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『ターミネーター2』ジョン・コナー役発見の秘話 ─ 不貞腐れながら「何見てやがる、カエル顔」と言い放ったエドワード・ファーロング少年

ターミネーター2
© TriStar Pictures 写真:ゼータ イメージ

ジェームズ・キャメロン監督による永遠の名作『ターミネーター2』(1991)といえば、ジョン・コナー役エドワード・ファーロングの印象が忘れられない。整った容姿と、あの前髪。そしてどこか影のある印象……。ファーロングがジョン・コナー役を演じていなければ、『ターミネーター2』はここまでの伝説になっていなかったかもしれない。

Vanity Fairのインタビュー企画では、ジェームズ・キャメロンがこの奇跡のキャスティングの裏側を解説。1作目『ターミネーター』(1984)ではリンダ・ハミルトンによるサラ・コナーが中心となったが、本作はジョン・コナー少年の視点を主に展開される。「10歳の子どもが重荷を背負うことになる」と見たキャメロンは、この役のキャスティングは慎重に行いたいと感じていた。

キャメロンが信頼を寄せるキャスティング・ディレクターのマリ・フィンは子役を求めてエージェンシーをあたっていた。その多くはCM出身で、「ロボットのようなニコニコ笑顔」をする子役たち。マリはジョン・コナー役のため、「もっと暗い子、人生に複雑さを持つ子」を求めていたという。

そこで彼女が米カリフォルニア州の「ポモナかどこか」の少年少女クラブの大勢の中から見出したのが、エドワード・ファーロング。その当時ファーロングは「不貞腐れた感じで彼女を見つめていた」そうだ。

生意気なファーロング少年はその時、彼女に「何見てやがんだよ、カエル顔」と言い放ったそうだ。キャメロンは笑いながら振り返っている。

マリが「演技はやったことある?」と尋ねると、ファーロングは「ないね」。「カメラの前に立ったことは?」と聞くと、「お父さんが誕生日に撮ってくれたかな」。少年に特別なものを見たマリは、「どう?映画に出てみたい?」と持ちかけたという。

撮影が始まると、キャメロンはファーロングの前髪から覗く瞳に「燻るような存在感」を確認した。「エディ、もう少し前髪をどけてくれるか?もっと目を見たい」、そうやって撮影を進めたという。

撮影中、ファーロングは「おとなしく、楽しげで、役を楽しんでいた」そうだ。さらに、彼の生い立ちが役にも反映されていたという。

「アーノルド(・シュワルツェネッガー)が彼の父親代わりになった。エディは実父と問題があって、離別していたので、叔父さんと暮らしていた。機能不全家族だったんです。

その感覚を役に活かしていた。父親への想いをね。あのキャラクターにも父がいなかったし、エディにも父がいなかった。その感覚が彼にはあった。彼とアーノルドも打ち解けて、それがご存知の通り、うまく形になったわけです。」

(つまり、ファーロングは実父が自らの元を去った後、「お父さんが誕生日に」自分をビデオカメラで撮ってくれた、と話したわけである。)

ファーロングはこの『ターミネーター2』で驚異の美少年俳優としてブレイクしたが、薬物依存に陥ってしまい、「ターミネーター3』からは事実上の解雇となった。3作目で多額の出演料を約束されたファーロングは、「薬物を一切やらない」という契約条件を無視してしまい、気前よく友人たちを連れたナイトクラブでオーバードーズを起こして緊急搬送。これが原因で『ターミネーター3』に出演できなくなったのだ。

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Source:Vanity Fair

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者、運営代表。執筆・編集から企画制作・取材・出演まで。数多くのハリウッドスターに直接インタビューを行なっています。お問い合わせは nakataniアットriverch.jp まで。

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