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【インタビュー】『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』監督が語る「打ち明けられない秘密」の悲喜劇 ─「ポルノ映画ではありません」

ディック・ロングはなぜ死んだのか?
©2018 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

実際に僕が好きなのは、「ブレイキング・バッド」(2008-2013)『素晴らしき映画野郎たち』(1999)です。それと、『レポマン』(1984)も参考にしたカルト的名作の一つですね。本当に美しい作品で、背景にも皮肉が存分に散りばめられていて、見返す度に新たな発見があるんですよ。この映画でも同じように、意味深な要素を背景に入れたり、壁に貼り付けたり、ラジオで流したりしました。

──シャイナート監督が挙げた「ブレイキング・バッド」にも共通しますが、本作は打ち明けられない秘密”が主題なのではないかと感じました。実際のところ、観客に伝えたかったことは何なのでしょうか?

あなたの仰る通りだと思いますよ。最初に脚本を読んだ時は僕自身も動揺してしまい、内容が心に刺さりました。そこで、秘密を抱える時の感情を浮き彫りにしたいと考えるようになったんです。あまりにも物語が奇妙で普通ではないので、実際に秘密を抱えているかのような感情を観客にも与えることが出来たのではないでしょうか。

夫が妻を裏切るような映画を見ても、「それは辛い……」と簡単に登場人物の気持ちを察することが出来ますよね。ただ、僕たちは当事者の感情を捉えた上で、秘密によって影響を受けた友人や家族、地域、そして掘り下げたり、それをジョークにしたりしました。秘密を抱え続けるのも、秘密を打ち明けるのも、家族にとっては非常に受け入れ難いことですからね。

元々、私は人が隠し事をすること自体、変だと思う方なんですよ。でも、どんな家族にも秘密は存在しますよね。それを覆すことは社会にとって良くないことだと私は考えています。

ディック・ロングはなぜ死んだのか?
©2018 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

──“打ち明けられない秘密”を描くにあたって、気を付けた点を教えてください。

僕はショッキングな映像が登場する映画は、そこまで好きではありません。そういう怖いもの見たさで、人に勧めるような映画にしたくありませんでした。ただ、心理的に追い詰められるような映画は大好きです。そんな要素だからこそ、僕は笑い飛ばすことが出来るんですよ。あの信じられない出来事を通じて、観る者を驚かせ、心に訴え掛ける映画に仕上げたかったんです。僕が好きな映画も実際にそういう傾向のものが多いので。今回のような映画の場合、如何にしてディックが死を遂げたのかを想像することで、恐怖を感じることが出来るのだと思います。

──ちなみに、シャイナート監督は本作と同様の状況に陥った場合、秘密にせず正直に自白しますか?

恐らく僕だったら病院の中まで友達を送り届けると思います。実は知り合いで、大学時代に、薬をやっていた女性が頭を打つという出来事に立ち会ったことがある人がいて。全員が酒を呑んでいて、薬もやっていたこともあって、かなり動揺してしまったみたいです。結局、救急車も呼べなかったらしく、それで女性は亡くなってしまいました。(周囲の人々は)多分、恥を背負って生きていくことが受け入れられなかったのでしょうね。

ただ、この映画で描かれる出来事については、本当にありえないことなので、実際のところ、自分がどんな行動を取るのかは想像もつきませんね(笑)。

個性に満ち溢れた登場人物たち

ディック・ロングはなぜ死んだのか?
©2018 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

──実に魅力的な登場人物が数多く登場しますが、最も気に入っている登場人物を教えてください。

非常に難しいですね。ただ、主人公の親友アールは特に好きです。アンドレ(・ハイランド)がオーディションに来てくれて、本当に助かりました。一緒に仕事をしていて楽しい方ですし、常に新しいジョークを取り入れて登場人物に息を吹き込んでいました。それにアールに関しては、更に描きたい物語の構想が沢山あるんですよ。

──個人的には独特な婦警たちに心奪われました。彼女たちの設定や、キャスティングの行程について教えてください。

僕は南部出身の方々をこの映画に出演させるべきと常に思っていました。撮影地がそこまで遠くない場所から来て貰うためにも。それと、地元の方たちにも多く出演して欲しいと思っていて、現地で開催したオーディションに来たのが婦警役の方だったんです。

Writer

Minami
Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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