ベネディクト・カンバーバッチ、日本のファンに「失敗を恐れず、挑戦を続けて」 ─ 「東京コミコン2023」ステージで胸打つメッセージ

「東京コミコン2023」初日となる12月8日(金)、全来日ゲストが揃う豪華オープニングセレモニーに続いては、ベネディクト・カンバーバッチが単独でステージに登場した。『ドクター・ストレンジ』「SHERLOCK」などで大人気の英国俳優が、日本のファンの熱狂に迎えられた。
カンバーバッチは入場曲に合わせてダンスをしながらノリノリで入場。席に着くと、「さて、カジュアルな会話といこう」と一言。観客に向けた挙げた手がドクター・ストレンジのようだったと言われると、「これだけの大勢のパワーがあれば、この会場の電気が全てつけられるね」と微笑んだ。
「東京コミコン2023」参加の感想を尋ねられると、「最高ですよ。色々なことが大きく、そして素早く動くので圧倒されますが、みなさんはとてもポジティブでピースフル、それでいて情熱的です。感謝しても仕切れません」とファンへのメッセージを語った。
ステージでは、ファンから事前に寄せられた質問が次々と登場。最初の質問は役者志望だというファンから、「あなたのようになりたいのですが、俳優としての素晴らしいキャリアを叶えるために行なった努力や心がけは?」というもの。カンバーバッチはまず「他の人たちのようになるのではなく、自分らしくいること」と答えた後に「実にいい質問ですね」と興味深そうに考えた。「僕は、最初は生活のためにこの仕事を始めました。情熱と愛情を持ってできる仕事なんて、これほど素晴らしいことはありません。なかなかできない、恵まれたことです。それ以外は、運の他に言うのなら、ハードワークと好機、学習。そうして機会を作っていきました。それから、やったことのない仕事をやることです」。この回答の通訳を待ってから、「もう少し手短に答えるべきだったね」と加えた。
そのまま次の質問へと進行しかけたところ、カンバーバッチは「本当に良い質問です」とさらに補足する。「良いアドバイスを聞くことはできます。でも、失敗を恐れないでください。学びあるのみです。本当の自分になることを怖がらないで。それこそが、あなたが持つ唯一無二のものだから。どうか挑戦を続けて」。
続いては砕けた質問で、「名探偵と魔法使い、なれるとしたどちらになりたい?」というもの。カンバーバッチは少し困った様子で「うーん、次でお願いします」とパス。「いやいや、そんなふうに僕のことを追ってくれて、ありがとう」とフォローしながら、「どちらが良い、ということはありません。確かに共通点もあるキャラクターだと思いますが、どちらがより良い、というふうに比べることはできません」と真摯に答えた。
次は、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のラストで第三の眼が開眼したように、自分の身体で増えても良いと思う部分は?というファンキーな質問。カンバーバッチは「子どもも聞いてるからな」と意味深な笑みを浮かべてから、「ないですね」とのアンサー。「何かを増やすなんて考え難い(笑)。脳みそかな。時差ボケしていない脳が今すぐ欲しい」。
2013年に映画『スター・トレック イントゥ・ダークネス』で初来日した際の浴衣姿が印象的だったというファンから、「日本の着物を着た役をやるというアイデアは?」との質問。カンバーバッチは「イングリッシュ・サムライになっちゃいますよね?」と答えた後は慎重な姿勢で、「どう言うべきかわかりませんが、自身とは違う文化を扱うというのは非常にデリケートな話です」とコメント。「ただ、過去に異文化・非サムライだった例をあったかと思えば、トム・クルーズがいましたね。また違う話ですが。とにかく、着物というのは素晴らしい衣装で、着心地も素晴らしい。伝統的で個性豊かな印刷も美しい。そうですね、もし誰かが(脚本を)書いたなら、ぜひ拝読しましょう」。
さらに「日本で過ごすのが大好き」と続け、「何か理由をつけて、もっと長く滞在できるようにしたいです」とも加えた。
続いては、「質問というよりもリクエスト」として「シャーロックの考えるポーズをやっていただけないでしょうか」というもの。カンバーバッチは少しだけ気恥ずかしそうに、両手を合わせて顎の下に当てるお馴染みのポーズを少しだけ披露。「椅子に肘当てがないと難しいね」。もう一度披露して欲しいとせがまれ、ワンモアを見せた。
さらに「カメラに向かってウインクをしてほしい」とのリクエストにも応答。短いウインクを煌めかせると、会場から「ひゃぁっ!」という悲鳴。「もう一回?」と自ら“おかわり”を提供すると、さらに「ヒャぁぁ!」と大きな声と拍手があがった。
カンバーバッチといえば舞台俳優としても活躍する。今後、何か舞台に出演する予定はありますかとの質問には「あります。ただ、詳しくは言えません」と回答。舞台については「ぜひ戻りたいと思っている仕事です。今は絶賛準備中で、とても興奮しています」。
最後に日本のファンへのメッセージを求められると、「A huge(多大な)ありがとうございます」と挨拶。「みなさんのサポートには感謝してもしきれません。日本のみなさんは優しくて、そして時に忍耐強い。日本に来るのは楽しいですが、何よりもみなさんのためという気持ちです。どこにいても、来られない時でも、みなさんのサポートを感じています。確かにイギリスからは遠いですが、この国の文化が大好きなんです。だから、こうしてみなさんに直接伝えられて嬉しい。心の底から感謝します。ありがとう」。
トーク中は、スタッフによって運ばれたティーカップでお茶をすする姿も見せたカンバーバッチ。万雷の拍手に包まれ、最後はお辞儀をしながらステージを去ったのだった。次ページではその姿を写真でたっぷりお伝えする。
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