僕達は『ローグワン』で史上最もダークなダース・ベイダーと対峙するのか

2014年のハリウッド版『ゴジラ』などで知られるギャレス・エドワーズ監督のもと制作が進められるスターウォーズシリーズ初のスピンオフ映画ローグワン / スター・ウォーズ・ストーリー』。『ゴジラ』では迫り来る巨大怪獣の脅威を描き高い評価を得たギャレスだったが、そのパニック映画的な世界観を『ローグワン』にも当てはめて制作したところディズニー側からは総スカン。12月の公開を半年後に控えたこのタイミングで「ダークすぎる」「もっと冒険映画っぽく」との要求を押し付けられ、結局これまで撮影した部分のほぼ半分を再撮影する事になってしまった。

この「再撮影」というのが、どれほど大層なものなのかについては、部外者の我々は推察することしかできない。映画の制作過程において再撮影はごくありふれたプロセスだからそう騒ぐ必要はない、実際に再撮影といってもちょっとした追加シーンを撮影するだけだという報道もあれば、事態は思った以上に深刻で現場はパニック状態、再撮影パートの監督としてトニー・ギルロイ監督(ボーン・シリーズ)がロンドン入りした、という情報もあり、その真相は掴みづらい。


『ローグワン / スターウォーズ・ストーリー』再撮影、思ったより深刻な模様…脚本書き直し、新監督の登場

再撮影の理由のひとつとして、『ローグワン』は『エピソード4 / 新たなる希望』のオープニング10分前に繋がる終わり方をするために、クラシック作とのトンマナ統一を図るため、というものがある。『戦争映画』を意識したギャレス監督のローグワンは、エピソード4へ続く物語としてあまりにもダークだと言うのだ。

では、その『再撮影』とやらでは、どれほどの書き換えが行われるのだろうか。『SF版プライベート・ライアン』と期待されたローグワンの完成版に、ギャレス監督の意向はどれほど残されるのであろうか。ファンの中には、これまでのスターウォーズでは描き切っていなかった『戦争』という側面のもつ残酷さ、悲しさ、虚しさ、そして恐怖が追体験できる事を心待ちにするものも多かった。実際、先に公開された予告編内の映像で、海岸のような場所を特攻する反乱兵士を容赦なく撃ち殺そうとする帝国軍のウォーカーの迫力はすさまじく、怪獣映画的アプローチを垣間見た瞬間は「さすがギャレス!」と興奮したものだ。

筆者は、ギャレス監督の持ち味としての『パニック』『ダーク』そして『戦争映画』という要素は、できるだけ完成版にも残ってくれていればと願っている。それは前述した「これまでのスターウォーズでは見られない、新たな側面」を体感したい気持ちもあるが、もうひとつのお楽しみが「史上最高にダークなダース・ベイダー」の登場に期待したいからだ。

ローグワンとダース・ベイダー

ローグワンとダース・ベイダー

ローグワンのヴィラン(悪役)には、ベン・メンデルソーン演じるオーソン・クレニック(役名邦訳は未確定)が確定しているが、我らがベイダー卿の登場も有力視されている。本作はエピソード3とエピソード4の中間、反乱軍がデス・スターの設計図を奪還するストーリーを描く物語である事からも、ベイダーの関与は濃厚だし、先に発表された本作の公式ガイドブックのビジュアルにもダース・ベイダーの姿が大きく描かれている事から、登場の可能性は非常に高い。

『ローグワン』公式ガイドブックの一部が公開!登場人物の名が続々判明!ダース・ベイダー登場確定!

ギャレス監督は、ダース・ベイダーをどのように撮っていたのだろうか。漆黒の鉄仮面から冷たい呼吸音を漏らし、暗闇に紅いライトセーバーの一筋を光らせ、ぬらりと現れるベイダーを、恐怖の象徴としてどう調理してくれていたのか。そしてディズニーは、その新たなベイダー像をどれほど採用し、どれほど切り捨てていったのか…。海外メディアMoviePilotの記事には、ダース・ベイダーが反乱軍に対しそのパワーを誇示する場面は、まるで古い恐怖映画のように描かれているとの情報が紹介されている。
ルーカス・フィルムがベイダーの暗躍を現代の技術を持って実写で描くのは今作が初めてのことだ。プリクエル三部作で観たダース・モールの華やかさ、ヨーダの驚愕的スピード、そしてグリーヴァス将軍の四刀流の迫力といった尖ったインパクトでなく、その圧倒的オーラをいかに増強して見せてくれるのか。観客全員が絶望の淵に立たされるような、ダークで恐ろしいベイダーは観られるのだろうか。

もう一つ、ローグワンで観たいダース・ベイダー像は、彼の葛藤である。ご存知、愛するパドメを失いながらダークサイドに転落したベイダーだが、ローグワンではそんなベイダーの『悲しい回顧』が描かれる余地が多少なりとも存在する。
と言うのも、2015年よりマーベルコミックスが発刊しているダース・ベイダーのスピンオフコミック、その名も『DARTH VADER』(邦訳版も発売中)では、ベイダーの哀愁溢れるパーソナリティーを掘り下げているからだ。このコミックではエピソード4でルークにデス・スター破壊を許してしまったベイダーが皇帝の信用失墜を取り戻す物語なのだが、デス・スターを破壊した若者の名が「スカイウォーカー」である事を知らされると、パドメとの想い出をフラッシュバックさせたり、かつての故郷タトゥイーンではスカイウォーカー家の跡地に立ち寄り、2つの太陽を眺めたりと、彼の中に遺るアナキン・スカイウォーカーの姿をうっすらと感じさせる内容になっている。

エピソード3でダース・ベイダーになった彼の中から、本当にアナキンは死んでしまったのか。その後に残った感情は、怒りなのか、それとも哀しみだったのか。後悔や迷いは生じていないのか…。屈折したベイダーの内面をチラリとでも感じさせるセリフが、『ローグワン』で発せられるのだろうか。

幾重もの表情を見せるダース・ベイダー。ギャレス・エドワーズ監督はきっと、恐怖の象徴として反乱軍の前に立ちふさがるベイダーの影に、一滴の憂いを織り交ぜてくれていたと期待したい。ディズニーよ、スターウォーズの多様性を尊重してくれ!

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THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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Comments

  • Yoshiko Nakano CL 2016年6月13日 at 5:05 PM

    私としては全作品に関して持っているノヴぇライズの文庫本を買おうと、書店その他で探し回ったところ、なんと講談社児童文庫からの刊行のみということで、買うんですか?と店員に笑われる羽目に。最初からのファンは、もう13歳じゃないと理解してないディズニーさんには、こころよりのF**kを致します。

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