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ノーラン最新作『TENET テネット』新予告編が公開 ─ 「時間を逆転させる」謎が謎を呼ぶ大作アクション

TENET テネット
© 2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

『ダークナイト』3部作や『ダンケルク』(2017)のクリストファー・ノーラン監督による最新作『TENET テネット』の新たな予告編が公開された。

『TENET テネット』は、かねてより「国際スパイが世界を股にかける」大作アクション映画であり革新的ブロックバスター映画になること、そしてノーラン監督にとって大きなテーマである“時間の連続性”をめぐる物語だと伝えられてきた。2019年12月に公開された予告編では、「TENET」という言葉と、「第三次世界大戦を阻止する」というキーワードが示されている。

新たな予告編では、船上にて、ひとりの男が「“テネット”の一言が、正しい扉を開き、間違った扉も開く。気をつけて使え」と語りかける場面から始まる。ジョン・デヴィッド・ワシントン演じる男がキッチンで格闘を繰り広げ、エリザベス・デビッキ演じる女性を導くかのような場面に続くのは、男が任務に従事し、科学者の女性と言葉をかわすさまだ。「仕事をするために、これから来る脅威について知りたい」「私が知るかぎり、第三次世界大戦を救おうってこと」「アルマゲドンが起こるってこと?」「いいえ、もっと悪いことが」。

ノーラン作品常連者のマイケル・ケイン演じる紳士は、ワシントンに「君はロシアに興味があるんだね」と語りかける。そして、ロバート・パティンソン演じる男が姿を見せれば、気になる言葉がいくつも飛び交う。「彼は未来と交信できる」「タイムトラベルか?」「いいや、時間の逆転だ」。ワシントンが手にした銃からは、銃弾が飛び出すのではなく、“銃弾が弾倉に戻っていく”のである。

「君の仕事は国益よりも重い、とにかく生き延びることだ」。船上の男の言葉に続いては、ハイウェイと思しき場所での激しいカーチェイスや銃撃戦、線路上に拉致されたエージェントたちの姿、そして横転した車が“時間の逆転”によって元通りになる様子が映し出される。「大胆な任務だ」「“大胆”っていいね。“イカれてる”って言おうとしたのかと思ったけど」。かたや、ケネス・ブラナー演じる男は、ワシントンに「君はどうやって死にたい?」と尋ねた。「老衰で」「仕事を間違えたな」。

次々と起こる“時間の逆転”、巨大なコンサートホールで起こる銃撃戦──観客たちはみな気絶しているように見える──、引き続き繰り広げられるカーチェイス、爆破される建物。「未来には私たちを待ってる人たちがいる。“テネット”を必要としてる」と年老いた女性は語りかける。「時間を逆流させれば、ここに俺たちはいなくなる。そもそも、そんなことは起こってないってことか?」。タイトルの後には、ワシントンがパティンソンに「飛行機を撃墜したいのか?」と尋ねる場面も。「そんなに派手じゃなくていい」「じゃあ大きさは?」「そこは派手なのがいい」。並行して、大型航空機がセンターに突っ込んでいく様子が映し出されているが、果たしてこのシーンの意味は……。

TENET テネット
© 2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

タイトルの『テネット(Tenet)』とは「教義・信条」を意味する言葉。かつてノーランは、本作を「いくつもの異なるジャンルを、エキサイティングかつ新鮮な形で越境」する作品だと形容し、7ヶ国で撮影が実施されたスケールも含めて「史上最も野心的な映画」と語った。出演者たちも「映画の限界に挑戦している」と述べた本作は、報道によれば、ノーランの代表作『インセプション』(2010)に肩を並べる仕上がりになっているとのこと。しかし、“時間の逆流”というテーマがおそろしいのは、見ようによっては、映し出されているものの時間がどちらに流れているのかがわからないケースさえありそうだというところである。

出演者は『ブラック・クランズマン』(2018)のジョン・デヴィッド・ワシントン、『トワイライト』シリーズや『グッド・タイム』(2017)のロバート・パティンソン、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)のエリザベス・デビッキ。さらに『キック・アス』シリーズや『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)のアーロン・テイラー=ジョンソン、『イエスタデイ』(2019)のヒメーシュ・パテル、そして重鎮マイケル・ケインケネス・ブラナーのほか、世界各国から豪華な顔ぶれが揃った。

今回の新予告編は、2020年5月22日、世界的な人気ゲーム『フォートナイト』にてプレミア公開された。先日、フォートナイトではトラヴィス・スコットによる大型イベントも実施されて話題を呼んだが、ハリウッドの大作が『フォートナイト』に進出することは映画プロモーションの新たな局面とも言えそうだ。なお、『フォートナイト』での予告編解禁はノーラン自身の提案。Epic Gamesのドナルド・ムスタード氏は、予告編を劇場で見せる重要性をノーランと語り合いつつ、コロナ禍にあって現状は叶わないことを受け、「その次に優れた方法」として『フォートナイト』が選ばれたことを明かしている。

音楽は『ブラックパンサー』(2018)の注目株ルドウィグ・ゴランソンが担当。撮影監督は『インターステラー』『ダンケルク』に続いてホイテ・ヴァン・ホイテマ、編集は『ヘレディタリー/継承』(2018)のジェニファー・レイムが務めた。なお、本作は2020年7月17日に米国公開、9月18日に日本公開と告知されていたが、新予告編およびウェブサイトから公開日の記述は削除されている。劇場公開情報については続報を待ちたい。

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。