【ネタバレ解説】「ストレンジャー・シングス」シーズン4、『エルム街の悪夢』の影響と共通点とは? ─ フレディ役登場、ヴェクナの正体にも迫る

この記事には、「ストレンジャー・シングス」シーズン4のネタバレが含まれています。
第1話〜第4話までの振り返り(ホーキンス・パート)

2022年5月27日より配信開始となった「ストレンジャー・シングス」シーズン4 Vol.1。シーズン3のスターコート・バトルから半年以上が経ち、少年少女たちははじめて離れ離れになってしまう。エルはバイヤーズファミリーとともにホーキンスからカリフォルニアに引っ越し、ウィルと共に慣れない高校生活を送っていた。一方、マイクやダスティン、ルーカス、マックス、スティーブ、ロビン、ナンシーらがいるホーキンスでは新たに恐ろしい超常現象が姿を現す。平穏を取り戻したはずのホーキンスだったが、町は再び恐怖の底に突き落とされる。
全身の身体を折られ、眼球を潰されるという身の毛もよだつ謎の死を遂げていく若者たち。当然、警察や住民たちは超常現象を信じていはいない。そのため警察側は人間による殺人事件として、捜査を進めることに。その容疑者として挙がったのは、第一の被害者のそばにいたにもかかわらず、その場から逃走してしまったエディ。「ヘルファイア・クラブ」のリーダーであるエディもまた、目の前で起きた怪奇現象に衝撃を受け、叔父と暮らす自宅から逃げ出してしまっていたのだ。
町の小さな新聞社で働くナンシーは、フレッドという同僚とともに事件の調査に乗り出し、エディの叔父から話を聞くことになった。甥の仕業ではないと信じる叔父いわく、過去にも同じような残酷な方法で家族を殺害したひとりの男がいたという。その男の名はヴィクター・クリールで、いまでは精神病院に収監されているというのだ。
そんな中、フレッドが突如と姿を消し、遺体として発見された。“裏側の世界”と関係があると考えたナンシーは、スティーブ、ロビン、ダスティン、ルーカス、マックスとともに手分けして調査することに。そこで一同は、若者たちを襲っていたのが、ヴェクナという闇の魔術師であると仮定。トラウマを抱える若者たちに幻覚を見る呪術をかけていたのである。
さらに事件を調査していくなかで、ヴィクターが事件の犠牲者であることも判明。彼は事件で逮捕されたとき、悪魔に襲われたことを証言したものの、誰からも信じてもらえず、最終的に精神病院に収監されてしまったのである。
ヴェクナの次なる対象となったのは、マックスだ。シーズン3でビリーという義理兄を失ったことから、悲しみに暮れていた。このマックスを救う鍵は、ヴィクターにあるとロビンとナンシーは考え、彼と面会することに。目を潰されながらもこの事件から生き延びていたヴィクターは、子どもや妻を目の前で失うことになった怪奇現象について、ナンシーとロビンに説明していく。そしてマックスを救う方法のひとつとして、“音楽を聴かせる”ことについて知るのだった。
フレディ役、ロバート・イングランドが登場

シーズン4の第1話〜第4話までを簡単に振り返ったところで、ホラーシリーズ『エルム街の悪夢』との興味深い共通点について紹介したい。まずは、このヴィクターというキャラクターを演じているのは、ロバート・イングランド。お気づきの方も多いかもしれないが、ロバートといえばシリアルキラーのフレディ・クルーガー役として知られる俳優である。このフレディとは、『エルム街の悪夢』でおなじみの殺人鬼で、眠っている人の夢に出現しては、鉄の鉤爪で相手を引き裂くことが特徴的だ。
これは、ヴェクナの殺人手口とも類似する部分がある。ヴェクナは若者たちの心の闇につけ込み、悪夢や幻覚を見させてから、相手を殺害している。つまり、悪夢という共通点が存在するわけだ。ただしヴェクナはフレディとは異なり、その対象人物が睡眠中でなくとも襲うことが可能であるため、より恐ろしい存在とも言えるだろう。
ヴィクターに話しを戻すと、彼はヴェクナではない。むしろ被害者側なのである。その逆転構造が何とも面白いところではあるが、もうひとつ興味深い共通点があるのだ。それは、『エルム街の悪夢』第1作目の主人公の名前が、ナンシーなのであること。フレディに夢の中で襲われるも、それに立ち向かう役どころだ。また名前だけでなく、ふたりとも好奇心旺盛で勇敢な性格の持ち主である。
なお、ここまでは第4話までの物語を紹介してきたが、先に説明しておくと、ナンシーもまたのちにヴェクナの標的とされてしまう。シーズン1でベストフレンドだったバーバラを失った過去の悲劇につけ込まれ、闇の魔術師から悪夢を見させられるのだ。
第5話〜第7話、ヴェクナの正体とは?

第5話〜7話までに起きた出来事については、ヴェクナの正体にのみ絞り説明する。まず第5話では、ダスティンがヴェクナの殺害方法について説明する際に、フレディを例えとして使っていた。「焼けただれた顔の男で、夢に入り込んで人を殺す」と。これはヴェクナがフレディから影響を受けていることがうかがえる台詞と言えるだろう。
実際のところ、本作のクリエイターであるザ・ダファー・ブラザーズもまた、USA Todayのインタビューにて、『エルム街の悪夢3/惨劇の館』(1987)からの影響を認めている。これはナンシーが再登場する作品で、同作の主人公のクリスティンとともに、フレディと対決する物語だ。やはり、シーズン4において『エルム街の悪夢』は重要な作品だったというわけである。
そして最後の類似点は、フレディとヴェクナがかつては人間だったというところだ。シーズン4の第7話では、“裏側の世界”を支配する闇の魔術師、ヴェクナの正体が明らかとなった。ずばりヴェクナはヴィクターの息子、ヘンリー・クリールだったのだ。幼い頃から超能力を扱うことができたヘンリーは、その不思議な力で母と妹を殺したのち、父親を精神病院へと収監させた。ヘンリーはこの世界を酷く憎んでいたのである。
計画通りに事は運んだものの、ヘンリーは自由にはなれなかった。“パパ”ことブレンナー博士に引き取られ、研究施設へと連れていかれてしまったのだ。“001”として研究され、その遺伝子をもとに、エルらが生まれる。しかし、のちにこのエルと直接対決することになり、想像を遥かに超える彼女の力に圧倒され、“裏側の世界”へと送り込まれてしまう。そしてついにヴェクナという闇の魔術師へと変貌を遂げるのであった。
フレディもまた同様の背景を持っている。かつて殺害した子どもたちの遺族たちからリンチにされ、フレディは生きたまま焼き殺された。その後、悪魔との契約を結び復活し、夢の中で次々と殺人を行うようになるのだ。ヘンリーとフレディ、お互いに理由は違えど異常者として世間から扱われ、のちに人間から怪物へと変身したのである。
ホーキンスだけでなく、世界を崩壊に導く強大な力を持つヘンリーことヴェクナ。果たして、エルをはじめとする子どもたちは、この史上最恐の敵を倒すことは出来るのだろうか……?
Netflixシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン4:Vol.1は配信中。Vol.2は7月1日(金)より配信開始。
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Source: USA Today