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『マイティ・ソー バトルロイヤル』にハルクが登場した理由 ― クリス・ヘムズワース「僕の映画には誰が出るの?」

マイティ・ソー バトルロイヤル
©Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』の目玉は、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)に登場しなかったソーとハルクの本格的な初タッグだ。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)のラストで姿を消したハルクは、惑星サカールの闘技場にて戦士としてソーと再会するのである。
このストーリーの原案となったのは、2006-2007年に米国で出版されたコミック『プラネット・ハルク』(邦訳版はヴィレンジブックス社より全2冊で刊行中)だ。

実は、『プラネット・ハルク』が映画化されるという噂は時を遡って2013年から存在した。この噂は当時まだ真実ではなかったのだが、これを知ったマーベル・スタジオは『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の結末を変更しているのである。
なぜマーベル・スタジオは『マイティ・ソー バトルロイヤル』にハルクを登場させることにしたのか、そして『プラネット・ハルク』のストーリーを組み込むことにしたのか? 作品を支えた二人のプロデューサーが明らかにしている。

はじめは「ソー」と「闘技場」のアイデアから

かつて『プラネット・ハルク』の映画化を熱望していたファンの中には、もしかすると『マイティ・ソー バトルロイヤル』が同作のストレートな映画化ではないことに少し落胆した人もいるかもしれない。ただしハルクの圧倒的な強さ、戦士としてのビジュアルは、原案コミックにきちんと敬意が払われたものだ。
それもそのはず、『プラネット・ハルク』のストーリーを取り入れる要素のきっかけになったのは闘技場そのものだったのである。

本作のプロデューサーであるブラッド・ウィンダーバウム氏はその経緯をこう語っている

「『マイティ・ソー バトルロイヤル』の製作の最初期に、『プラネット・ハルク』からインスピレーションを得ることを考えていたんです。たしか(当時は)ハルクをシリーズに登場させるのではなく、ソーが窮地に立たされる場所として、剣闘の試合が行われる惑星を考えていたんだと思います。すごくクールなアイデアでしたよ。
初期の話し合いのどこかで、その方向に進んだときには悩みませんでした。“ハルクも出せないの?”という感じで話が動き出したんです。すぐに話し合いに火がついて、アイデアが次々出てきて、ハルクがプロットに組み込まれましたね。」

またマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、当時の様子をまた別の角度から説明した

「ソーの物語にどのマーベル・キャラクターを登場させるかというのは、私たちにとってもクリス(・ヘムズワース)にとっても大切なことでした。彼は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』にブラック・ウィドウやアイアンマンたちが出るのを知っていて、“僕の映画には誰が出るの?”って言ってきたんですよ。」

もっともスタッフ陣は、その時点でハルクを登場させるのが一番良いと考えていたようだ。同じく、コミックからヴァルキリー(テッサ・トンプソン)やヘラ(ケイト・ブランシェット)といったキャラクターを登場させるアイデアもその当時から存在したという。
ただしファイギ社長によれば、ほかのキャラクターを決める基準は「ソーやハルクと戦わせて楽しくなること」「ソーやブルース・バナーが場違いなユーモアを発揮できること」だったようだ。それほどハルクの存在は、『マイティ・ソー バトルロイヤル』において企画初期から重要視されていたのである。

『マイティ・ソー バトルロイヤル』は、シリアス志向だったシリーズの過去作品から方向性を一新し、アベンジャーズの一員としての印象が強かったハルクとのタッグを実現した新機軸の一本だ。コミック『プラネット・ハルク』は一要素にとどまっており、ストーリーも作風も大きく異なっているが、本編を観たあとはぜひそちらにも手を伸ばしてみてほしい。

映画『マイティ・ソー バトルロイヤル』は2017年11月3日より全国の映画館にて公開中
コミック『プラネット・ハルク:天の巻』『プラネット・ハルク:地の巻』、その続編『ワールド・ウォー・ハルク』はいずれもヴィレンジブックス社より刊行中だ。

Sources: https://screenrant.com/thor-planet-hulk-movie-rumor-explained/
https://screenrant.com/planet-hulk-thor-ragnarok-mcu/
©Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータ イメージ

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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