Menu
(0)

Search

スター・ウォーズ、なぜ中国で不振続く? 『ローグ・ワン』ドニー・イェンが原因を分析、中国映画界の現状語る

© 2016 Starbright Communications Limited All Rights Reserved

「私たちは潤沢な予算や資源、アメリカ映画を観て学んだことを自分たちの映画製作に役立てています。私自身のアメリカ映画での経験でいえば――欧米での映画製作の話です――いかに映画を作るのか、映画にとって良いこととは何か、ということ。業界のシステム、財政、配給、宣伝…それらはまさに金字塔的な存在、バイブルというべきもので、私もまだ勉強の途中です。中国の作り手たちはまだ勉強中なんですよ。ただし、私たちは最先端でもある。私たちは(欧米の)映画を観て学んできましたが、逆に、欧米の作り手がアジアの市場分析にきちんと時間をかけているとは思えません。」

この指摘は、「なぜ中国ではスター・ウォーズが不振なのか」という問いにそのままつながっているだろう。その理由を真に分析していれば、2015年から同じ轍を踏み続けることはなかったのではないか。しかし中国企業がハリウッドへの投資を重ね、スタジオが中国でのヒットを現在以上に重要視するようになれば、今後は中国人俳優の起用や物語上の工夫にとどまらず、さらに戦略的に中国でのヒットを見込んだ大作映画が製作されるようになるはずだ。

ちなみにドニーは、中国の映画業界について「すべての作品が最先端なのではありません。一部の映画や作り手だけで、道のりは長い」と述べ、その現状を「市場や映画の規模は大きいが、作品の多くは自己満足にとどまっており、観客の目も欧米ほど研ぎ澄まされていない」と冷静に分析している。しかしその目には、確かな希望が映っているようだ。

「(中国の)観客には映画を観に行くだけの余裕があって、それが多くの作り手に大量の観客を与え、作りたいものを作る機会を与えている。良いこともあれば、悪いこともあります。探求を重ね、経験を積んだ作り手がたくさん生まれ、同時に良くない映画もたくさん生まれていますから。これは映画業界が発展していく、ひとつのプロセスだと思うんです。先行きは明るく、市場は巨大ですよ。」

Sources: JoBlo, Box Office Mojo, CFI
Eyecatch Image: 『イップ・マン 継承』ブルーレイ&DVD発売中 © 2016 Starbright Communications Limited All Rights Reserved

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly