『スター・トレック』新作で人気キャラが突然ゲイ設定に!オリジナル版俳優と脚本家、サイモン・ペグが論争へ突入
J.J.エイブラムス製作による『スター・トレック』シリーズの新作が大きな論争を巻き起こしている。理由は、メインキャラクターのひとり、U.S.S.エンタープライズ号のパイロットであるヒカル・スールーに、実はゲイだったという設定が突然追加されたからだ。
はじまりは俳優のインタビュー
ヒカル・スールーがゲイという設定が明らかになったのは、『スター・トレック』(2009年)からヒカル・スールーを演じているジョン・チョーのインタビューだった。
オーストラリアのHerald Sun誌に対して、チョーは「(『スター・トレック BEYOND』の)スールーには同性のパートナーと娘がいる」と話したのだ。彼は、「(ゲイであることを)大きなこととして扱わないアプローチが好きだよ。登場人物たちは種族として、個人の性指向を政治的な問題にはしないんだ」とも述べている。
しかしスールーがゲイ設定というニュースが報じられてすぐ、当のジョージ・タケイ本人がこの設定を痛烈に批判した。
オリジナル版の俳優を無視した?
ジョージ・タケイは、『スター・トレック』の生みの親であるジーン・ロッデンベリーと親交が深かった。オリジナル・テレビシリーズ『宇宙大作戦』でアメリカのテレビで初めて異人種同士のキスシーンを放送するなど、挑戦的なドラマを製作していたジーンについて、タケイは「LGBT(レズ・バイ・ゲイ・トランスジェンダー)の平等を強く支持する人物だった」と話す。
しかし『スター・トレック BEYOND』でのスールーの設定変更に関しては、タケイは「不幸なことに、徹底的に考え抜かれたジーンの創作をねじ曲げたもの。本当に残念です」とコメントした。タケイによれば、ジーンはスールーを異性愛者だと考えていたという(シリーズの作品にはデモラという娘も登場する)。
「スールーじゃなくて、ゲイとしての歴史をもったキャラクターを想像して生み出してほしい。ずっと異性愛者だったスールーが突然カミングアウトするってことは、本当はずっとゲイを隠していたってことだ」
ジョーからの連絡の後、タケイはジャスティン・リン監督から「スールーをゲイ設定にすることが決まった」と知らされた。ここでもタケイは監督に反対意見を表明している。
「『スター・トレック BEYOND』は、『スター・トレック』の50周年を記念して公開される映画だ。50周年を記念して、半世紀もの間アイデアを私たちにもたらしてくれたジーン・ロッデンベリーに敬意を払ってほしい。彼を称えて、新しいキャラクターを作るんだ」
そして数カ月後、タケイのもとにサイモン・ペグからメールが届いた。そこには、LGBTの権利を守るタケイの活動や『スター・トレック』での功績を賛美する文面があったという。タケイは「監督がペグに話をしてくれた」と喜び、「スールーのゲイ設定が見直されることを確信した」と述べている。
しかし、結果はタケイの意志に反するものだった。チョーがインタビューで語った通り、スールーにはゲイの設定が追加されたのである。
サイモン・ペグの反論
もっとも、スールーの設定をめぐる論争はタケイの批判で終わったわけではない。今度はサイモン・ペグが反論したのである。
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