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「ベター・コール・ソウル」から始めるのもアリ、「ブレイキング・バッド」スピンオフの魅力 ─ おうち時間に観たいシリーズ作品を1日1本紹介

ベター・コール・ソウル
AMC/Photofest 写真:ゼータイメージ

新型コロナウイルスの感染拡大防止のための「緊急事態宣言」も、どうやら長引くことになりそうだ。いつもなら話題の大作映画がやってくるゴールデン・ウィークも、今年はずっとおうちで過ごすことになりそう。

そんな時だからこそ、たっぷり時間を使って「シリーズもの」に手を出してみてはいかがだろう。海外ドラマやリアリティ番組、ドキュメンタリー・シリーズなど、THE RIVER編集部メンバーいちおしのタイトルを8日連続で1日1作ご紹介。話題作から、ちょっぴりマイナーなものまで、イチオシ作をぜひお楽しみいただきたい。

1日目はMINAMIより、「ブレイキング・バッド」のスピンオフ「ベター・コール・ソウル」をご紹介。

「ベター・コール・ソウル」

こんな時だからこそ出来ること。それは気になっていたドラマを思う存分、家に籠もって見ることではないだろうか。そこで筆者が紹介したいのは、“テレビドラマ史上最高傑作”とも謳われ、日本でも旋風を巻き起こした「ブレイキング・バッド」(2008-2013)に登場する胡散臭い弁護士ソウル・グッドマンが、本名ジミー・マッギルを名乗っていた頃の知られざる姿を描くスピンオフシリーズ「ベター・コール・ソウル」(2015-)だ。

「ベター・コール・ソウル」の舞台となるのは、「ブレイキング・バッド」の物語が始まる6年前のこと。借金を抱えながらもコツコツと地味な案件をこなす、冴えない弁護士ジミー・マッギル。事務所を構える資金もなく、マッサージ店の物置部屋をオフィス代わりにして日々貧しい生活を送っている。一方、兄チャックは、ジミーとは異なり、大手弁護士事務所を経営するような男だ。しかしながらチャックは電磁波アレルギーを患っているため、電気機器を全く使わずに暮らしており、家から出ることさえ出来ない。ジミーは、そんな優秀でありながらも病気のチャックを必死に支え続けるため、そして認めてもらうために、得意のトーク力や悪知恵を働かせて奮闘する。その結果、次々と予想外な出来事に巻き込まれていく……。

「ブレイキング・バッド」の前日譚という位置付けではあるものの、本作ではジミー・マッギルの後日談も描かれており、ファンは事実上の続編として臨むことができる。シーズン1の冒頭、とあるショッピングモール内にある「シナボン」というお店の店長として身を隠しながら働いている姿がモノクロ映像で登場。人気者で華やかな雰囲気に包まれていた「ブレイキング・バッド」の頃とは真逆の状況に、ファンは愕然とするだろう。

本シリーズには、元警官で用心棒のマイク・エルマントラウや悪役グスタボ・“ガス”・フリング等といったお馴染みの人気キャラクターたちも再登場。「ブレイキング・バッド」では明かされなかった関係性や背景が次々と明かされていく。また、端々に伏線やイースターエッグも散りばめられており、ファンにとって本作は同窓会的な要素だけでなく、答え合わせとしても楽しめるわけだ。

もちろん、「ブレイキング・バッド」を見ていなくても、本作に魅了されることは間違いない。これはジミーが悪事を働く犯罪ドラマでありながら、真面目に仕事に取り組む弁護士ドラマでもあり、また、兄チャックとの壮絶な確執を描いた家族をテーマにした作品だ。もちろん、ロマンスもある。そして、悲哀に満ち溢れた人生を送るジミーが“本当の悪”に目覚める瞬間や、状況や環境とともに容赦なく変化していく、人間の奥底に眠る深い内面をリアルに捉えた、しかも多種多様な登場人物たちを見事に調理してみせる群像劇でもあるのだ。様々な要素を織り交ぜた「ベター・コール・ソウル」は、想像を絶する衝撃的な展開へと加速して、視聴者を掴んで離さない。

とはいえ、「ブレイキング・バッド」がタイトルの通り悪を捉えた“重い作品”であるとすれば、「ベター・コール・ソウル」はコメディ色が強く、“緩い作品”としての一面もある。普段から海外ドラマを見慣れていない方にとっても、気軽に見られるわけだ。また、本作はあくまでもジミー・マッギルがソウル・グッドマンと名乗るまでの物語を描いているため、「ブレイキング・バッド」を知らないとしても、ファンとは異なる視点や感情で見られるという利点もある。気付いた頃には「ブレイキング・バッド」も観たくなっているだろう。

「ベター・コール・ソウル」は現在シーズン5まで発表されており、シーズン6をもってフィナーレを迎えるとされている。世界中で話題沸騰中の傑作ドラマを、今から追いかけてみてはいかがだろうか。

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。