スティーヴン・キング、『ショーシャンクの空に』のリメイクは「観たいと思わない」 ─ 「改良の余地が無い映画」にピックアップ

小説が映画化された回数が最も多い作家は誰だろう。少なくともホラー小説の帝王スティーヴン・キングは上位に入るのではないか。代表的なキング原作の映画といえば、『シャイニング』や『IT/イット』『キャリー』『スタンド・バイ・ミー』などが挙げられるが、とりわけ2022年に入ってからはすでに映画化済みの2つの小説がリメイクを控えるなど、キング作品映像化の需要が収まる様子はない。
しかしキング本人には、もう映像化される必要は無いと考えている作品があるのだという。その一つが、1994年に公開された『ショーシャンクの空に』。1982年発表の中編作品集『恐怖の四季』に収録された『刑務所のリタ・ヘイワース』を映画化した本作は、公開当初こそ大きく注目されず興行においても期待以上の成果が見られなかったものの、アカデミー賞では7部門にノミネートされ、いまでは映画史に名を刻む不朽の名作として知られている。
2022年2月、キングは米Bangor Daily Newsとの取材で、「これ以上改良の余地が無い映画」を訊かれるや、「『ショーシャンクの空に』と『グリーンマイル』のリメイクは観たいとは思いません」と回答。その理由こそ言及しなかったキングだが、“改良の余地が無い”というのだから、オリジナル版の名誉をそのままにしておきたいのかもしれない。なお、キングが挙げた2作は、どちらもフランク・ダラボン監督がメガホンを取った。
一方、キングには「映像化されたら成功するだろう」と自負する小説も複数あるのだとか。長編、中編、短編と数ある作品のなかで、キングが挙げたのは……?
「僕は、『Mr. Harrigan’s Phone』とか『子取り鬼』とか、新しめの作品に興味があります。あとは、ストリーミングで提案されている『タリスマン』もかな。」
1984年発表の『タリスマン』は、Netflixでドラマ化されることが決定済み。製作総指揮には巨匠スティーブン・スピルバーグ監督も名を連ねている。また、2020年に出版された未発表作品集『If It Bleeds』収録の『Mr. Harrigan’s Phone』と、短編集『深夜勤務:ナイトシフト』収録の『子取り鬼』も共に映画化が決まっており、前者は2022年米公開の予定だ。
いずれの企画も『ショーシャンクの空に』と『グリーンマイル』のように“改良の余地が無い”映像作品の仲間入りを果たすことができるだろうか。作品の成功もそうだが、もはや公開後のキングの評価も気になるところ。
Source: Bangor Daily News