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恋人ナシは動物にされる映画『ロブスター』はB級作品の皮を被った特上A級作品だ

映画『ロブスター』感想・レビュー

映画『ロブスター』感想レビュー

独り身であることが罪な時代。
独り身でいる者は専用のホテルに収容され、一定期間内にパートナーを見つけ出すことができなければ動物にされてしまう。

とんでもないファンタジー設定だが、細部の作り込み 設定の奥深さ 役者の演技が相まって、その世界観を受け入れざるを得ない。

独身 29歳 恋人ナシのぼくにとって、劇中の登場人物達の行末は他人事に感じられず 怖くて怖くて仕方がなかった。

B級映画の皮を被った特上A級映画です。

主人公 デビッド(コリン・ファレル)は犬になった兄を連れている。
自分が動物になるならロブスターが良いと言う。

冒頭から今作における絶対的条件を理解し受け入れ済みの彼には 覚悟のような(もしくは あきらめのような)ものが感じられ、ファンタジー設定がギャグではなく大真面目なことだと納得させてくれる。

ホテルには私物の持ち込みが禁じられている。
衣服などはすべて支給品で、ホテルで生活する者は(男女で異なるが)皆同じ服装をさせられる。

それはパートナーを見つけるにあたり、装飾品などから読み取れるステータス要素に囚われないためのものだろう。

その人の本質だけに迫れるよう。

収容されてから度々「パートナーがいることの素晴らしさ」を説明されるのだが、その1発目として24時間片腕の使用を禁じられる。

片腕をパートナーと見立て、それがないことによる不自由さを その必要性を実感させるためだ。

その後の説明描写はどれもチープでくだらないモノばかりなのに、一発目が核心をついて実感させるものであったため えらく響いた。

どれもこれも説明くさく書いていますが、劇中ではサラッと描かれます。

細部の作り込みが観客の想像力を刺激し、こういった理解に至らせてくれるのです。

細かな描き方の積み重ねによって説得力を生み、奇想天外なファンタジー設定にリアリティを誕生させていた。

パートナーを見つけた後にも試練が残っており、それを乗り越えて初めて普通の暮らしができるようになる。

動物になりたくないがために好きでもない相手を見つけても、結局は試練に耐え切れなくなるか、耐え切ったところで愛のない生活が待っているだけ。

ここにも人としての在り方 愛 倫理までをも想像してしまう奥深さがあった。


via GIPHY

序盤は本当に展開が読めない。
今まで観たことも聞いたこともない設定であり 登場人物達の葛藤も本物であるため、只々観ていることしかできなかった。

中盤以降は序盤との対比にもなっているため、シンプルにストーリーを追っていける。

そこでようやく気が付いた。

ブッ飛び設定に惑わされがちだったが、この作品は「愛」について描いているのだと。


via GIPHY

愛を共に築ける相手を見つけることの難しさ。
築け始めたと思っていたのに 些細なことで崩れさる。
愛に成り得る要因は何なのか。
愛とは何か。


via GIPHY

形のないモノだからこそ、理屈では言い表せないモノを存分に感じさせてくれる作品でした。

エンドロール、ぼくは目を閉じて 聞こえてくるさざ波や自然音に耳をすませた。

ぼくはデビッドの行く末を感じ取れた気がした。

そして途切れる音。
そこにも意味を感じた。

映画館を出ると歩くカップルが目に付いた。
ぼくは一人で歩き出す。
怖くて仕方がなかった。

極力ストーリー展開について触れずに書いたつもりです。
安心して映画館でご覧になってください。

Writer

ミヤザキタケル
ミヤザキタケル

映画アドバイザー 元俳優 ライター 映画イベントMC。Instagramを中心に最新映画から懐かしの映画まで幅広く紹介。「ファイトクラブ」 「GO」「男はつらいよ」がバイブル。好きな監督はウディ・アレン。お仕事のご依頼はa.safety.pin.storm@gmail.comまでお願い致します。

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