメディ、アクション、アドベンチャー、登場人物……素晴らしいアンサブルになっています。シーズン1の有終の美を飾り、次のシーズンへの期待を持たせる理想的なエピソード。そして今シーズン2の作業をしているけれど、そちらも期待していてください!
