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『TENET テネット』相棒ニールのスーツ、着こなしのポイントは ─ 衣裳デザイナー「ロバート・パティンソンだからこそ」

TENET テネット
© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』で目を惹くのは、〈時間の逆行〉というコンセプトやハードなアクションだけではない。主人公の“名もなき男”をはじめ、登場人物たちがさらりと着こなすスーツも見どころのひとつだ。なかでも、ゆるさとスタイリッシュさのバランスで、全編にわたって洒落っ気をたっぷりと漂わせるのが、ロバート・パティンソン演じる相棒・ニールである。

Esquireでは、衣裳デザイナーのジェフリー・カーランド氏がニールの衣裳について自ら解説している。カーランド氏が脚本を読み込んでアイデアを提案し、ノーラン監督が素材までこだわったという、登場人物の衣裳に隠されたエピソードとは……。

「基本的にずっとスーツを着ているので、3人の男たちはきちんと分ける必要があると思いました」。“3人の男たち”とは、ジョン・デイビッド・ワシントン演じる名もなき男、ケネス・ブラナー演じるセイター、そしてロバート演じるニールのことだ。彼らが劇中で着ているスーツは、それぞれ異なる職人が仕立てたそう。ニールの場合、ポイントは「少しゆったりとした、しかしきちんとエレガントな、それでいて動きやすい」ことだった。

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劇中、ニールはミッションのため、“名もなき男”とともにオスロ空港のフリーポートを訪れる。ここでニールが着ているのは、ピンストライプの、二列ボタンのスーツだ。カーランド氏は、この衣裳について「素晴らしい生地が見つかったんです。見つけたとたん、本当に気に入りました」と明かしている。むろん、衣裳に使うにはノーラン監督の許可が必要だった。

「ノーランにはこう話しました。“ニールが(フリーポートに)行く場面は、初めてジョン・デイビッド(“名もなき男”)の世界にいない、初めて変装するシーンです。現実の世界に出ていくわけですよ、一体どんな変装をするんでしょう?”と。だって、ニールは考え方がやや先進的な、流行にも敏感な人ですからね。」

カーランド氏はフリーポートのシーンについて、「IMAXで観ると、糸や色味までよく見えると思います」と語った。「(服装は)優雅だけど、ちょっとやり過ぎてもいる。それがニールという人にピッタリなんです」。

TENET テネット
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一方、カーランド氏はニールの衣裳について「ちょっと古めかしい感じもする」と述べている。ノーランの脚本を読んだ際、カーランド氏はニールという人物を「元駐在員だったが独立し、自分の生きたいように生きている」男として解釈したというのだ。

「ニールには“なるようになれ、気にしない”みたいなところがあると思います。だから、スーツにはシワもよっていて、決して世界一キレイなわけじゃない。けれども、そこに彼の人格がそのまま表れているから、カッコよく見えるんです。スーツは仕立ててから年月が過ぎているので、たわんで、ちょっと色褪せてもいて、新しくは見えない。だけど、それを際立って見せられれば、それがニールにはうまく合うと思いました。」

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ちなみに、カーランド氏がニールの服装について特に気に入っているのは「ショールカラーのスーツ」。ノーランは受け入れたものの、これは大胆な選択だったと語っている。「すごくニールらしい格好ですよ、他には誰もこんな格好で出てこないから。だけどニールなら着られる…というか、ロバート・パティンソンなら着こなせるんですよね」

映画『TENET テネット』は2020年9月18日(金)より全国公開中。

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Source: Esquire

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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