決死の救出劇に挑む覚悟の描写が甘く、予定調和的だった『ザ・ブリザード』レビュー

『ザ・ブリザード』
2/27公開ですが一足早くレビュー。

原題である「The Finest Hours」要素を一切併せ持たない邦題のことは一旦忘れ、原題を胸に刻んだ上で臨みました。

1952年に実際に起きた海難事故とその救出劇を描いた作品だ。

その事実はとても勇敢で素晴らしいものだが、映画としては心に響くものがなく 物足りない描き方だった。

ザ・ブリザード レビュー

事実故に事件の結末は初めから分かっているストーリーのため、序盤で如何に登場人物へ感情移入させるか 事が起きてからのスリリングさをどれだけ描けるかが勝負のジャンルだ。

そういった意味ではどちらも不十分。

クリス・パイン演じるバーニーの恋愛模様からストーリーが始まるのだが、その描き方に魅力がない。

結婚の約束を交わすことになる恋人との恋愛描写には 全くと言っていい程惹かれるものがなく、彼女が生きて帰るための絶対的な指針になるわけでもなし。

過去に何かをしでかし その傷を心に抱えているような描写が序盤にあるのだが、それが何であるかを明かすタイミングも遅過ぎる。

バーニーの人間性・行動原理を序盤でしっかり描けていないため、死ぬ可能性が圧倒的に高い救助に何故躊躇うことなくいけるのかが 彼の葛藤が一切伝わってこない。

バーニーが出動中に職場に訪れる彼女は 無知で独り善がりな女にしか見えず、救助に向かってからバーニーが彼女を想う描写も一切ナシ。

彼女はこの作品のヒロインだったのだろうか?
そもそも序盤の恋愛描写は必要あったのだろうかとさえ思ってしまう。

そんな半端な序盤と並行して、遭難する船の乗組員達の描写もガッツリ描かれる。

しかし、これまた彼らの人となりやバックボーンが描けていないまま話が進んでいくため こちらも感情移入ができない。

愛する家族のために生きて帰りたいとか、如何様にも彼らの生きる目的を 行動の理由を その葛藤を描けたと思う。
魅力的に成り得る登場人物がたくさんいただけに勿体無い。
邦題が示したいところの嵐に関しても、単調な映像表現ばかりで 圧倒的な絶望感を与えてくれない。

嵐の海原 船の内部で作業する男達と単調な場面続きで視覚的にも面白くない。

ストーリー展開はどれも予定調和で、退屈で退屈で仕方がなかった。

登場人物への感情移入要素を
嵐の絶対的絶望感を
そんな逆境をも跳ね返す人の強さ 想いの強さを描くべき作品だと思うのだが、これらが一つも成立していないため、ラストも全く心を奮わせず。

邦題も邦題だが、原題を持ってしても響くものがなかった。

救助する側か、船に取り残された側のどちらかに焦点を当てて描いた方がもっと魅力的なモノになったのではないだろうか。

2.8
総合評価D

ザ・ブリザード

原題  THE FINEST HOURS
製作年 2016年
製作国 アメリカ
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン
上映時間 118分

青春
4
2
エロ
2
サスペンス
4
ファンタジー
2

About the author

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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Comments

  • @takeru0720 2016年2月21日 at 11:44 AM

    決死の救出劇に挑む覚悟の描写が甘く、予定調和的だった『ザ・ブリザード』レビュー | oriver.cinema https://t.co/5VkoqdJU4Q

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