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『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が過去作品から継承したテーマとは?レイア役キャリー・フィッシャーの貢献を振り返って

©Walt Disney Studios Motion Pictures ©2017 & TM Lucasfilm Ltd. 写真:ゼータ イメージ

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』で脚本・監督を務めたライアン・ジョンソンが、長きに渡る『スター・ウォーズ』シリーズのテーマについて語った。
「かつてない」スター・ウォーズになっていると早くも評判の本作を生み出した気鋭の映画監督は、世界中から愛される物語の“真髄”をどのように捉えていたのだろうか?

「思春期から大人になる」物語、レイアが担う役割とは

2017年10月、米Yahoo! Entertainmentのインタビューに登場したライアン監督は、1977年にジョージ・ルーカスが生んだ『スター・ウォーズ』というストーリーのテーマをこう分析している。

(『スター・ウォーズ』とは)思春期から成人期への変化の物語にほかなりません。その大部分は、家族や両親、一番近いところにいる人々、最愛の人々、そして最も恐れている人々との関係を紡ぐことです。僕にとっては、子供であること、そして人生の次の段階へと進むことの物語ですね。」

思えばオリジナル3部作ではルーク・スカイウォーカーが、プリクエル3部作ではアナキン・スカイウォーカーが、主人公として“思春期から大人になる物語”を牽引していた。一方、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)に始まった3部作は群像劇的な性質が強まっており、こうした物語が複数存在することに気づかされるだろう。主人公レイはもちろんのこと、元ストーム・トルーパーのフィン、そして両親との葛藤やダークサイドへの憧れを抱えたカイロ・レン……。

『フォースの覚醒』以降の3部作で主要人物となっている3人は、いずれもレジスタンスを主導するレイア・オーガナとの関わりを強く持つことになる。『最後のジェダイ』において、レイはルークとの対峙が主となりそうだが、フィンはレジスタンスの一員としてミッションに参加し、カイロは母親たる彼女の存在を受け止めつづけねばならないのだ。
そんなキーパーソンであるレイアを演じる故キャリー・フィッシャーは、その人物造形について確かなビジョンを持っていたようだ。ライアン監督がその様子を振り返っている。

「彼女はレイアの存在した場所をすごく意識していました。広く文化的にというだけでなく、とりわけ、『スター・ウォーズ』で育った少女たちにとって、レイアはスクリーンにおける唯一の女性ヒーローだったという意味で。彼女はその点で正しいことをしたい、キャラクターを前へ進めたいと考えていました。そこで僕たちはいつも考え直すことになりましたね。」

キャリー・フィッシャー
Photo by Riccardo Ghilardi photographer ( https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Actress_Carrie_Fisher_%C2%A9_Riccardo_Ghilardi_photographer.jpg )

またキャリーは、その作家・脚本家としての才覚を活かして、『最後のジェダイ』の脚本作業にも一部参加している。ライアンは彼女の自宅を時折訪れて、自分の執筆した物語にコメントをもらっていたというのだ。

「(キャリーの)声が磁石の針のようになって、いつも正しい方向へ引き戻してくれるんです。“この人物が意味するのはこういうこと”だとか、“彼女の果たす役割や、強みと弱みを確かめておかないと”とかね。レイアで育った人々に刺激を与えるようなキャラクターを、しっかり熟知しているんですよ。」

新たな主人公たちが“大人になっていく”過程で、かつての少女はどんな役割を担うことになるのか。そしてキャリーの助言は、物語をいかに深めることになったのか……。ジョージ・ルーカスが絶賛したというあたり、本作は確かにシリーズのテーマを継承した作品に仕上がっているのだろう。

2016年12月、『最後のジェダイ』の撮影後に急逝したキャリーにとって本作は最後のレイア・オーガナ役であり、またレイアにとっても『スター・ウォーズ』実写映画ではひとまず最後の出番となる。劇場ではその活躍を見届けるとともに、その功績を讃えることにしよう。

映画『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は2017年12月15日より全国ロードショー

Source: https://www.yahoo.com/entertainment/last-jedi-director-rian-johnson-carrie-fisher-spoiler-no-fly-list-rear-porg-backlash-exclusive-162527278.html
©Walt Disney Studios Motion Pictures ©2017 & TM Lucasfilm Ltd. 写真:ゼータ イメージ

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。