【レビュー】正義不在の『スーサイドスクワッド』で感じた「軽さ」

2013年の「マン・オブ・スティール」から始まったDCエクステンデッド・ユニバース 3作目。
前作「バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生」のラストを経て、第二のスーパーマン出現を懸念する政府は 抑止力となる力を求めていた。
政府組織 A.R.G.U.S.のトップ ウォーラー(ヴィオラ・デイヴィス)は、首に埋め込んだ爆弾と罪の減刑を条件に従わせる犯罪者達の特殊部隊「スーサイド・スクワッド」を結成し 悪をもって悪を制する道を選択する。
相容れることはないが常に紙一重にある正義と悪、本来在るべき正義のカタチを 悪のカタチを描いた作品だ。

序盤をガッツリと各キャラクターの紹介に充てているため、スーパーマンに バットマンに DCコミックスに詳しくなくとも入り込める作りになっている。
もちろん、前2作を把握しておいた方がより一層楽しめることは間違いナシ。

ウィル・スミス演じるデッドショットは、悪人でありながらも あなたやぼくと変わらない普通の人間性を感じさせてくれる。
マーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインは、たまらなくキュートでセクシーでクレイジー。
ジャレッド・レトのジョーカーは、狂気の片鱗を垣間見せてくれる。

だがしかし、この軽さは何だろう

かつて「マン・オブ・スティール」で「バットマンvsスーパーマン」で感じたあの重みが一切感じられない。

それは、各キャラクターの紹介に時間を割き過ぎており 肝心のストーリーが薄っぺらくなってしまっている点が大きい。

本来「悪」とは コントロールなど到底できないからこそ「悪」であり、悪を御するという発想自体が最早「悪」の道へと片足を突っ込んでいる者の発想ではないだろうか。

死んでも構わない
使い捨てのコマ
失敗したら殺す

それが本来在るべき「正義」の姿と言えるだろうか。

着実に迫ってきている危機を前に、何が正しいのかを見誤ってしまう人間達
そういった善悪についての葛藤が描かれていてこそ、ドラマに 人間模様に魅力が伴なってくるのだが そういったモノはしっかりと描かれない。

矛盾を孕みながらも、平和のため 人間のためにもがく姿を 「正義」とは何なのかをしっかりと描いていて欲しかった。

真に「悪」へと対抗できるのは、やはり「正義」だけなのだということを示して欲しかった。

今作においては比較対象となる明確な正義を持った者が登場しないため、ジョーカーを除いたヴィラン達に関しては 皆途中からマトモな人間達に見えてきてしまう。

爆弾によって 絶対的な支配下に置かれているとはいえ、相手は悪人達だ。

裏をかかれる可能性が 騙し討ちに遭う可能性が常に潜んでいる。

その駆け引きも ヒヤヒヤ感も 読むことのできな思考性も 手に負えないヤツら感も全く持って感じられない。

設定がアニメ「サイコパス」の監視官と執行官の関係性に似ているだなんて思ってしまったぼくがいけないのだが、そう思ったが最後 より薄っぺらく感じてしまった。

戦闘シーンに関してもハラハラするような駆け引きはなく、ストーリー展開も想定の範囲内。
あらゆる作品に共通することだが、アメリカ人が大好きな誤った日本文化は最早ギャグだ。

作品としては正直物足りなさでいっぱいだ。

だが、今作の役目は他にある。

現状、過去2作によって築き上げられた土台がある。
そして、今後「ワンダー・ウーマン」等のスピンオフ作品や「ジャスティス・リーグ」が控えている。

今作が持つ役目は、DCコミックスの世界観の広がりを 今後の可能性を観客に示すための意味合いが強かったように思う。

その意味では充分楽しめた。

シリアスでダークな雰囲気のみであった過去2作
そこにポップさが クレイジーさが加わった。

正義が描かれない今作があることで、ぼくらは真の正義を渇望する。

いずれ訪れるその日を
今作には登場しない彼らが再び現れることを心から願ってしまう。

騒がれている程面白くはない。
が、今後のDCコミックス作品の展開のためには必要不可欠な作品です。

観ておいて損はありません。
ハーレイ・クインのお尻はたまらなくセクシーです。

ぜひ劇場でご覧ください。

Eyecatch Image:https://www.youtube.com/watch?v=m0Xb9BhfVjY

About the author

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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